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MACOが魔法の一夜を演出! 初の全国ツアー「MACO -FIRST KISS- TOUR 2016」東京公演をレポート

MACO | 2016.03.08

 ティーンから20代前半の女子に絶大な支持を得ているMACOが初の全国ツアー「MACO -FIRST KISS- TOUR 2016」の東京公演を豊洲PITで開催した。カップル動画をアップしたり、仲の良いカップルの写真を見てトキメク若い世代に人気なのは、彼女の歌が、自分の気持ちを分ってくれる “親友のような音楽”となっているからだろう。

 口には出して言えない思いを何度も繰り返す「Don’t You Know I Love U」から、友達のままでいいからそばにいたいと願う「君の背中に」。切ない気持ちが募るアップテンポのポップロックでライブをスタートさせた彼女は、ホールに詰めかけた満員の観客に向かって、「MACOが東京に戻ってきたよ。嬉しい?」と話しかけ、「嬉しい!」という声が返ってくると、「よかった。MACOも今日は東京で歌えるのが嬉しくて嬉しくて仕方なかったよ。みんなと1つになって、忘れられない1日を、魔法の夜を作っていきたいと思います」とあいさつした。続く、永遠の愛を誓う「ふたりずっと」でライブハウスはハッピーなピンクのサイリウムで埋め尽くされ、ブギーファンク調の「SHINY STARS」とアコギ一本で歌い始めたミドルナンバー「マフラー」では忘れられない思い出を乗り越え、意味のあるものへと変えていく前向きな姿勢が打ち出されていた。力強く伸びやかな歌声ながらも、“私”を押し出しすぎず、聴き手が自分の様々な恋の思い出を重ねられる隙間があることも、彼女の歌が多くの共感を呼んでいる理由だと再確認した。

 ここで彼女が「最近、楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったことはありました? MACOはみんなと一緒にしゃべりたいんだよ」と語りかけると、観客それぞれが思いの丈を話し始めた。彼女と喧嘩をした人、記念日や誕生日を迎えた人、復縁した人からテストの追試やインフルエンザまで……。久しぶりに会った友達との近況報告のような親密な時間を過ごし、離れて暮らす母親への感謝を込めた「24歳の私からママへ」を真っ直ぐに歌い上げた後、一度ステージを去り、衣装を変えて戻って来た彼女は、ベーシストの誕生日を「ガチサプライズ」でお祝いし、後半戦へと突入。引き寄せの法則をテーマにした80年代テイストのポップロック「We Gonna Be Happy」を観客と一体となって歌い、踊り、「自分の好きな人を思い浮かべてください」と語ったファンキーなR&B「アタシノスキナヒト」で何度も投げキッスを観客に贈り、ヒット曲「LOVE」は会場中の大合唱となった。

 彼女がブレイクするきっかけとなった洋楽の日本語カバー「私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない~We Are Never Ever Getting Back Together (Japanese Ver.)」を1コーラスだけ披露し、インディーズ時代にリリースした「存在」「幸せのはじまり」「この世界中で」を心を込めて、丁寧に歌い上げた彼女は、故郷である北海道の函館から上京した時の心境を語ると共に、自身が歌う理由についても話し始めた。少し長くなるが、彼女のシンガーとしての本質に触れる部分であるので、引用することにする。

「ダ・ヴィンチの『過去・現在・未来は所詮幻想』っていう言葉を聞いた時、MACO、妙に納得しちゃって。さっきさ、『Don’t You Know I Love U』で登場して、降りてきて歌って、『LOVE』をみんなで歌った。あの情景はもう過去なわけですよ。次の曲が最後になるけど、数十秒後にそれがまた過去になってる。その、過去、現在、未来が幻想になる前に曲に残していくのがMACOの使命だなって思ったんですよ。MACO は、過去に思ったこと、今、思ってること、未来こうなって欲しいなってことを常にスマフォにメモして、作詞して、曲にしていってるんですね。それをみんなに聞いてもらうことで、『MACOちゃん、今、こういうこと思ってるんだな』とか『最近、恋愛してないけど、恋をしたくなったな』っていう風に思ってもらえたら本当に嬉しい。過去、現在、未来は所詮幻想かもしれないけど、曲にして、音楽にすれば、終わることはない。そのためにMACOは歌を歌ってるんだなと思って。今日はMACO一人だけじゃなくて、MACOfam(ファンの愛称)のおかげでライブが完成したと思ってます。素敵な過去と未来を見せてくれて本当にありがとうございます」

 『22』『23』という年齢を記したアルバムに収録されていた過去の曲を歌うことで当時の心境を思い起こし、「24歳の私からママへ」などで現在の心境をしっかりと刻み込んで来た彼女のこれからの未来は、聴き手であるファンと共に作っていくのだろう。
 本編の最後を失恋ソング「Kiss」で終えた彼女がステージを降りると、客席からは「LOVE」の大合唱が巻き起こった。<あなたが好きよ>ではなく、<MACOちゃんが好きよ>と歌詞を替えて歌われたMACOが笑顔で再登場し、バンド編成で「My Smile」、アコースティック編成で「幸せ」を歌い、明るさの中にある切なさ、うれし涙のような微妙なニュアンスを表現。さらに、人との出会いによって変われた自分の気づきをテーマにした「出逢い」「夜明けが来るまで」で、改めてMACOの世界に聴き手を引きずり込み、最後に「今、一番みんなに届けたい曲です」と語り、新曲「恋心」を披露。吉田鋼太郎主演のドラマ「東京センチメンタル」のために書き下ろした、MACOにとっては初のドラマ主題歌。「実らない恋かもしれないけど、出会えてよかったと思える気持ちを全面に書いた」というラブソングは、世代を超えて受け入れられそうなスタンダードな響きを湛えていた。

 彼女の歌は、たとえ自分の経験と違っていたとしても、恋について、出会いについて考える契機をくれる。そもそも、恋をするのに年齢は関係ないし、MACOのさりげなく情感の漂う歌声は、年齢を重ねるほど、艶やかな深みを増してくるのではないかと思う。現時点ではリアルな恋心を綴ったラブソングで、聴き手の日常に親友のように寄り添い、新世代の女心の代弁者としての熱い支持を得ていることは間違いない。だが、これからは年齢や性別を超えて広がっていくような期待感も抱かずにいらないライブにもなっていた。

【取材・文:永堀アツオ】
【撮影:Toyohiro Matsushima】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル MACO

リリース情報

恋心

恋心

2016年02月03日

ユニバーサル ミュージック

1. 恋心
2. 夜明けがくるまで
3. 出逢い

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お知らせ

■ライブ情報

神戸コレクション 2016 SPRING&SUMMER
2016/03/12(土)ワールド記念ホール

TOKYO GIRLS MUSIC FES. 2016
2016/03/20(日)東京 国立代々木競技場第一体育館

KAB MUSIC CARNIVAL 2016
2016/03/26(土)グランメッセ熊本

シンデレラ・フェスVol.3
2016/04/05(火)東京 国立代々木競技場第一体育館

FM鹿児島プレミアムライブShake
2016/04/30(土)鹿児島 CAPARVO HALL

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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