HOWL BE QUIET、メジャーデビュー前日に行った「チャンス到来ワンマンTOUR~決戦前夜編~」をレポート
HOWL BE QUIET | 2016.03.18
かっこいいメンバー紹介なのにクスリと笑いを誘うオープニング映像、ステージには手作りの飾り付け、そこからフロアに真っ直ぐに伸びた花道、楽曲を豊かに彩った映像と照明、ラストナンバーで舞った銀テープ。この日、HOWL BE QUIETが渋谷クアトロで見せた演出の数々は、ホールやアリーナ規模のライブでよく見る手法に近かった。「今日は今までの僕らとこれからの僕らをつなぐ大事な日です!」。ライブ中に竹縄航太(Vo・G・Piano)が何度も口にした言葉だ。メジャーデビューのタイミングに、脱ロックバンドとも言えるポップ志向を宣言したHOWL BE QUIET。彼らが渋谷クアトロに作り出した空間は、その意志を体現するような極めてエイターテイメント性の高いものだった。
3月9日にメジャーデビューを果たした4人組ピアノバンドHOWL BE QUIETがデビューの前日に行なった渋谷クアトロでのライブ「チャンス到来ワンマンTOUR~決戦前夜編~」。SEに「スターウォーズ」のテーマ曲が流れ出すと、真っ白な衣装を着たメンバー、竹縄、黒木健志(G)、橋本佳紀(B)、岩野亨(Dr)の4人が登場した。ズンズンと弾むリズムで一気に会場をハウル色に染めるアップナンバー「From Birdcage」からライブはスタート。お客さんの手拍子にのせた「PERFECT LOSER」では鮮やかなレーザーが上空を走り、鋭くエッジの効いたロックチューン「千年孤独の賜物」では、黒木のギターが冴えわたった。
ピアノを弾きながら、あるいはハンドマイクで全身を使った歌唱など、曲ごとに立ち位置を自在に変えるのが竹縄のボーカルスタイル。そんな竹縄がアコースティックギターを奏でて始まった「クローバー」からは少し会場がクールダウン。岩野が叩き出すマーチングドラムをきっかけに温かいワルツに揺れた「Merry」、剥き出しの感情を叫んだ混沌のスローバラード「バトルナイフ」へと、優しくて美しいメロディラインに惹き込まれていく。素晴しかったはドラマチックなアレンジで届けた「A.I.」。少し薄暗い中で始まったピアノによる弾き語りに、メンバーのコーラスと演奏が加わり、次第にステージにひとつずつ光が灯された。いとも壊れやすい人の心を繊細な歌詞で映し出すこの曲こそ「これまで」のハウルを象徴する1曲。同時に彼らがどんなに変わろうとも変わらない本質でもある。
全9曲を終えたところで、一度ステージを捌けたメンバーは、ペンキでカラフルに色付けされた衣装で再び戻ってきた。何色にも染まれる白から唯一無二のカラーへ。デビューシングル「MONSTER WORLD」のミュージックビデオを彷彿させる展開でスタートした後半戦は、とても煌びやかなムードだ。ウォーウォーとシンガロングを誘った「ライブオアライブ」を皮切りに、「MONSTER WORLD」の表題曲とカップリング曲全てを披露していく。竹縄が花道でポップな振り付けを踊った「Daily Darling」、賑やかなオーディエンスの雄叫びで昂揚感を生んだ「レジスタンス」、そしてバンドの未来を切り開く勝負の1曲「MONSTER WORLD」。ミラーボールが照らすカラフルな光に包まれて、聴く者全てを最高の気分へと誘ってくれる極上のポップナンバーは、バンドが目指す「これから」を、言葉ではなく音楽そのもので伝えるHOWL BE QUIETらしいステージだった。
メジャーデビューにあたり、メンバーはよく「アイドルになりたい」と言っていた。それは、どこか挑発的な決意表明だが、もし別の言葉で言うなら“ポップスター”が近いかもしれないと、この日のライブを見て思った。職業作家が作るような完成度の高いポップな楽曲、計算されたステージ演出で届ける夢のようなひととき。それをバンドで体現しようというハウルの不敵な野心に、とてつもないワクワクを感じたのは私だけはないはずだ。
アンコールにもお客さんを楽しませる演出が用意されていた。光GENJIの「パラダイス銀河」にのせて、アイドル風の装いをした竹縄と黒木が“タッケー&剣士”として登場したのだ。もちろん会場は大爆笑。「一体どこに売っているのか?」と尋ねたくなる光沢気味のブルーの衣装に身を包んだふたりが、花道に腰を降ろして歌ったのはSMAPの「オレンジ」だった。竹縄がお姉さんの影響を受けてよく聴いていたという国民的アイドルの名曲。遊び心満載の演出で届けた選曲にもまたひとつバンドの意志が貫かれていた。
最後は改めて全員そろったメンバーによるライブチューン「孤独の発明」でライブを締めくくる。岩野の「ワン、ツー、スリー、フォー!」の声を合図に、橋本が一歩前へ出てアグレッシヴなベースのプレイを見せると、黒木と竹縄はがっつり肩を組んで笑顔を寄せ合った。
「みんなにとって好きなアーティストがHOWL BE QUIETって言われたいです。変わり続けることがエンターテイメント。でも変わるけど根本は変わらない」(黒木)
「大本命になりたい。あなたのいちばんになりたくてここに立っています!」(竹縄)と、それぞれMCでメジャーデビューへの想いを語ったHOWL BE QUIET。
たくさんの好きなバンドのひとつではなく、あなたを夢中にさせるNo.1の存在になること。ロックバンドとしての呪縛から解放され、より自由に、その豊かなポップミュージックの土壌へと向かうハウルの「これから」には、いま無限の可能性が広がっている。
【取材・文:秦 理絵】
【撮影:ヤオタケシ】
リリース情報
セットリスト
チャンス到来ワンマンTOUR ~決戦前夜編~
2016.3.8@渋谷CLUB QUATTRO
- From Birdcage
- PERFECT LOSER
- 千年孤独の賜物
- グローバー
- Merry
- バトルナイフ
- ステレオライダー
- 有言不実行
- A.I.
- ライブオアライブ
- Daily Darling
- レジスタンス
- MONSTER WORLD
- オレンジ/SMAP
- 孤独の発明
お知らせ
Skream! X TOWER RECORDS presents HAMMER EGG vol.2
2016/03/23(水) Shibuya eggman
MUSIC MESSE vol.2
2016/03/25(土) なんばHatch
One-Two-Three, For!! TOUR 2016
2016/04/06(水) 福岡 キューブリック
2016/04/07(木) 広島 Cave-Be
2016/04/09(土) 大阪 梅田Shangri-La
2016/04/10(日) 名古屋 ell.FITS ALL
2016/04/15(金) 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd
2016/04/17(日) 東京 代官山UNIT
Mujack Dream Land 2016
2016/05/21(土) Music Club JANUS
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。