惑星アブノーマル。東京・ワンマンでポップの極彩色ショウを展開。
惑星アブノーマル | 2015.10.16
TSUTAYA O-WESTの階段には、長い行列ができている。ほとんどが女性だ。惑星アブノーマルのリリックに、男はギクリとたじろぎ、女はザクリと共感する。そんな“惑アブ”の世界観を反映した女性の列の長さだった。
オープニングでは、惑アブのアレックスたねこ(Vo)、 テナ・オンディーヌ(key&Syn)の2人に、パーカッションのぬましょうが加わり、さらには女性5人の“惑アブダンサーズ”がステージになだれ込んできて、オーディエンスを驚かす。彼女たちはヒップホッ プ・ダンサーではない。ユニークな振付で、惑星アブノーマルの世界観をダンスで表現する。バンドが惑アブのメロディをサポートする存在なら、惑アブダンサーズはリリックを増幅させる役割を持つ。
この新しい試みが成功して、1曲目のニューアルバム『ココロココニ』からの「クローン」はヴィヴィッドな表情を得て、オーディエンスが自然とハンドクラップを始める。気合い充分でこのライブに臨んだアレックスたねこは、やや緊張している気配があった。が、2曲目の「美術Ⅱ」に入ると手応えを感じたのか、歌いながらニッコリ。これでリラックスして、声に伸びが出たのだった。
「ここでライブをやれるのも、みなさんのお陰!」と、たねこはオーディエンスとスタッフに感謝を叫ぶ。ダンサーたちは1度去って、交代に“惑アブバンド”のギターSECO、ベースの野菜、ドラムのドラゲが位置に着く。
次のシークエンスは前作アルバム『アナタソナタ』からの曲が中心だった。「階段コンチェルト」、「流星」など惑アブの最初の完成形の歌が並ぶ。さきほどのダンサーとのコラボの熱が残っているのか、たねこは積極的に身体を動かしながら、楽しんで歌う。オンディーヌも、コンピュータも顔負けの正確なタッチでキーボードのリフを繰り出す。いつも以上にコミュニケーションを取ろうとする惑アブにつられて、オーディエンスも2人に遠慮なく声をかけたり、踊ったりしている。
リリックの鋭さにピンと空気が張りつめるライブの多い惑アブだが、最新作『ココロココニ』で見せたポップなアプローチはライブ にもいい影響を与えているようだ。過去の楽曲を演奏しても、以前よりずっとスムーズに伝わるようになった。新作からの「ムテキの恋人」、 「人生はロマンティック」では再び惑アブダンサーズが登場。『ココロココニ』の世界観を極彩色で踊り描く。たねこも切れのよいボーカルで応える。アクロバットのような変幻自在のリズムと、あふれ出すリリックが、このユニットならではのエンターテイメントになっていた。
さらにこの日、初公開した新曲が素晴らしかった。「NAGUSAME NIGHT」と「こゝろ死なせないで」は、“ポップな祈り”とでもいうべき内容で、惑アブの次のフェイズを示唆していて、次作への期待を高めてくれた。
本編最後は、彼女たちの存在をシーンに決定付けた名曲「愛してやまない」。たねこがアカペラで歌い出すと、フロアはじっと聴き入る。そこからバックバンドとダンサーが入ってくると、気前のよい弾け方でオーディエンスを沸かせたのだった。
アンコールは、またしても新曲の「再会」。近未来の惑星アブノーマルをイメージしたアンコールに、このユニットの現在の充実が感じられる。
ダブル・アンコールは、たねことオンディーヌの2人だけで「奇跡の日々」。この日いちばんエモーショナルなピアノと歌で描かれ た正統派バラッドは、このユニット本来の実力をしっかりと聴かせてくれた。
ここまで90分。音楽とライブの方向性を明確にした惑星アブノーマルの、とてもコンパクトで魅力的なショーだった。
【取材・文:平山雄一】
【撮影:新倉 映見】
リリース情報
セットリスト
"ココロココニ"在りますぜワンマンショー
2015.10.8@東京・TSUTAYA O-WEST
- クローン
- 美術II
- 階段コンチェルト
- 流星
- アレルギー
- ぬすっと
- 息衝く
- 臆病者ラプソディー
- 月夜海水浴
- NAGUSAME NIGHT(新曲)
- ムテキの恋人
- 人生はロマンティック
- こゝろ死なせないで (新曲)
- 愛してやまない
- 再会 (新曲)
- 奇跡の日々
お知らせ
セプテンバーミーpre「CRセプテンバーミー -確変突入!ガールズボーカル編-」
2015/10/27(火)東京・新宿LOFT
HUG ROCK FESTIVAL 2015 秋頃
2015/11/03(火・祝)東京・CHELSEA HOTEL / Star lounge / Milkyway / LOOP annex / gee-ge.
Beat Happening!35MinutesGirlsFriday!
2015/11/27(金)東京・下北沢BASEMENT BAR
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。