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GLIM SPANKY、ネクスト・ステップとなる赤坂BLITZで圧巻のパフォーマンスを披露

GLIM SPANKY | 2015.10.30

 注目のロックユニット“GLIM SPANKY”が、ついに赤坂ブリッツに登場だ。5月に東京キネマ倶楽部でのワンマンを成功させ、夏にはフジロックに参戦。独特の存在感を持つボーカリスト松尾レミと、しっかりとソロを弾き切ることのできるギタリスト亀本寛貴の二人は、アマチュア時代にひらめいた“ヴィジョン”を見失うことなくメジャーのフィールドを突き進んできた。果たしてネクスト・ステップとなるブリッツでどんなパフォーマンスを披露するのか。たくさんのオーディエンスと関係者が赤坂に詰めかけた。

 オープニングはアルバム&ツアー・タイトル曲「サンライズジャーニー」。松尾が自らエレキギターを弾きながら歌い出す。
 普通、ロックバンドのライブは派手にスタートを切るものだが、松尾はミディアム・テンポの 「サンライズジャーニー」を堂々と歌う。バンドが入ってきても、落ち着きはらった歌いぶりは変わらない。未来を信じてオンボロバスに乗り込む自分たちの姿を描くこの歌を、最初に持ってきた松尾の凛とした心意気が知れる。
 続くデビューシングル「焦燥」もまた、大人への階段を前にした心の揺れを描く歌。松尾は再び弾き語りでこの歌を始める。歌詞がしっかりとオーディエンスの胸に刻み込まれる。派手ではないが、このライブが高いメッセージ性を持つものであることが伝わってくるオープニングだった。

 それにしても大胆な構成だ。走り始めたばかりの音楽人生の起伏を、最大規模のワンマンでさらけ出す。イントロのギター・リフで歓声が上がった「ダミーロックとブルース」にしても、歌詞も曲調も重い。しかし、この曲で歓声が上がるのは、オーディエンスもそうした歌を求めているからだ。
 松尾は、自分の愛する音楽が今の時流に合っているのかどうかに疑問を持っている。だが、もし合っていなくても、自分の音楽を曲げる気持ちはまったくない。その軋轢が、独特の歌詞を生む。歌詞にリアリティを与えているのは、彼女の太くてハスキーな声だ。

 一方、亀本は、先にも書いたが現在のJ-ROCKシーンには珍しく、「これぞ、ギター・ソロ!」と言えるプレイが出来るギタリストだ。他のバンドのギタリストたちが、ボーカルのサポートやサウンドの“1パート”に徹する傾向にある今、亀本は歌と拮抗するギターを弾こうとする。たとえばオープニングの「サンライズジャーニー」のエンディングで弾いたギター・ソロのスケールは大きく、松尾の歌を引き継ぐというより、「俺はこう思うぜ」と強く主張しているように感じた。亀本もまた音楽に人 生を賭けていて、松尾の歌の世界観に共鳴している。ただその表わし方が、安易な協調ではなく、拮抗する形をとっていることが、このギタリ ストの個性を生み出しているのだ。
 その際たるシーンは「Gypsy」だった。松尾の歌のメロディに、亀本はなんとギターで見事なハーモニーを付ける。歪んだギターと松尾の声の音色が似ていることもあって、GLIM SPANKYならではの素晴らしいハーモニー・サウンドになっていた。それは志を同じくする二人が、対等の立場でメッセージを構成しようというユニットの意志の具現化だった。

 「楽しんでますか? 僕がしゃべっていいですか?」と亀本。「レミさん、この景色、どうですか? たくさんの人が来てくれて、僕が初めて体験する景色ですよ。ありがとうございます」。
「この前、NHKのアニメ『秘密結社 鷹の爪 DO』のアフレコをやってきました。“グリグリスパパンキー”っていう架空のユニットとしてやったんですけど、スタジオが怪しい雰囲気で(笑)・・・」 と松尾が楽しそうに語る。
 ライブの終盤に披露した新曲「NEXT ONE」は、ブラインド・サッカー日本代表の公式ソングに抜擢されるなど、今、GLIM SPANKYの周りには面白いムーブメントが出てきているようだ。

 その『鷹の爪』のエンディング・テーマの「WONDER ALONE」、映画『リアル鬼ごっこ』のイメージソング「リアル鬼ごっこ」で盛り上がる。本編をいい形で締めたのは「大人になったら」だった。松尾が一人で歌い出す。その声は1曲目の「サンライズジャーニー」と変わらず、彼女の声の強さに驚かされる。亀本のギター・ソロもまた、最初と変わらずテ ンションが高かった。

 いつの間にか松尾は靴を脱ぎ、ストッキングのままステージに立っている。アンコールの「ロルカ」は、スペインの詩人フェデリコ・ガルシーア・ロルカの詩集を抱えながらアーティストを夢見る歌。♪僕たちはまだ 遊んでいよう♪というフレーズが、ツアーの終わりにふさわしくブリッツに響き渡る。つくづく、“GLIM SPANKYの今”が反映されたアグレッシブなツアー・ファイナルだった。

【取材・文:平山 雄一】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル GLIM SPANKY

リリース情報

SUNRISE JOURNEY

SUNRISE JOURNEY

2015年07月22日

ユニバーサル ミュージック

1.焦燥
2.サンライズジャーニー
3.褒めろよ
4.MIDNIGHT CIRCUS
5.踊りに行こうぜ
6.夜が明けたら
7.さよなら僕の町
8.WONDER ALONE
9.ロルカ
10大人になったら
11リアル鬼ごっこ

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お知らせ

■ライブ情報

静岡理工科大学大学祭 「SISTIVAL 2015」
2015/11/01(日)静岡理工科大学内屋外メインステージ ※雨天時 : 学生ホール

日本大学芸術学部芸術祭 「日芸ROCKS 2015」
2015/11/03(火)日本大学藝術学部

ミヤテレ45th 『もし僕!MUSIC SQUARE』「LOFT MUSIC & CULTURE FESTIVAL 2015 IN SENDAI」
2015/1/07(土)仙台Rensa

MUSICにゅっと。十八番ライブ!~2015 秋~
2015/11/12(木)Shibuya eggman

MINAMI WHEEL EDITION 「Music Messe 2015」
2015/11/13(金)なんばHatch

The Cheserasera presents「曇天ケセラセラ」
2015/11/21(土)新代田FEVER

NAGANO CLUB JUNK BOX 16th Anniversary [COUNTER ROCK!!!!!]
2015/12/11(金)長野CLUB JUNK BOX

SPADE BOX Open Special Month!
2015/12/18(金)名古屋SPADE BOX

COUNTDOWN JAPAN 15/16
2015/12/28(月)、29(火)、30(水)、31(木)幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール
※出演日・ステージは後日発表いたします。

KIYOSHIRO R&R BABYS~忌野清志郎デビュー45周年ベスト盤&リマスター盤発売記念イベント~
2016/01/06(水)新宿LOFT

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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