かりゆし58、デビュー10周年! 全国ツアーファイナル、日比谷野外音楽堂に「おかえり!」の声が響いた。
かりゆし58 | 2016.05.18
「10年間、色々な人と色々な街で出会いながら活動を続けていくうちに、遠い街だったはずの、あの街この街に、ひとりひとり友だちができていきました。その人たちは、自分たちがライヴをその街にしにいく度に、『おかえり!』と言ってくれるようになりました。『おかえり!』と言ってくれる場所は自分にとってふるさとで我が家です。言うなれば、この場所があなたや僕たちにとっての我が家です!おかえりなさい、みなさん!!」。
と、この日のライヴ序盤にて、ボーカル&ベースの前川真悟は、彼らの10年の集大成とも言えるこの特別な日を一緒に祝おうと全国各地から集まった老若男女に向けて、温かい気持ちを込めて、こう伝えた。
今年デビュー10周年を迎え、全国ツアー「ハイサイロード 2006-2016~オワリ×はじまり~」を行っていた、かりゆし58。そのツアーファイナルが日比谷野外音楽堂で締めくくられた。
この日の彼らの出演前。「晴れのこの日、是非みなさんに生の彼女たちの歌声を味わってもらいたくて」とのかりゆし58のメンバーの想いを乗せて、これまで彼らのライヴ開演前のBGMで常に流れていた沖縄を代表する女性ヴォーカルグループ、ネーネーズが2曲を生で披露した。実際の彼女たちの歌声は格別。沖縄独特の節回しと、その歌声は、一気に会場を沖縄の風景の中へと連れ出してくれた。
ネーネーズの4人がステージを後にし、入れ替わりに、いつものかりゆし58の登場SEが流れ出し、メンバーがステージに現れる。
新屋行裕(G.)のアコギによるセカンドラインのリズムギターが鳴り出し、それに合わせて会場中から起こる手拍子。「はいさ~い。デビューから10年間の歩みの集大成であるツアーファイナルへようこそ~!あなたと今日、ここで一本のライヴをするために、10年間準備してきました。始めましょうか!」との前川の言葉のあと「心に太陽を」に入る。サポートドラマーの田代浩一が生み出す弾んだリズムに合わせ、楽しい気持ちが会場中に広がっていく。♪遅すぎやしないさ きっと間に合うさ 僕らはまだなにも始まっちゃいないから♪のフレーズが、この曲をライヴの1曲目に持ってきた意味を教えてくれる。
続いて、「今日は天井もないから、自宅の庭で音楽のバーベキューをアナタとやろうと思っています」と、会場中の手拍子と共に「手と手を」に入ると、会場中に更なる一体感と一緒感が生まれる。新屋も乗せられ渾身のギターソロを弾き倒すと、ラストはお客さんの大合唱で楽曲が完成されていく。カントリー調で牧歌的な雰囲気に会場を包んだ「アイアムを」。歌の中に各々もう一人の違った自分の生き方を映し出させた「嗚呼、人生が二度あれば」、「東京でライヴを始めた頃に当時の想いを綴った歌」との前川の紹介のあとに歌われた「さよなら」は、さよならと歌いつつも、これまでの感謝の気持ちが歌から滲み出てくるようでもあった。
「まっとーばー」からは、ゲストに奇しくも、この日が誕生日であった鍵盤の日食なつこを迎え数曲が歌われた。中でも、「会いたくて」では、愛しい人への逢いたい気持ちが歌に乗り広がっていき、会場中のひとりひとりに自身の最も愛しい人を思い浮かばせた。
この日は珍しい曲も飛び出した。「雨上がりのオリオン」は、まさにそんな楽曲。この曲が奏でられた瞬間、場内のあちらこちらから感激の歓声が上がった。
中盤はノリの良い曲が次々と飛び出した。カウパンクノリで、会場中を前のめりにさせ、各人のソロ回しが会場を沸かせた「カイ・ホー」、間もなくやってくる夏へと想いを馳せさせた「サマーソング」、「愛と呼ぶ」では会場中のタオルが大旋回。まさに場内が一つになった瞬間を見た。
愛おしさが溢れる曲がより多い選曲にも思えたこの日。後半に入ると、切なさを交えながらも走り抜けた「電照菊」、何気ない求愛ソングが、この日は会場とステージとの蜜月な間柄のようにも響いた「ナナ」は、中でも特に印象深い。
残念ながら病気療養の為、ドラマーとしては不参加であった、正規メンバーの中村洋貴も、「ウクイウタ」のコーラスからステージに現われ、以後、パーカッションとしてライヴに参加した。元気そうな勇姿に会場中から温かい拍手が贈られた。
そして、本編ラストは、彼らの代表曲であり、初期の頃より欠かさず歌い続けてきた、大切な曲「アンマー」が、この日の「母の日」ならではの特別級の愛情が込められ歌われた。優しい気持ちにさせてくれつつも、母への愛おしさを募らせた同曲。まさに全てを受け入れ、包んでくれる母のような懐の深い同曲に、会場中が身を委ね、ひとりひとりが自分の母の姿を浮かべ、心の中で感謝の気持ちを伝えたことだろう。
アンコールに入る前には、10周年のお祝いに華を添えるべく、嬉しいニュースが届けられた。先の「アンマー」が作家・有川浩の筆により、小説「アンマーとぼくら」として7月19日に刊行されると前川が告げると、会場からは祝福と歓びに満ちた拍手と歓声がステージに向けて贈られた。
アンコールは1曲。このツアーのタイトルでもあり、お客さんの中でここまで育て上げられたと言っても過言ではない、「オワリはじまり」が歌われた。みんなの大合唱で楽曲の完成型を見せた同曲が、“よし、明日からも頑張ろう!!”と、力強い明日への活力を体中に漲らせてくれた。
「これは決して記念日ではなく、これからも続いていく一歩でしかない」と、ライヴ中に宮平直樹(G.)の語っていた通り、また、ここからかりゆし58の新しい一歩が始まる。彼らは再び、全国各地の「おかえり」と言ってくれる幾つものふるさとへとライヴをしに帰っていく。そう、終わりは始まり…。彼らが自らの歩であゆみ、数々の歌で伝えてきた、その根底にあるものを、このライヴの帰路、改めて想い返してみた。
【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:Ohagi】
リリース情報
10周年記念アルバム『とぅしびぃ、かりゆし』(初回限定盤)
2016年02月22日
LD&K
1. オワリはじまり
2. 初恋夜道
3. オリーブ
4. ウクイウタ
5. アイアムを
6. For di Future
7. 恋唄
8. 嗚呼、人生が二度あれば
9. かりゆしの風
10. 心に太陽
11. 日々紡ぐ
12. ウージの唄
13. 愛の歌
[CD DISC2]
1. このまちと
2. Oh!Today
3. ナナ
4. 南風になれ
5. 少年は旅の最中
6. まっとーばー
7. そばの唄
8. 愛なのでしょう
9. アンマー(アコースティックver)
10. ゆい
11. 恋の矢
12. さよなら
13. 証
14. 恋人よ
16. 青春よ聴こえてるか
17. 潮崎
18. 生きてれば良い事あるみたいよ
<初回限定盤>
CD2枚+DVD+BOOK
セットリスト
『ハイサイロード 2006-2016〜オワリ×はじまり~』
2016/05/08@日比谷野外大音楽堂
- 心に太陽
- 手と手
- アイアムを
- 嗚呼、人生が二度あれば
- さよなら
- まっとーばー
- 会いたくて
- 雨上がりのオリオン
- カイ・ホー
- サマーソング
- 愛と呼ぶ
- 南に舵を取れ
- 電照菊
- ナナ
- ウクイウタ
- 愛の歌
- アンマー
- オワリはじまり
お知らせ
GREENROOM FESTIVAL’16
2016/05/22 横浜・赤レンガ地区野外特設会場
MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL 2016
2016/06/18 宮古島コースタルリゾートヒララ
トゥリバー地区ヘッドランド特設会場(宮古島平良地区)
沖縄からうた開き!うたの日コンサート2016 in 嘉手納
2016/06/25 沖縄県嘉手納町兼久海浜公園
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2016/07/17 いわみざわ公園
WILD BUNCH FEST. 2016
2016/0/8/20、21 山口きらら博記念公園
MONSTER baSH 2016
2016/08/20、21 国営讃岐まんのう公園 (香川県仲多度郡まんのう町)
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。