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“最初で最後”と銘打った日本武道館公演。SiMが魅せた、熱気渦巻く伝説の一夜!

SiM | 2015.11.19

 感動した。素晴らしかった。SiMの“最初で最後”の日本武道館公演は、この場所でしか観ることができない本当に1回限りのパフォーマンスになった。その意味で“最初で最後”という言葉は的を得ている。約2時間のショウはあっという間に過ぎ去り、その余韻は胸に永遠と残り続けるようなライヴだった。決して大げさではなく、心からそう思った。

 会場に入るなり、アリーナど真ん中に設置された八角形のステージが視界に飛び込む。開演前から、どんなライヴをやってくれるのか、期待は膨らむばかり。スクリーンにアメコミ風のメンバー4人が映され、それから怪獣の口を模したゲートから耳をつんざく爆発音と共にプロレスの入場シーンのごとく一人ずつ登場。最後にMAH(Vo)がリンゴを齧り、八角形のステージにメンバー全員が揃うと、「武道館、かかって来い!」の掛け声と共に彼らの代表曲「KiLLiNG ME」で火蓋を切る。狭いステージにも関わらず、SHOW-HATE(G)、SIN(B)は楽器をブンブン振り回すいつものパフォーマンスを見せつける。続く「WHO’S NEXT」では観客総出でヘドバンする圧巻の光景を作り出し、ここは武道館なのかと目を疑いたくなる熱気が渦巻く。

 それから「新曲行きまーす!」とMAHが言うと、10月に出たニュー・シングル「CROWS」から表題曲と「PSYCHO」を立て続けにプレイ。前者はド頭から「ooh la la」の大合唱を生み出し、MAHの身振り手振りのアクションでも引き付ける。後者は不穏なギター・フレーズから一転、超ダンサブルな曲調に切り替わり、観客も踊りまくっていた。まるで武道館公演を視野に入れたような盛り上がりで、2曲ともライヴでこんなに化けるのかと心底驚いた。

 MAHのレゲエ風の歌い回しから「ANTHEM」へと繋ぐ流れもかっこ良く、スタンド席にいる観客を指差して歌うサービス精神にもシビれた。「GUNSHOTS」では恒例のモンキーダンス大会を繰り広げ、名曲「Amy」で観客の温度をより一層高めていく。「凄いですね、本当に来てくれて、ありがとう!」とMAHは感謝の言葉を述べ、フェスでもやらずに取っておいた曲で1万人の武道館の人たちと歌いたいと前置きすると、「EXiSTENCE」をここで披露。炎が舞い上がる中、ヘヴィかつエモーショナルな曲調の中で浮き上がる日本語詞が抜群に映えていた。

 中盤の「Set me free」に入ると、八角形のステージを取り囲むアリーナのオールスタンディング・エリアは無法地帯のごとき暴れっぷりを見せた。その後、スクリーンにはメンバー自ら寸劇を演じる様子が映され、ポール・マッカートニーがライヴで観客の座席を移動させ、喜ばせたエピソードをパクリますと言って、この日は二階席の2組をアリーナ真正面に移すというサプライズな演出もあった。

 それから「座席の人はレアだと思う。俺らのステージが全部見えるから」とMAHが言うと、次はアコースティック・セットへ。「Same Sky」、そして、66年に行われたビートルズ武道館公演にも触れ、2015年に日の丸の下でこの曲をやることに意味があるのではないかとMCを挟み、カヴァー「Come together」をプレイ。ルーツを重んじる彼らならではの選曲センスに唸った。

 GODRi(Dr)のドラムソロに突入すると、途中で体ごとワイヤーで宙に吊るされ、その状態でエアドラムをやり始めて会場の大爆笑を誘う。本編最後は「Balh Blah Blah」、「JACK.B」と鉄板のキラー・チューンを畳み掛け、アリーナから天井近くの観客までもを興奮の坩堝化させていた。加えてSHOW-HATEとSINは演奏しながら、EXILEのサークルダンスを2人でやるなど、その芸達者ぶり(?)にも頭が下がった。

 そして、アンコール1曲目にやった「Rum」は、個人的にハイライトの一つとなった。スケール感のある壮大な曲調が武道館という場と共振し、楽曲の良さを数倍に輝かせていた。また、僕は1階の西スタンドから観ていたのだが、MAHはモニターに左足を置き、右足を後ろに据え、マイクに頭を付けて歌う横のシルエット姿がなんとも絵になっていた。今日は八角形のステージということもあり、観る場所によって、人それぞれ違う表情のSiMを堪能できたことだろう。

 この日は来年の春に4thフルアルバムの発売が決定したことと、横浜アリーナでのワンマン公演(!)が決定したことも告知された。なぜ彼らは“最初で最後”の日本武道館公演と銘打ったのだろうか。さらなる頂上を目指すために、自ら退路を断ったのだ。ラスト2曲の「Get Up,Get Up」、「f.a.i.t.h」でアリーナに凄まじいウォール・オブ・デスを作り上げ、その景色を目に焼き付けるように眺めながら、“武道館に嵐を呼んだSiM”の伝説的ライヴは幕を閉じた。

【取材・文:荒金良介】
【撮影:半田 安政(Showcase)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル SiM

リリース情報

CROWS

CROWS

2015年10月07日

ユニバーサル ミュージック

[CD]
1.CROWS
2.PSYCHO

[DVD]
- LiVE DIGEST - SiM @ DEAD POP FESTiVAL 2015 (Day1,Day2)
SiM AGAINST YOU -答え合わせ編-

セットリスト

"THE TOUR 2015" FiNAL -ONEMAN SHOW at BUDOKAN-
2015.11.4@日本武道館

  1. KiLLiNG ME
  2. WHO’S NEXT
  3. CROWS
  4. PSYCHO
  5. ANTHEM
  6. GUNSHOTS
  7. Amy
  8. EXiSTENCE
  9. Murderer
  10. Set me free
  11. Same Sky ~Acoustic Ver.~
  12. Come Together ~Acoustic Ver.~
  13. Blah Blah Blah
  14. JACK.B
Encore
  1. Rum
  2. Get Up,Get Up
  3. f.a.i.t.h

お知らせ

■ライブ情報

OZZFEST JAPAN 2015
2015/11/21(土)幕張メッセ 国際展示ホール9~11

SHANK OF THE MORNING TOUR
2015/12/03(木)梅田クラブクアトロ
w/ SHANK / SiM

OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2015 in TOKYO
2015/12/06(日)TSUTAYA O-EAST / 渋谷クラブクアトロ / TSUTAYA O-WEST / CLUB ASIA / CLUB VISION / TSUTAYA- O-CREST

RED BULL LIVE ON THE ROAD 2015 FINAL STAGE
2015/12/09(水)川崎CLUB CITTA’

OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2015
2015/12/19(土)KING COBRA / club DROP/ なんばHatch / Pangea / BIGCAT / FANJ twice

MERRY ROCK PARADE 2015
2015/12/20(日)ポートメッセなごや 1号館~3号館

ポルノ超特急2015
2015/12/23(水)京都パルスプラザ

Z 25th Anniversary Party
2015/12/26(土)川崎CLUB CITTA’

NO MATTER LIVE
2016/01/23(土)Zepp Sapporo

FIRE BALL presents 大炎上Vol.2
2016/02/07(日)yokohama Bay Hall
w/ FIRE BALL with Home Grown / SiM

CROSSFAITH XENO WORLD TOUR 2016:JAPAN
2016/02/11(木)なんばHatch
w/ Crossfaith / SiM

THE ORAL CIGARETTES 唇ツーマン TOUR 2016~復活・激突・BKW!!の巻~
2016/02/19(金)仙台Rensa
w/ THE ORAL CIGARETTES / SiM

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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