惑星アブノーマルが放つ『ココロココニ』は切れ味抜群の極上ポップス!
惑星アブノーマル | 2015.07.16
- EMTG:作品リリースは久しぶりですけど、どんなことを考えながら制作を進めました?
- アレックスたねこ(歌):まず、アレンジャーさんと一緒にやりたいというのがありました。やりたい幅が広がっていたので、一緒に作れる人を探していたんですよね。それで出会うことができたのが、今回ご一緒したプロデューサーの鈴木Daichi秀行さんです。
- テナ・オンディーヌ(シンセサイザー、キーボード):アレンジャーさんに助けていただいたことによって、たねこの思い描いていたイメージが納得いく形になったと思います。今回の作品も踏まえた上で、今後さらに新たな挑戦ができたらいいなと考えています。
- EMTG:鈴木さんとの制作、どんなところが魅力的でした?
- アレックス:何て言うんでしょう? 「思っていたことを言う前に、そのまま形にして示してくださった」っていうことですかね。Daichiさんが経験豊富という理由もあるんでしょうけど、説明をしなくても意図をくんでくださる感じで。
- EMTG:お味噌汁で喩えるならば、わざわざ説明しなくても自分の好みの白味噌で作ってくれるようなやり取り?
- テナ:そんな感じでしたね(笑)。
- アレックス:私は赤味噌も白味噌も好きなんですよ。合わせ味噌も好き……というか味噌汁が好きです(笑)。
- EMTG:(笑)まあ、お味噌汁の話はこれくらいにして、作品についてのお話に入りましょう。今回の5曲、王道にポップスとしてグッとくる曲たちだと感じました。
- テナ:たねこ自身は昔から王道ポップを作っているつもりなんですよね。
- アレックス:そうです。1作目から王道を狙っているつもりだったんですけど、今回は本当に王道ポップを目指して作りました。
- EMTG:歌っている内容もすごく身近ですね。例えば「クローン」って、自分が他の誰かと容易に替えが利く「その他大勢」だと感じる状態を描いていますけど、こういうことを思った経験がある人は多いはずです。
- アレックス:今回、伝わること、分かることを結構意識して作ったんです。「クローン」もそういう曲ですね。
- テナ:私はたねこに1番近い存在として彼女を見ているので、「あの時のことを描いているのかな」とか、歌を聴いて胸が痛くなったり、キュンとすることがよくあります。でも、たねこの描くことって、元々いろんな人に伝わる部分を持っているんですよ。
- アレックス:やめて~、恥ずかしい(照れながらテナの服の裾を引っ張る)。
- テナ:引っ張んないで(笑)。たねこはいろんな人に共感してもらえるものを作れるんですよ。それがもっと広まれば楽しいなと思っています。
- EMTG:「クローン」は、どんな背景から生まれたんですか?
- アレックス:素晴らしい音楽をやっている人は多いですけど、必ず「誰々っぽい」って言われるし、私も含めた本人も自覚しているんですよね。でも、その壁をなかなか越えられない。もう1個先の自分を見つけられないんですよ。そういうダウナーな気持ちの時に書いたような気がします。
- EMTG:ハッとさせられる視点がいろいろあるんですよね。「ムテキの恋人」も《常識なんて考えたら きっと間違いだらけだから》っていうフレーズのインパクトがすごかったです。
- アレックス:普通じゃないことが当たり前になっているところもありますし、変にしようと思えばいくらでも変にできるわけですよ。だから「いかに普通のふりして普通じゃないことをするか?」っていう面白さを分かってもらえたらいいなと思ったりするんですよね。
- EMTG:このユニットの名前、“アブノーマル”という言葉が入っているわけですけど、「普通とは?」ってことに関していろいろ考えて活動している部分もありそうですね。
- アレックス:そうかも。最初は「変なことをしよう!」って思ってこのユニット名にしたんですけど、結局やり始めてみたら、やりたかったのはポップなものだったんです。「商品を作りたい」っていうか「人に認められるものを作りたい」っていう想いもあって。だからいいものを作っている……つもり(笑)。最初の頃とか、ライブで気持ち悪いことしかしていなかったですけど。
- テナ:それも裏を返せば、みんなに知ってもらいたい欲求が強かったからなのかもしれない。
- アレックス:そうだね。今はお客さんに楽しんでもらうっていうことが、私たちの中で大事になっています。だから、もっとライブでお客さんと一緒に楽しめる曲を作りたいっていう気持ちも強くなっていて。そういう曲で揃えたのが今回の1枚です。
- EMTG:サンバとかエレクトロの要素を盛り込んだサウンドがあったり、アレンジ面もすごく刺激的です。
- アレックス:Daichiさんがいろいろ引き出してくださいました。今回、すごく勉強にもなったんですよ。
- EMTG:2人は音楽大学出身ですし、いろいろ理論的な勉強をしていたんじゃないですか?
- アレックス:私、学校にはあんまり行っていなかったですけど(笑)。でも、いろんな人と出会えたので、行ってよかったです。
- EMTG:音楽の学校だったらバンドメンバーもたくさん誘えますしね。たねこさん、クビにしまくっていたという伝説を聞いていますが。
- テナ:メンバーとしょっちゅう喧嘩していましたから。
- EMTG:テナさんとの衝突はないんですか?
- アレックス:ありますよ。テナ、先日、失踪したんですよ。
- EMTG:えっ!
- アレックス:「人生はロマンティック」(ニューアルバム『ココロココニ』収録曲)がNYLON JAPANという雑誌から無料先行配信されたんですけど、その記念企画が5月の末にあったんです。私、気合入っていたんですけど、その分、イライラもしていて。その日は「ムテキの恋人」とか「クローン」とか、前からやっていた「人生はロマンティック」のDaichiさんアレンジでのライブ。本番2日前くらいの時、テナが手こずっていたので怒りのLINEをしたら、いなくなっちゃって。
- テナ:はい(笑)。
- アレックス:心配で家に行ったんですけど、1回しか行ったことがないから部屋の番号が分からなくて。後輩にLINEで訊いたら1人だけ何階なのかは知っていたので、片っ端からピンポンローラー作戦(笑)。でも、会えなかったです。
- EMTG:結局どうなったんですか?
- アレックス:企画ライブの1時間くらい前に、やっと現れました。戻ってきたら髪型が変わっていてビックリしたんですけど。髪の毛が、すごくなくなっていて(笑)。
- テナ:私の人生の中で1番ぶっ飛んだ体験でしたね。
- アレックス:知り合いに杉恵ゆりかっていうシンガーソングライターがいるんですけど、彼女が昔「ジョキッ」っていう曲を出していて。「うわああ~!」ってなった時に鏡も見ないで髪を切る曲なんですけど、まさにその状況だったらしく。「頭の中でずっと杉恵さんの曲が流れてた……」って言っていました。
- テナ:流れてましたねえ(笑)。
- EMTG:(笑)ものすごいエピソードをありがとうございます。では、作品のお話に戻りましょう。ラストを飾る「人生はロマンティック」、不思議な前向きパワーがある曲だなと。
- アレックス:ありがとうございます。
- EMTG:「人生はロマンティックだ!」って潔く言い切ってしまう馬力がいいなあと。でも、この曲の主人公、あんまり順調な人生を歩んではいない様子が伝わってくるんですが。
- アレックス:おっしゃる通りです。
- テナ:分かっていらっしゃる(笑)。
- アレックス:これを作った頃の私、まさに上手く行っていなくて。ずっと「もう駄目だよ。ほんと無理……」って言い続けているような人間で。そんな私がこんな曲を作ったからテナは、「ほんとにこう思っているんですか?」と。でも、私としては「本当はこう思いたい。そこまで言い切れる人間になりたい」っていうのがあって。その気持ちを描いたのが「人生はロマンティック」なんですよね。1年くらい前からライブでやっているんですけど、今はこう自然に言えるような性格になってきました。
- EMTG:曲に気持ちを引っ張ってもらった?
- アレックス:そうですね。前は「ほんと無理」っていうことをずっと歌っていて。自分ではあっけらかんとしているつもりだったんですけど、振り返ってみればインナーな方向に入っていたんだと思います。でも、解き放つような方向の曲を書くようになると、性格って変わるものなんですね。空元気って案外いいものだなと思いました。まあ、性格は悪いままなんですけど(笑)。
- EMTG:(笑)今回のミニアルバムをリリースした後の惑星アブノーマルに関しては、どうなっていきたいとイメージしていますか?
- アレックス:売れたい!
- テナ:うん(笑)。
- EMTG:ストレートな答えで気持ちいいです(笑)。どうなったら「売れている」と感じます?
- アレックス:そういう場面ってあるのかな?
- テナ:例えば広い会場が満員になって、「お客さんがもう入れません」ってなったりとかですかね。目の前のお客さんの数が増えると、「ここまで来たのかな」と感じるのかも。
- アレックス:そうだね。お客さんの反応って胸に響きますから。物販に立った時とか、悪いことでも良いことでも言ってもらえるのがすごく嬉しくて。反応が良い日も悪い日もあるわけですけど、毎回が良い日に変わっていったら、「頑張った甲斐あったなあ。売れたのかもなあ」って思うのかもしれないですね。でも……そういう状況になっているのに気づかない可能性もあるなあ。私、アホだから(笑)。気づかなくてもいいのかなとも思うし。勘違いはしたくないですからね。
- EMTG:何年後かに、「あの頃から状況が変わったんだな」って気づくくらいが丁度いい?
- アレックス:そうそう。そんな感じがいいのかなと。いや、でも……気づきたいかな(笑)。まあ、常に必死でやっていきたいと思います。
生々しい情念から温かい愛までを鮮やかに表現するアレックスたねこ(歌)。多彩なフレーズを次々繰り出し、奥行き深いドラマを描き上げるテナ・オンディーヌ(シンセサイザー、キーボード)。この2人がタッグを組んでいるユニット・惑星アブノーマルが、3rdミニアルバム『ココロココニ』を完成させた。ユニークなユニット名を掲げて活動しているが、彼女たちの音楽の核にあるのは圧倒的なポピュラリティ。その要素を様々な形で浮き彫りにしている全5曲の切れ味がすごい。サウンドプロデューサーに鈴木Daichi秀行招いて完成させたサウンドは、極上のメロディ、ハーモニー、リズムの宝庫だ。今作について2人が語ってくれた。
【取材・文:田中 大】
リリース情報
take the sensor
発売日: 2018年07月11日
価格: ¥ 1,667(本体)+税
レーベル: 日本クラウン
収録曲
1. Sensor
2. FINE
3. YOU
4. blah blah
5. Night Out
6. 愛のパラリア
ビデオコメント
リリース情報
お知らせ
■ライブ情報
JUNGLE☆LIFE × Shibuya Milkyway presents 「Femme Fatale」
2015/07/22(水)東京・Shibuya Milkyway
SoundRise vol.7
2015/07/25(土)静岡・浜松FORCE
Mixed Up Remix
2015/07/26(日)東京・渋谷LOOP annex
PopLooPop
2015/08/13(木)東京・渋谷LOOP annex
Sapporo Neutral 2015
2015/08/29(土)、30(日)北海道・KRAPS HALL / COLONY / Sound Lab mole / SPIRITUAL LOUNGE / DUCE / SOUND CRUE
惑星アブノーマル"ココロココニ"在りますぜワンマンショー
2015/10/8(木)東京・TSUTAYA O-WEST
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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惑星アブノーマル"ココロココニ"在りますぜワンマンショー
2015/10/8(木)東京・TSUTAYA O-WEST
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。