HOWL BE QUIET 原点回帰を経て、シングル『MONSTER WORLD』で堂々のメジャーデビュー!

HOWL BE QUIET | 2016.03.14

 竹縄航太(Vo・G・Piano)が手がける繊細で表情豊かなメロディセンスが注目され、インディーズ時代からライブハウスシーンを中心に大きな話題となっていた4人組バンドHOWL BE QUIET。いよいよ彼らが3月9日に『MONSTER WORLD』でメジャーデビューを果たした。アーティスト写真からミュージックビデオに至るまで、これまでのナイーヴなバンドの佇まいを一新。アイドル風の弾けたアーティスト写真を作り上げ、煌びやかに振り切ったポップソングを完成させた。その理由は、より自由を手にするための原点回帰。今、HOWL BE QUIETは何を想いメジャーシーンに勝負を挑むのか?
 インタビューでは竹縄航太、黒木健志(Gt)、岩野亨(Dr)の3人に話を訊いた。

EMTG:インディーズ時代からライブも見てきましたけど、今作の大変化には驚きました。HOWL BE QUIETがここまでポップに振り切った理由は何ですか?
竹縄:2年前、初めて全国流通盤として出した『DECEMBER』の時に、僕らは「Merry」とか「GOOD BYE」っていうバラードっぽい曲をリードとして、矢面に立たせて発進したんです。そしたら、周りの人から“泣けるバンド”とか“切ないバンド”みたいにカテゴライズされることが多くなって。その評価自体は嬉しいことなんですけど、でも、正直な僕らの本意で言えば、「それだけじゃないぞ」っていう気持ちがすごく強かったんです。『DECEMBER』にも「孤独の発明」っていう陰と陽で言えば、陽の曲――ある意味、今回の「MONSTER WORLD」につながる曲も入ってたから。そういう風に自分たちの見えないところでパブリックイメージがひとり歩きしていくのがすごく嫌だったんですね。
EMTG:それで、次の『BIRDCAGE.EP』で一度目の変化を見せるわけですね。
竹縄:だから『BIRDCAGE.EP』では、ライブでシェイクハンドできるような、しっかりとリスナーとつながりたいっていう想いを体現する作品を作ったんです。今度は「ライブオアライブ」っていうアッパーな曲をリードに持ってきて。そうすると、逆にロックバンドとしてカテゴライズされ始めたというか。もともとロックバンドではあるんですけど……。僕としては、今の音楽シーンがそんなに好きではないんですね。4つ打ちが主体でBPMが早い。ライブを見に行くと、お客さんがステージに背を向けて楽しんでたり。それもまた音楽のひとつの楽しみ方だと思うんですけど、僕は音楽で表現したいものが歌だから。そういう意味で、ロックバンドにカテゴライズにされてしまうのも嫌だったんです。
EMTG:なるほど。
竹縄:その1年半ぐらいは全国流通を節目として、余計なことを考え過ぎてたんですよね。他者を意識するあまり、自分を見失うというか。だから、自分の中で全部白紙に戻して、本当に今自分がやりたい音楽だったり、自分の中で原点となる部分を改めて見つめ直したんです。原点回帰ですね。そこで、やっぱり自分はポップスの人間だなと思ったんですよ。それこそ歌ものって言い方もありますけど。いわゆるロックとかバンドとか、自分の中でもカテゴライズしてた部分もあったのかなって。そういう足かせを全部外して、本当に今HOWL BE QUIETとして発信したい音楽はポップスだなと思ったんです。
EMTG:竹縄くんが思うポップス像っていうのはどういうもの?
竹縄:キラキラしていて、でもそれだけじゃない。光って光だけ見てたら光だけど、その後ろ側を見たら必ず影があるじゃないですか。その影を描くことでキラキラしたものがより映える。それが僕らが鳴らす、HOWL BE QUIETのポップスだと思ってます。だから、この「MONSTER WORLD」にはグロテスクなものも全部ひっくるめて書いたんです。
EMTG:今、竹縄くんが話してくれたこと、ふたりも同じような手応えを感じていますか?
岩野亨(Dr):すごく個人的なことなんですけど、僕は「MONSTER WORLD」ができる前はライブが終わると、「どうだった?」って周りの人にすごく聞いてたんですよ。でも、タケちゃんが「MONSTER WORLD」を書いてきて、去年の7月ぐらいからライブでもやってたんですけど、そのあたりから、そういうことを聞かなくなったんです。やっぱり、やりたいことが「これだ!」ってはっきりしたんだと思います。今までは悩みがあったんですけど、この曲がバンドの信念をひとつにしてくれたんだと思います。
黒木健志(G):竹縄から「MONSTER WORLD」があがってきた時に、竹縄航太が持っていたメロディの流線のような美しさが、新しいかたちとして出てきたなと思ったんです。これまでだったら「Merry」っていう曲でもキラキラした部分があったり、初めて4つ打ちのノレる曲っていうイメージで作った「ライブオアライブ」とかもあったけど、「MONSTER WORLD」は泣けるアッパーなんですよね。だから、変わったなっていうよりかは「今タケちゃん、これが歌いたいんだな」っていう感じなんです。
EMTG:デモの段階では、どこまで仕上げてあったんですか?
黒木:なんとなく雰囲気はわかってるっていう感じですね。そこに今回はストリングスとかシンセベース、ちょっとゲーム音楽も入れたりして、どんどん派手に、キラキラさせていきました。この曲はどれだけ“MONSTER WORLD”感を出すかっていうことが大事で。ちゃんと振り切らないと、逆にダサいなと思ったんです。
岩野:さっきタケちゃんが原点回帰って言ってて、たしかにと思ったけど、スタジオに入ってる時の感覚は、初めてみんなで曲を作った時の感覚に近くて。「こんなんやっちゃおうぜ」「うわっ、良いね!」とか。だから、すごく熟考して、「こうかな?」っていう感じじゃなくて、みんなでスタジオに入って、これやろう、あれやろうっていう。
竹縄:あれは楽しかったね。
EMTG:そのワクワク感、曲から伝わります。で、今回はカップリングに「レジスタンス」と「Daily Darling」があることで、バラエティ豊かな1枚になりましたよね。
竹縄:「レジスタンス」は、元からあった曲なんですけど、「MONSTER WORLD」がポップでキラキラした曲だったので、その相棒としてあったら心強いんじゃないかと思って入れた曲です。「Daily Darling」は初めてカップリングっていう意識で書いた曲ですね。基本的に曲を贔屓したり、優先順位とかもつけずに、全部主役のつもりで書いてるんですけど。「MONSTER WORLD」と「レジスタンス」っていう2曲が終わった時に、どんな曲が来てくれたら良いかなって考えた時にさらさらと書けました。今回のシングルはざくっとまとめると陽の3曲だと思うんですけど、その中で最初の2曲とはまた違う陽の部分を出したくて。それで、ブラスのアレンジとかも入れていったんです。
EMTG:「レジスタンス」の《悲しくても~笑えたんだ》とか、「Daily Darling」の《ここらへんで歌はどうだい?》の歌詞では、つらいときには音楽でも聴こうよっていう、すべてを音楽に託すような感覚があって。そこに今のバンドのスタンスが出てるような気がしました。
竹縄:全部、今の気持ちですね。モードとして言うと、今バンドは勇み足で進んでる感じなんですよ。ちょっと比喩っぽい表現になっちゃうんですけど……今までは、後ろを振り返りながら、慎重に慎重に進んでたんです。でも今はあんまり怖くないんですよ。それが、たぶん歌詞とか音楽にも全部出てると思います。
EMTG:では、最後にHOWL BE QUIETがこれからどうなっていきたいかを教えてください。
岩野:変にいろんなことを考え過ぎるよりも、とにかくタケちゃんが書いてくれた曲に対して、そこを100%生かせる人になりたいです。それを見失わなければ、竹縄航太はとんでもないところまで行くと思ってますので。そこに全力でついていこうと思います。
EMTG:今日のインタビューではふたりの竹縄くんに対する信頼感をすごく感じました。
黒木:曲に対しては絶対的に信頼はありますよね。
岩野:何よりも、僕はタケちゃんが好きみたいなところがあるんですよ(笑)。っていうのも、昔からタケちゃんは音楽に対して差別をしないから。高校時代の部活では、それぞれ別のバンドだったんですけど、タケちゃんのバンドだけすごく浮いてたんです。普通、高校生のバンドだったら、ロックバンドをやるじゃないですか。けど、タケちゃんはその中でも特異で。竹縄航太っていう個がすごくはっきりあった。当時、タケちゃんの作った曲を、タケちゃんのクラスのみんなが大合唱してたりするんですよ。
EMTG:それはすごい!
岩野:そんなタケちゃんがバンドやろうって誘ってくれて、タケちゃんの作ってきた曲を叩くっていうことが、僕のいちばんのモチベーションなんです。
EMTG:本当に大好きなんだね。
竹縄:酔った時はもっと出ちゃうよね。
岩野:もっと出ちゃう(笑)。
EMTG:黒木くんはどうですか?この先、どんなバンドになりたい?
黒木:変化を恐れないっていうことは大事にしたいですね。僕はもともとコールドプレイがきっかけでバンドを始めたんですけど。その共通点って言うとおこがましいかもしれないですけど、彼らも毎回全然違うアルバムを出してるじゃないですか。で、僕はそれをすごく楽しみにしてる。そういうバンドって素晴らしいなと思うんですよ。だから、僕らも変化することに対して恐れてないというか。レディオヘッドもそうだし。むしろ変わってないバンドは残らない。変わってるバンドしか残っていかないと思いますね。
EMTG:最後は竹縄くん。
竹縄:僕らよく自分たちの今のバンドのキーワードとして、「アイドル」っていう言葉を出すんです。周りがどう思うかはわからないけど、僕はアイドルってかっこいいなと思ってて。それは、日本におけるアイドルっていう言葉と、僕は捉え方が違うのかもしれないんですけど。海外で言うと1D(ワン・ダイレクション)もそうですし、さっき出たコールドプレイも僕はアイドルだと思うんです。アイドルって自由なんですよ。合唱曲もあれば、EDMもあって、J-POPもある。その音楽を基軸として、ファッションとか、ミュージックビデオも含めて、すごく表現が豊かだから。僕はそういうバンドになりたいんです。それがバンドじゃないって言われるんだったら、じゃあ、俺はバンドじゃなくていいやっていうぐらいの気持ちですね。だから、最初に「驚いた」っておっしゃってくださって、しめしめと思ってます(笑)。これからはもっと想像を覆す存在になっていきたいです。
EMTG:つまり「アイドル」という言葉は自由の象徴のような意味合いで使ってると。
竹縄:はい。そういうことですね。

【取材・文:秦 理絵】

tag一覧 シングル 男性ボーカル HOWL BE QUIET

リリース情報

MONSTER WORLD(初回限定盤)[CD+DVD]

このアルバムを購入

MONSTER WORLD(初回限定盤)[CD+DVD]

発売日: 2016年03月09日

価格: ¥ 1,800(本体)+税

レーベル: ポニーキャニオン

収録曲

[CD]
1. MONSTER WORLD
2. レジスタンス
3. Daily Darling

[DVD]
・「MONSTER WORLD」MV(完全Ver.)
・チャンス到来TOUR@渋谷WWW LIVE 映像(副音声付き!)
1.「孤独の発明」
2.「Merry」
3.「GOOD BYE」
4.「ライブオアライブ」
5.「A.I.」
6.「From Birdcage」

ビデオコメント

お知らせ

■ライブ情報

チャンス到来TOUR~決戦前夜編~
2016/03/16(水)梅田シャングリラ

Skream! X TOWER RECORDS presents HAMMER EGG vol.2
2016/03/23(水) Shibuya eggman

MUSIC MESSE vol.2
2016/03/25(土) なんばHatch

One-Two-Three, For!! TOUR 2016
2016/04/06(水) 福岡 キューブリック
2016/04/07(木) 広島 Cave-Be
2016/04/09(土) 大阪 梅田Shangri-La
2016/04/10(日) 名古屋 ell.FITS ALL
2016/04/15(金) 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd
2016/04/17(日) 東京 代官山UNIT

Mujack Dream Land 2016
2016/05/21(土) Music Club JANUS

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る