前へ

次へ

音×AiRの快進撃ワンマン原宿アストロホールをレポート

音×AiR | 2016.03.22

 2016年3月12日。大阪・豊中のハートフルロックバンド、音×AiRにとって記念すべき東京初ワンマンライブの日である。楓の赤、MASAYAの青、竜之介の黄、大地の緑。メンバーカラーの照明がそれぞれの立ち位置を照らす原宿クエストホールのステージが暗転したのは18時5分ごろ。SEに導かれて4人が順番に登場し、最後に楓が飛び出して「原宿、いこうかー!」とシャウト一発。ショーは「ダントツ☆YOU」で開幕した。

 実を言うと僕は、アンプを通したエレクトリックセットの音×AiRをこの日初めて見た。過去10回見てきた「音×AiR♪JOL原宿でLove Me Do!」はアコースティックセット。そこで楓が何度も言っていたように、エレクトリックこそ彼らの本来の姿である。それは承知の上だし、見るチャンスは何度もあったが、あえて見なかった。本領は対バンで小出しよりもワンマンで全開のを味わったほうが絶対おいしいと思ったから。結果、彼らの意外な骨太さ(なぜ「意外」かは後ほど)はとても魅力的で、文句なしにかっこよかった。

 まず竜之介のドラム。簡易なJOLと違ってフルセットで、音量も気にせず存分に叩きまくる。やっぱりドラムはバンドの要だ。大地のエレキギターも言うまでもなく新鮮。カッティングしながらのソロがかっこいい。MASAYAのベースもよく歌っている。やかましいサウンドに負けずきっちり歌詞が聞き取れる楓の歌力も立派なものだ。2曲目「シャカリキエビデイ」を演奏し終えると4人は早くも汗だくに。

 「俺めちゃめちゃ今日を楽しみにしてました! みんなも同じ気持ちやったらうれしいねんけど、どう? 楽しみにしてた人~!(歓声+拍手) ありがとう! 今日は俺ら思いっきりドでかいド派手なライブをしようと思ってますので最後までよろしく! ブチ上がっていこうぜ!」と楓が煽って「純愛バイセコー」へ。サビのハモり、ワイルドな突進力が半端ない。若いっていいなぁ。

 「次の曲でみんなとひとつになりたいと4年前から俺は考えていた!」と振付講座を経ての「Love Me Do」。完全にマスターしているお客さんだけじゃなく、後方のうろ覚えの人も置いていかず参加させる楓の強引さ……じゃない、やさしさよ。アコースティックではかわいい曲だなと思っていたが、フルドラムとエレキギターのおかげでぐっと骨太な印象。曲名はビートルズなのにローリング・ストーンズっぽいギターソロがシャレが効いている。「乙女ビンビン」では楓が客席に下りて原宿の乙女をほめちぎり、愉快な「ドジっ娘モーニング」を続けてセットリストのストーリー性もばっちりだ。

 ここでチェンジオブペースとなり、JOL原宿、ストリートライブ、20円配信キャンペーンと、昨年来のトライアルを回顧し感謝を述べる。路上で寒そうにしていれば使い捨てカイロ、米ばっか食ってると言えばカレーや柴漬けを差し入れてくれたとか。なんと優しいファンでしょう。その配信キャンペーンで1位に輝いた「ウォナノウ」でライブは後半へ。「叱ってサディスティック」「ダメ」のダメ男シリーズ、「愛を唄おう」「歩く歩く歩く」のミディアムシリーズを続けて、竜之介のMCコーナー。「僕はスベったことがないんです。なぜかというとドラムセットがついてるので……(バスドラ連打)これをやれば盛り上がってるように聞こえるわけです」と会場を微妙な湯加減にあっためて、いよいよラストスパートだ。

 楓がアコギを手にして「二十歳になってから作った曲で、大人の枠に一歩足を踏み入れたときのいろんな思いを一曲に込めました」とMCし、AMEMIYA兄貴のお気に入り「あの頃のままで」。微笑み王子のMASAYAもいちびり王子の竜之介も真剣な表情で、僕も「彼らの10代最後の数カ月を見守っていたんだな」とグッときた。そして「音×AiRが初めて作った曲です」と「僕らの音楽」、タオル回し入り「new world」に「なんちゃってヒーロー」。本編ラスト「ホームグラウンド」前のMCはちょっと泣けた。「ずっと東京でワンマンしたいと思ってて、実現したのはほんまにみんなのおかげやと思ってます。苦しいときも、うまくいかへんな~と思うことも、打ちのめされそうなときもあったけど、出会ってくれた人たちが、俺たちがいちばん輝ける、いちばん大事にしてるライブハウスまで来てくれて、ほんまに幸せです。東京の、原宿の街にも、帰ってくる場所、ホームがちょっとずつできてきてるんかなって実感してます。またワンマンしたいと思ってるんで、そのときは“おかえり”って言うてほしいな」

 2日早いホワイトデーで客席に飴ちゃんを配ってアンコール。「体力残すなよー!」とシャウトし、文字通り硬派な「オトコボンバー」へ。メンバー紹介では各人が短く挨拶したが、MASAYAが「言わなあかんことがありまして」と8月7日のワンマンライブを発表。本当に知らなかったらしく驚いていた楓は、万感を込めて「4人だけじゃなくて、スタッフやお客さんやみんなのおかげでここまで来れました。もう前にしか進まれへんと思ってるし、東京ドームとか行くぐらいまでずっとついてきてほしい」と語り、新曲「まいどおおきに東京」を初披露。《いま花が咲く》のくだりがいい。最後は全員で手をつないでお辞儀。女の子たちを軽くときめかせて、東京初ワンマンは幕を下ろした。

 先に「意外な骨太さ」と書いたけれど、最初に紹介されたとき、育ちがよさそうでソツがないイケメンな4人の姿や物腰から、もっとおとなしくてスマートな音を想像していた。アコースティックライブを見てもCDを聴いても、端正な印象は変わらず。しかしフルエレクトリック装備の音×AiRは、ワイルドでエネルギッシュでやんちゃなロックバンドだった。楓がJOL原宿のステージで繰り返し「ライブハウスに来てください」と言っていたのも納得。この姿を見ないと「音×AiRを見た」とは言えない。次のワンマンではまたさらに大きくなった姿を見せてくれるはずだ。8月7日はO-crestにぜひ! もちろん僕も行きます。ということで、最後は4人にこの日の感想で締めてもらおう。

大地「全体的に盛り上がって、みんな笑顔になってるのもわかったし、すごくいい一日になりました。でも、今日発表した通り8月にまたワンマンが決まってますんで、そこで何をやるか、さっそくこれからみんなで考えていきます」

竜之介「東京でJOLやストリートやいろいろやった結果の今日で、めっちゃ楽しかったです。まだまだできることあるんで、次につながる日やったと思います。MCコーナーについてですか? 楓の1万倍は面白いんで、もっとしゃべらせてほしいです」

MASAYA「楽しかったです。ほんまそれだけですね。最初はこんな人入るんかって心配しかなかったですけど。今日は珍しくしゃべりましたけど、これからもっとしゃべれるようになっていきたいと思います(笑)」

楓「総合的に楽しかったし、お客さんたちも楽しんでくれてたんが伝わってきたんで、ライブとしてはめちゃめちゃよかったと思います。反省点は毎度あるんですけど、次までに修正して、もっとたくさん人を呼んでもっとおもろいライブをしたいです」

【取材・文:高岡洋詞】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 音×AiR

リリース情報

ベスト オブ ハタチ

ベスト オブ ハタチ

2015年12月23日

Yamaha Music

1. ダントツ☆YOU
2. あの頃のままで
3. ホームグラウンド
4. 叱ってサディスティック
5. ドジっ娘モーニング
6. 乙女ビンビン
7. 純愛バイセコー
8. 歩く歩く歩く

お知らせ

■ライブ情報

NOW ON AiR 快進撃ワンマン 渋谷O-crest編 ~ごちゃ混ぜなろや!スクランブル夏祭り!~
2016/08/07(日)渋谷O-CREST

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る