1stフルアルバム『FIRST KISS』のリリースに伴うスペシャルライブ「MACO -FIRST KISS- PREMIUM LIVE」。2度目のワンマンライブでMACOは、シンガーソングライターとしてのカラフルな魅力――共感力の高い歌詞、素直な感情表現を伴ったボーカル、彼女自身の愛らしいキャラクタ-――を存分に発揮してみせた。

　会場の日本橋三井ホールは約1000人のオーディエンスでぎっしり満員。オシャレな女性ふたり組、仲の良さそうなカップル、アイドル・ファンっぽい雰囲気の男子まで。幅広い客層はMACOの楽曲のポピュラリティの高さを示しているよう。アルバム「FIRST KISS」の楽曲をたっぷり楽しめる！という期待が高まっていくなか、18時を少し過ぎた頃、ついにライブがスタート。

　爽やかなブルーのワンピースに身を包んだMACOがステージに登場した途端、大きな歓声が巻き起こる。オープニングナンバーは「君の背中に」。切なさと愛らしさが共存したアップチューンによって、会場のテンションは徐々にアップ。さらにAOR的な大人っぽいサウンドが印象的な「SHINY STARS」へ。やや緊張が感じられる、初々しいステージングも愛らしい。

「ありがとう！　MACOだよー！」「特別なワンマン、死ぬほど緊張してます（笑）。（MACO、かわいいー！という声が聞こえてきて）え、かわいい？　ありがとう、もっと言って。そういうので緊張がほぐれていくので」
　というＭＣのあとは、「いっしょに歌ってくれたら嬉しいです。『ふたりずっと』」という紹介から始まった「ふたりずっと」。「愛してるよ　ずっとずっと、ねぇずっとずっと」というサビのフレーズではオーディエンスの合唱が起こり、会場全体が温かいムードで包み込まれる。双子ダンスユニット“まこみな”が手がけた可愛い振り付けも印象的。誰もが“わかるな、この気持ち”と感じる感情をナチュラルに表現することによって、心地良い一体感を作りだせることが、シンガーソングライター・MACOの大きな魅力なのだと思う。さらにアコースティック・テイストのラブソング「告白」、「アルバムの曲はほとんど初披露だから、ドキドキしています」という言葉を挟み、洋楽R&Bのエッセンスを取り入れたダンスチューン「Don’t You Know I Love U」を披露。楽曲の世界観、サウンドによって表情を変える歌声もきわめて魅力的。自分の歌をアピールするのではなく、楽曲の良さを引き出すことに意識を置いたボーカルは本当に好感が持てる。

　続くアコースティック・コーナーでは、MACOの歌唱力をたっぷりと感じることができた。
　心地よい響きを感じさせる低音、ふくよかな倍音を伴った中音域、そして、大らかな開放感に満ちた高い音。特に「うれし涙」における繊細なファルセット、「だってあなたといれば／生きてるって感じがするの」というラインは強く心に残った。

　「元気？」「イエーイ！」「MACOちゃんは？」「大好き―！」というキュートなコール＆レスポンスに導かれたヒット曲「LOVE」からライブは後半へ。グルーヴ感に満ちたボーカルが心地良いアップチューン「アタシノスキナヒト」（ちなみに「LOVE」と「アタシノスキナヒト」は歌詞がつながっているそう。ぜひチェックしてみてください）、「MACOね、上京して2年経たないくらいなんだけど、24歳になると家族への思いが深くなってきて、ママの偉大さ、大切さが身に染みてわかるようになってきたんだよね」というコメントとともにエモーショナルに歌い上げた「24歳の私からママへ」、そして「やっといま気付いたよ／あなたはあたしの全てを／わかっていた」という歌詞がまっすぐに響いた失恋ソング「マフラー」（MACOによると「アルバムのなかで、いちばん反響があった曲」だとか）を披露。アルバム「FIRST KISS」のカラフルな魅力をダイレクトに表現したステージは、オーディエンスの心にもしっかりと届いたはずだ。

　本編ラストはアルバム「FIRST KISS」のリードシングル「Kiss」。震えるような感情が広がるボーカルはまさに絶品。ドラマティックなメロディのなかで“そばにあなたがいない”という悲しみをリアルに描いたこのバラードナンバーは（現時点において）シンガーソングライター・MACOの才能がもっとも端的に示された楽曲と言えるだろう。

　アンコールのコールの代わりに観客が「LOVE」のフレーズを歌うなか、バンドメンバーが登場し、80’sのフレイバーに溢れた「We Gonna Be Happy」が始まる。カジュアルなファッションに着替えたMACOはオーディエンスと積極的にコミュニケーションを取りながら、この華やかなポップチューンを楽しそうにパフォーマンス。さらに「ちょっと早いクリスマスプレゼントです！」と「All Want For Christmas Is You」（マライア・キャリー）をカバー。ステージのライティングもクリスマス・カラーに彩られ、フロアにも心地良い好感が広がっていく。

　記念すべきライブのエンディングを飾ったのは、2度目のアンコールで披露された新曲「恋心」。2016年2月3日にリリースされるこの曲は、吉田鋼太郎が主演、ヒロイン役として高畑充希が出演するドラマ「東京センチメンタル」（テレビ東京）の主題歌。「とってもキュンとする楽しいドラマで、そのために書き下ろしました」（MACO）という「恋心」（軽快なリズムと切なくも愛らしいメロディ、男性目線の純粋な恋心を描いた歌詞がひとつになったミディアムチューン）は彼女にとってもひとつのターニングポイントになるだろう。

　2016年2月からは初の全国ツアー「MACO-FIRST KISS-TOUR 2016」がスタート。20代前半の女子の等身大のメッセージを優れたポップソングへと導くMACOのセンスはこれから、さらに幅広いリスナーによって共感されることになるはず。ニューシングル「恋心」を含め、MACOに対する期待はさらに大きくなっていきそうだ。

【取材・文：森朋之】