04 Limited Sazabys 全国ワンマン・ツアー Zepp ダイバーシティ東京をレポート
04 Limited Sazabys | 2015.12.21
04 Limited Sazabys(以下フォーリミ)の駆け上がりぶりが凄まじい。今年4月にメジャー1stアルバム『CAVU』発表以降、恵比寿リキッドルーム、赤坂BLITZとキャパを広げてきたが、遂にZepp ダイバーシティ東京である。この1年間(正確には半年か)で、絵に描いたようなホップ、ステップ、ジャンプ!を目の当たりにして、バンドはちゃんと地に足が着いているのかと、余計な心配をしたくなるほどだ。だが、それは全くの杞憂だった。会場の規模に比例して、バンドは着実に成長を遂げている。今のフォーリミの成長速度は一瞬でも見逃すと、こちらが追い付けなくなるスピード感で高みへと登っている。この日もそれをまざまざと体感することになった。
メジャー1stシングル「TOY」に伴う初の全国ワンマン・ツアー、7本目にあたるZepp ダイバーシティ東京公演。ショウは最新シングルの冒頭を飾る「Letter」で幕を開けた。この曲を初披露したのは前回の赤坂BLITZだ。僕は今日で二度目になるが、既に風格のある演奏力を身に付け、歌とメロディをしっかり伝えようとする意志が伝わってきた。満杯に膨れ上がった会場の空気をじっくり確かめるような立ち上がりから、「days」で一気に演奏は加速する。曲中にGEN(Vo/B)はラップ調でフリースタイルを織り込む場面もあり、現場感をアピールする手腕にも驚いた。それからドライブ感溢れる疾走曲「escape」もライブで格段に映え、4曲を聴き終えた時点でKOUHEI(Dr/Cho)を軸とする強靭なバンド・グルーヴに圧倒されるばかり。
その後もサビのスケール感が爽快な「medley」を筆頭に多彩な曲調で攻め続ける。パンキッシュな駆動力はもちろん、ユニークなフレーズや物語性に長けた曲展開に加え、序盤にGEN(Vo/B)は「音楽で生きる力を与えたい」と言っていた。そう言えば、『TOY』のタイミングで取材した際も、「帰り道に歌ってくれるような曲(「Letter」)を作りたかった」という発言が印象的だった。その場限りではなく、聴き手の生活、はたまた人生にまで影響を与えられる音楽を創出したい。その思いがライブにも色濃く表れているのではないか。それがこれまでになくパワフルに響いてくる要因かもしれない。
イントロに煌びやかなギターを配した「in out」カラフルな照明が明滅する中でスモークの演出も映えていた「fiction」ではダイナミックかつ重厚な演奏力を叩き付け、フロアは俄然熱くなっている。
中盤に小休止を挟むと、ラジオ番組風に観客からのお便りやバンド仲間からのメッセージを読み上げ、会場は大爆笑。さらにRYU-TA(G/Cho)が母に対する感謝の言葉を口にするシーンもあり、演奏以外でメンバーの人間性が窺えるアプローチも面白かった。それも自分たちの音楽的な幹が確立されてきたからこそ、枝葉にも目が行くようになったに違いない。
それからKOUHEI(Dr/Cho)のドラムソロを経て、後半はアッパーかつキャッチーな楽曲を畳み掛けていく。フロアも序盤と変わらず、いや、右肩上がりで活気づく一方だ。肩車からダイバーとなり、人が波のように動く光景も次第に増えていく。RYU-TA(G/Cho)が片足を何度も上げるコミカルな動きを見せるリズミックな「Chicken race」、観客とのコール&レスポンスで一体感を高める「labyrinth」と、以前と比べても聴き手を曲中に巻き込んでいくステージングも頼もしい限りだ。それから「Now here, No where」の爆発力漲るプレイにも引き込まれてしまった。
その中でもGEN(Vo/B)の歌とベースで始まり、アウトロも同様の形で締め括る「soup」は白眉だった。歌詞もよく聴き取れ、脳裏に情景を浮かび上がらせながら、観客1人ひとりの心に突き刺さっている。会場は自然と一つにまとまっている印象を受け、改めて曲の良さを再認識した。この時点で最新シングルから4曲すべてプレイされたが、どの曲もライブにおける浸透力が素晴らしく、表現力のスキル・アップが如実にわかるものだった。
本編を「midnight cruising」で終えると、アンコールでは「Buster Call」をプレイ。クリアなハイトーン・ヴォーカルは会場を突き抜ける豪快さで、一枚岩となった演奏と見事に合致して、フロアはとんでもない熱気を帯びる。まだこんな余力があったのかと思うほどの観客の騒ぎっぷりだ。その余韻を引きずって「swim」まで颯爽と駆け抜ける。計29曲というセットリストは、間違いなく過去最高の曲数だったはずだが、途中で中弛みすることなく全編楽しめた。演奏、ステージング、エンタメ性など細部まで磨き上げ、視覚と聴覚に訴えるライブは観応え十分だった。来年4月には2日間に渡り、彼らの地元・名古屋にてバンド主催の野外フェス「YON FES 2016」も発表された。来年はさらなる飛躍が期待できそうだ。フォーリミ、来年もこの勢いでかっ飛ばしてくれ!
【取材・文:荒金良介】
【撮影:Viola Kam (V’z Twinkle)】
リリース情報
セットリスト
TOY tour 2015
2015.12.2@Zepp DiverCity(TOKYO)
- Letter
- days
- monolith
- escape
- medley
- teleport
- Do it Do it
- nem…
- in out
- fiction
- knife
- me?
- Any
- Higher
- Chicken race
- labyrinth
- No way
- Now here, No where
- Remember
- ghost
- Lost my way
- imaginary
- Wednesday
- soup
- hello
- Terminal
- midnight cruising
- Buster call
- swim
お知らせ
YON FES 2016
2016/04/02(土)、03日(日)モリコロパーク(愛・地球博記念公園)
出演:04 Limited Sazabys / and more
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。