スガ シカオ、前代未聞の新アルバム、生ライブ試聴会!その手応えとは?
スガ シカオ | 2016.01.21
スガ シカオ の“LIVE TOUR 2015『THE LAST』~生ライブ試聴会&FUNK PARTY~”は、2部構成。第1部は、ニューアルバム『THE LAST』の生ライブ試聴会という興味しんしんの内容だ。
念願だった小林武史をプロデューサーに迎えて、自分のすべてをさらけ出すと宣言して突入したレコーディングは、スガにとって過酷なものだったという。また、「2度目のメジャーデビューアルバムを作る」とも語っていた。だからこそ、完成したアルバムの歌を、いち早くファンに届けたかったのだろう。
そしてその迫真の試みは、見事に成功を収めた。この“生ライブ試聴会”で初めて『THE LAST』に触れたオーディエンスは、このアルバムに込められたエッセンスを直に感じることができたと思う。幸運なリスナーだと言えると同時に、観点を変えれば、彼らはスガ自身に渾身のアルバムの手応えを伝える重要な役割を負っていた。そして両者は、驚くほどの歓びを分かち合うことになった。
まず映像が流れる。「J-POPになる前のスガ シカオ。この2度目のメジャーデビューアルバムは、そんなアルバムです。FUNKでもなく、ROCKでもなく、?き出しのスガ シカオそのものなんです」というテキストに、期待でぱんぱんに膨らんだオーディエンスたちはいちいちに反応する。
映像が終わると、スガがアコギを弾きながら歌い始めた。アルバムの曲順どおり、1曲目は「ふるえる手」だ。スガと父親との関係を赤裸々に描く歌詞が、スクリーンに大きく映し出される。初めて聴く歌だから、オーディエンスにとっては有り難い。しかし、それ以上に、リアルな歌詞が観客のリアルなリアクションを呼ぶ。1度目のデビュー前のスガの心境とも言える内容の言葉が、この1年間の彼の創作の苦闘と重なって、場内は凄い集中力でスガの歌に吸い込まれていった。
「第1部では『THE LAST』から新曲ばかりを曲間もそのまんまでお送りします。僕的には全曲聴いてもらいたかったんですけど、宣伝部長が『全部聴かせると、満足してしまって、CDを買ってくれなくなる』って(苦笑)。こういう形で、みんなに新曲をプレゼントしたかったんですよ」。スガは真っ直ぐテンションを上げていく。
5曲目の「愛と幻想のレスポール」では、♪上手になんて弾きたくない 綺麗事なんて歌いたくない~わかってほしいのは そう君だけ♪とファンクのリズムに乗って痛烈な歌詞が爆発する。ピュアでストレートな歌に、立ち尽くすオーディエンスの中には涙をぬぐう人も見られた。
第1部のラストは、「アストライド」。レーベル移籍後、第1弾シングルとして発表されたこの曲を核として『THE LAST』は作られた。♪何度だって やり直せばいい♪というフレーズは、1曲目の「ふるえる手」にも入っている。つまり、最初と最後の歌詞が共通しているアルバムなのだ。7曲、40分間ほどの試聴会は、緊張と感動のうちに終わった。前代未聞の“第1部”となった。
第2部はお待ちかねのファンク・パーティだ。「お待たせ~!」と再び登場したスガは、まず自らのギター・ソロを決める。1曲目は人気曲の「あまい果実」だ。20世紀の終わりにリリースされたこの曲が、第1部の『THE LAST』の曲とまったく違和感なく聴けることに驚く。このことが、スガ シカオというアーティストの本質を表わしている。芯になる部分が、まったくブレていないのだ。しかし、そんなスガでも、原点に戻らなければ乗り越えられない壁がある。今回がその節目だったのだろう。
その節目そのものを見せたのが第1部だとしたら、「あまい果実」から始まった第2部はスガの揺るがない背骨だった。第1部で魂を揺さぶられたオーディエンスたちは、スガの変わらぬ“立ち位置”を示されて、安心してファンクのグルーヴに身をまかせる。勇気をもって新作を提示したスガと、それを真正面から受け止めて祝福したオーディエンスたちにしかできないパーティが始まった。
「2015年の春から、ずっとアルバムを作ってました。夏フェスもしぼりました。なので、あんまりMCのネタがないんですけど(笑)。 2015年は『THE LAST』が作れたから、いい年でした。そして来年は20周年イヤーですよ。年数だけじゃなく、濃い年にします!」。
いつにも増して、バンドもスガも飛ばす。終盤のピークは、「したくてたまらない」。道徳的にヤバい歌詞を、会場中が大合唱する。まさにスガのファンク・パーティだ。
アンコールではギタリストのJUON(from FUZZY CONTROL)が大 活躍。持てる限りのテクニックとエナジーで“2度目のデビューアルバム”を祝う。
「終わりたくないんで、もう1発だけ。数少ない冬の歌です」 と、最後に「Cloudy」を歌った。スガ シカオの2016年は、きっと濃い1年になる。
【取材・文:平山雄一】
リリース情報
THE LAST(初回限定盤)[CD(通常盤)+SPECIAL CD「THE BEST」]
2016年01月20日
ビクターエンタテインメント
01.ふるえる手
02.大晦日の宇宙船
03.あなたひとりだけ 幸せになることは 許されないのよ
04.海賊と黒い海
05.おれ、やっぱ月に帰るわ
06.ごめんねセンチメンタル
07.青春のホルマリン漬け
08.オバケエントツ
09.愛と幻想のレスポール
10.真夜中の虹
11.アストライド
<SPECIAL CD『THE BEST』>
01.Re:you
02.傷口
03.Festival
04.アイタイ
05.したくてたまらない
06.赤い実
07.赤い実 Remix
08.情熱と人生の間
09.航空灯
10.LIFE
11.モノラルセカイ
※全曲リマスタリング
セットリスト
SUGA SHIKAO LIVE TOUR 2015『THE LAST』~生ライブ試聴会&FUNK PARTY~
2015.12.26@Zepp DiverCity Tokyo
第1部:『THE LAST』生ライブ試聴会
- ふるえる手
- 大晦日の宇宙船
- あなたひとりだけ 幸せになることは 許されないのよ
- オバケエントツ
- 愛と幻想のレスポール
- 真夜中の虹
- アストライド
第2部:FUNK PARTY
- あまい果実
- ドキドキしちゃう
- 19 才
- Happy Birthday
- LIFE
- 赤い実
- Re:you
- はじまりの日
- Loveless
- アイタイ
- 青空
- したくてたまらない
- 91 時91 分
- イジメテミタイ
- Progress
- 午後のパレード
- コノユビトマレ
- Cloudy
お知らせ
ROOTS 66 -Naughty 50-
2016/03/25(金)宮城県 仙台サンプラザホール
2016/03/27(日)東京都 日本武道館
2016/04/03(日)大阪府 大阪城ホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。