井上苑子「だいすき。」リリースツアー「たんじょうびだいすき。」東京公演をレポート
井上苑子 | 2016.02.15
現役女子高生シンガーソングライター、井上苑子。透明感あふれる歌声で、元気いっぱいの等身大な楽曲を聴かせてくれる彼女の歌声はSNSを通して広まり、ついには、メジャーデビューをその手に掴んだ。そして18才になる2015年12月11日に、東京Mt.RAINIER HALLにて誕生日ライブを開催。この日のチケットは、なんと発売後1分で完売。すぐにプラチナチケットとなったのだ。そんなライブだからこそ、始まる前から会場はすでに熱気で満ちている。座席には井上苑子と同世代であるだろう中高生はもちろん、彼女の楽曲の魅力に惹かれた大人のファンまで、広い世代の人たちが座っている。そして開演と同時に流れたSEとともに手拍子が始まり、全員が座席から立ち上がった。
ステージに登場したのは、みんなが待ち望んだ井上苑子本人。トレードマークであるブレザー制服スタイルで登場した彼女の表情は笑顔で満ちている。がしかし、一度でてきたにもかかわらず、忘れ物をしたようで一度ステージから去り、またひょっこりを顔を出す。そんな決まりきらないステージングもまた可愛らしい。その後、ステージの真ん中に登場し、「こんにちは! 井上苑子です!」と弾ける笑顔を見せた後、大きなギターをかかえるようにかき鳴らして『線香花火』、『メリーゴーランド』とたたみ掛ける。この時点で会場全体に笑顔が伝染し、すでにハッピーが溢れている。これも、彼女が持つパワーだろう。その後、ギターを置いて嬉しそうにマイクを持った彼女は「オイ!オイ!」とあおり、『Lovely days, Lousy days』を歌い出す。その姿はとてもナチュラル。人なつっこくみんなに笑顔を向ける姿に、すぐに愛される理由が分かった気がした。
いきなりアクセル全開で始まったライブは、一息つく間もなく、彼女から発された言葉は「すげえな~!」の一言。思わず吹き出してしまうその自然すぎる口ぶりだが、これが彼女の自然体。「ホンマにすげえわ! みんな、ありがとう!」と興奮状態で話しながら、先ほどの忘れ物の件を面白おかしく話す。「ピックを忘れてもうてさ~!」と思い切り関西弁で話し、会場を盛り上げた後、「もっと、もっと盛り上がっていきたいと思う!」と言い切り、『グッデイ』を歌い出す。屈託のない、飾らない笑顔で歌うこの曲のあと、ギターをかき鳴らし、『夢』を披露。とまらないクラップに会場が一体に。ポップでいながら、エモーショナルさも持ち合わす『Get U』では、ただ盛り上げるだけでなく、しっかりと曲を聴かせているのだ。ただ元気なだけでなく、切なさもちゃんと表現できるそのふり幅は、とても大事なこと。このギャップがまた、たまらない。
続くMCでは、小6の頃から続けているストリートライブでのことを語ってくれた。「雨が降って着たり、寒すぎてギターが弾けなかったり、暑すぎてギターが汗でビチョビチョになったり、大変なこともあったけど」と語る姿は、どんなことがあっても、続けてきたという“自信”と“誇り”を感じることが出来る。そんな彼女のライフスタイルである弾き語りを再現するかのように、ギター一本で『and I』を熱唱。これまでの空気を一変させ、しっとりと歌い上げる姿に、思わず涙ぐむ人も。 ひとしきり曲の余韻に浸った後、ステージにはPCが登場。それらを用意している間に、彼女はデビューするまでの話をしてくれた。中1から中3まで、毎日ストリートライブをしていたこと。お客さんは毎日1人や2人、もちろんいない日も。このままでいいのかと悩みながらも、必死に道を見つけようと努力し、見つけ出した「ツイキャス」というツール。徐々にフォロワーが増え、そこでオリジナル曲やリクエストを歌っていくうちに、ついにデビューを掴んだのだ。このシンデレラストーリーは、彼女の努力があってこそ。しかし、彼女はそこに焦点を当てるのではなく、みんなにありがとう、ありがとうと何度も伝えてくる。この謙虚かつ感謝の気持ちがきっと、多くの人を動かすのだろう。
さらに当日はLINE LIVEで中継をしていることを報告。先述の通り、プレミアライブとなったこのライブをより多くの人に届けようとLINEでライブが見られるように生中継していたのだ。しかも、その視聴者はこの時点で2万2千人。驚異の数だ。これは、どれだけ彼女が愛されているかの証拠となる数字だろう。
その彼女の原点となるリクエストを、この会場でもやるという太っ腹企画を実施。お客さんのリクエストをその場で答えると言う“ガチ企画”にもかかわらず、miwaの『Don’t cry more』、いきものがかり『プラネタリウム』、クリープハイプ『左耳』、サスケ『青いベンチ』を歌い上げた。こんなにもサービス精神旺盛でいいのかと思うくらい彼女は柔軟にリクエストに応え、難なく歌いこなす。ガチガチに作りこまれたステージングでは絶対にできないパフォーマンスを見事にやってのけた。
後半戦は『大切な君へ』から開始。自然とお客さんたちが以前、彼女がこの曲でしていた振り付けを踊り出し、とてもほほえましい空間に。さらに『青とオレンジ』では、ここに来たファンからのサプライズとして、青とオレンジのサイリウムの光が客席一面に広がったのだ。彼女は美しく光る客席を見て思わず涙ぐみながら、「『青とオレンジ』最高やな! ホンマにありがとう!」と話す。「今日は泣かへんと思ってたんやけどな」と本音をこぼしながら、『赤いマフラー』『Say My Name』を歌い上げた。そして、ファンへのありったけの感謝をしっかりと言葉にして、このライブタイトルにもなっている『だいすき。』を最高の笑顔で歌い切り、本編は終了した。
アンコールでは『大切な君へ』のアコースティックバージョンを披露。原曲とはまた異なる魅力を十分に堪能させてくれた。曲が終わると、ステージサイドからサプライズの誕生日ケーキが登場。その場にいるすべての人が笑顔で『HAPPY BIRTHDAY』を歌い、誕生日をお祝いした。驚きながらも「ホンマに嬉しい!」としきりに喜び、興奮状態のまま、最後は、『だいすき。』をもう一度演奏。みんなが笑顔で、“楽しい”を身体中で表現する、文字通りみんなが心から楽しめるライブが幕を閉じた。
【取材・文:吉田可奈】
リリース情報
Hello(“高校卒業記念”今だけ! プライス盤)
2016年03月16日
ユニバーサル ミュージック
2.線香花火
3.「君に出会えてよかった」
4.おんなのこ
5.ふたり
6.だいすき。
7.Walk Through Again
8.赤いマフラー
9.サヨナラバイバイ
10.雪
11.右足
12.グッデイ (Hello ver.)
※出荷終了次第、【通常盤】税込3,000 (税抜¥2,778) / UPCH-20414 へ移行となります。
セットリスト
「だいすき。」リリースツアー「たんじょうびだいすき。」
2015.12.11@東京 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
- 線香花火
- メリーゴーランド
- Lovely days, Lousy days
- グッデイ
- 夢
- Get U
- and I
- 大切な君へ
- ふたり
- 青とオレンジ
- 赤いマフラー
- Say My Name
- だいすき。
<リクエストコーナー>
- 大切な君へ(アコースティックVer.)
- だいすき。
お知らせ
NEW ROMANTICS 2016
2016/03/13(日) スカラエスパシオ(福岡県)
「卒業。~私たちのJK完結 前夜祭~」
2016/03/25(金)SHIBUYA CLUB QUATTRO
井上苑子 高校卒業記念スペシャルワンマンライブ 「卒業。 ~私たちのJK完結!~」
2016/03/26(土) 恵比寿LIQUID ROOM
Up to you.3rd
2016/03/28(月) Zepp Tokyo
超十代 - ULTRA TEENS FES -
2016/03/29(火) 幕張メッセ 国際展示場5・6ホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。