結成10周年を迎えるHilcrhyme。 アニバーサリーイヤーの幕開けを告げるスペシャルライブをレポート!
Hilcrhyme | 2016.04.21
Hilcrhymeが、今年6月で結成10周年を迎える。そんなアニバーサリーイヤーの幕開けを告げるスペシャル・ライブ“Hilcrhyme 10th Anniversary LIVE「PARALLEL WORLD」"が、東京・ディファ有明で行なわれた。
会場に入ると、中央に円形のステージがあり、その周りを観客が360度囲む形になっていて、これは彼らのライブでも初めての試みだという。またステージにセッティングされているDJ KATSUのDJブースは、彼らのインディーズ・デビュー曲「もうバイバイ」のPVで使われていたもので、このライブのために、地元の先輩のものを借りてきたそうだ。
そんな中、TOCとDJ KATSUが登場し、「NOISE」からライブはパワフルにスタートした。その後“今日は、シングル曲や、代表曲をいっぱいやります。みんなの終電の心配はしません。オレたちは死ぬまで歌い続けます!”というTOCの言葉どおり、「トラヴェルマシン」「ルーズリーフ」「パーソナルCOLOR」「蛍」と、シングル曲が立て続けにパフォームされていく。円形ステージは、時折回転して向きを変え、TOCも360度に向かってメッセージを発信し、一方会場のファンたちからのエネルギーはステージ中央のHilcrhymeに集中していくという、これまでにはなかった、さらに大きな一体感が会場全体を包み込んでいく。“ヤベェ、円形、楽しい!"と、TOCもそのステージをエンジョイしているようだったし、DJ KATSUのDJブースを後方から見る、という体験も新鮮だった。
その反面、円形ステージでは、これまでのライブのようにスクリーンに様々な映像を映したり、凝った照明によって世界観を作り出したりということはできないのだが、その分、“素のHilcrhyme"の魅力が表現されているようで興味深い。二人だけのパフォーマンスと音楽だけでファンを魅了していくという、彼らのライブ・パフォーマーとしての成長も表現しているかのようなステージだ。
そしてここで、このライブの模様が3Dカメラで収録され、秋に3D映画として劇場公開されることが発表された。しかもただのライブ・ドキュメント映画ではなく、様々なCG演出を加えた、これまでにはなかった映像作品になる予定だという。これも10周年に向けた、彼らの新たなるチャレンジになりそうだ。そしてその映画の主題歌でもあり、6月29日にリリースされる新曲「パラレル・ワールド」が、いち早く披露された。「パラレル・ワールド」とは、並行世界=同じ時間に存在する二つの世界、という意味を持つ言葉で、例えば、過去のある時点で、違った選択をしていたならば、今どういった世界が眼の前に広がっていたのだろうか、そして今この時の選択が、未来にどういう世界を生み出していくのだろうか、という思いを託したリリックが、ミディアム・テンポで、ピアノやクラップの音が効果的に使われたトラックをバックに感動的に歌われていく。まさにHilcrhymeの新たなるチャレンジともいうべき楽曲で、10周年を記念するのにふさわしい新曲だといえるだろう。
そして次の「no one」では、このライブの前日に起こった熊本地震の被災者たちに向けて、TOCが“みんなで、西に向かって歌おう”と言って、会場全員で、熊本にメッセージを送った。これも、円形ステージと、アーティストとファンが一体になったライブならではの出来事だったといえるだろう。
その後も「鼓動」、「Hilcrhyme Mash UP」(DJ KATSUのソロ)、「No.109」と続き、彼らのライブ定番曲である「押韻見聞録」と「続・押韻見聞録」が2曲続けて歌われたのも印象的だった。そして“10年前の6月9日、新潟駅南口のドーナツショップで、オレとKATSUが話し合わなかったら、Hilcrhymeは生まれなかった。あれから10年、オレたちは常に前を見る。決して後悔はしない”とTOCが語って「NEW DAY, NEW WORLD」「New Era」「春夏秋冬」と歌い、続く「大丈夫」では、DJ KATSUがピアノを弾いて、TOCとのデュオを披露した。二人のデュオというのは、昨年末のクリスマス・ライブでも披露されたが、二人の意気もさらに合ってきたようで、とても感動的なデュオになっていた。これは今後の彼らのライブの、ひとつの見所になるかもしれない。そこから「ポンピラ」「Summer Up」「RIDERS HIGH」とエネルギッシュなナンバーを畳みかけて、会場のボルテージも最高潮に達し、そして“オレたちは自分を誇っています。オレたちの曲には、信念があります”というTOCの言葉とともに「エール」が歌われ、ライブは終了した。
そしてアンコールでは、彼らのインディーズ・デビュー曲「もうバイバイ」が歌われ、そして“オマケです”とTOCが言って、彼らがデビュー前に無料で配布したデモ・アルバム『熱帯夜』に収録されていた「らいおんハート・Rap」(SMAPの「らいおんハート」のリメイク曲)が披露されたというのも、ちょっとしたサプライズだった。
結成10周年を迎え、Hilcrhymeは、過去を振り返ることなく、まだまだ成長・進化を続けようとしている。そんな彼らの思いが伝わってくるような、新鮮でエネルギッシュなライブだった。秋の映画公開も含め、彼らのこれからの活動が、ますます楽しみになってきた。
【取材・文:熊谷 美広】
【撮影:濱谷幸江】
リリース情報
パラレル・ワールド(初回限定盤)[CD+DVD]
2016年06月29日
ユニバーサル ミュージック
セットリスト
Hilcrhyme 10th Anniversary LIVE
「PARALLEL WORLD」
2016.4.15@ディファ有明
- 〜OPENING SE〜
- 1. NOISE
- 2. トラヴェルマシン
- 3. ルーズリーフ
- 4. パーソナルCOLOR
- 5. 蛍
- 6. パラレル・ワールド
- ※19thシングル(2016年6月29日発売)
- 7. no one
- 8. 鼓動
- 9. Hilcrhyme Mash UP
- 10. No.109
- 11. 押韻見聞録
- 12. 続・押韻見聞録
- 13. NEW DAY,NEW WORLD
- 14. New Era
- 15. 春夏秋冬
- 16. 大丈夫
- 17. ポンピラ
- 18. Summer Up
- 19. RIDERS HIGH
- 20. エール
- <ENCORE>
- 1. もうバイバイ
- 2. らいおんハート・Rap
お知らせ
第29回上田平和音楽祭
2016/07/31(日)丸子文化会館セレスホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。