「みなさーん、こーんにーちはー！」

　楓は開口一番、ちょっと引くぐらい元気いっぱいに挨拶してみせた

　ここのところ毎回ビッシリ埋まっていた客席が、この日は3分の2くらい。なぜか竹下通りからいつもより人出が少なかったのだが、いつもより目立つ空席を、ステージ上から送る元気で埋めようとするかのようだ。「初めましての方は初めまして。久しぶりのヤツは久しぶり！　俺たち音×AiRがここJOL原宿で楽しいことをやるっていう、かんたんな、わかりやすい、面白いイベントでございます」とあらためて趣旨説明。お笑いゲストのオジンオズボーンとともに、2ndシーズン第1回、通算13回目の「音×AiR JOL原宿でLove Me Do♪」が幕を開けた。

　1stステージは「愛を唄おう」から。2番で楓がさっそくフロアに降りる。声の調子はいまひとつのようだが、かまわず押していく。少々のハンデを気にしないスタイルは彼らの成長を感じさせてくれる部分だ。「純愛バイセコー」、8月のワンマンライブの告知を経て、毎度の振付講座つき「Love Me Do」。「かんたんな振付やから一緒にやってください！　ハンバーガー置いて、ジュース置いて、携帯置いて」とちょっぴり強引に参加を促す姿が男らしい。お客さんの数のわりに反応は悪くない感じだった。

　オジンオズボーンのお笑いライブを経て、2ndステージは「ウォナノウ」から。人が少ないから目立っているだけかもしれないが、通りがかって立ち止まり、そのまま見てくれている人がいつもより多い気がする。「乙女ビンビン」で後ろのほうのお客さんに「前、来（き）ーや。席空いてるから」と人なつっこく語りかける様子は「ハートフルロックバンド」の本領発揮だ。最後の「Love Me Do」はゴキゲンだったし、（何度も言うけど）客席が寂しめだったわりに出来はよかったというか、よく「した」感じ。4人の焦り、緊張、それを克服せんとする意思が、エモーショナルな魅力を放っていた。

　そんな音×AiRをオジンオズボーンの2人は「爽やかで、甘酸っぱくて、若いときしかできへん音楽。知らないお客さんの前でも堂々とパフォーマンスできる芯の強さはすげえなと感じました」と評してくれた。最後は例月通り、4人のコメントで締めよう。

　楓「けっこう凹んでます。喉の不調に少し引っ張られたところもあるんですけど、人の少なさがやっぱり気になってしまって……。途中から、怯んでたらあかんなと思ってちょっと強引にいったんですけど、オジンオズボーンさんにもっといい状態でネタやってもらいたかったし、僕らいつもこんなんじゃないんですよって言いたい。悔しさがあります」

　MASAYA「楓もちょっと緊張してたし、いつもの状態（満席）に慣れてしまってた気がします。昔はこんなん余裕で、お客さんひとりとかでもバチバチやってたのに、ちょっと少ないだけで凹んでたらあかんなと思いました。初心に返らなダメですね」

　竜之介「1年間やってきて、人が多いときは盛り上がる、少ないときは盛り上がらんという感じやったですけど、それすらも凌駕するライブをすればいいだけの話なんですよね。そのためにはどうすればいいかが課題です。こっちから積極的にお客さんに働きかけるというのはひとつの方法で、やってることは間違ってないと思うんですけど、まだまだやれると思うんで、やります！」

　大地「これまではJOL原宿におんぶに抱っこで来てしまったんで、自分たちの力で開いていかなあかんなと思いました。もっともっと仕掛けて、JOLを知らん人にも来てもらえるようにして、JOLの売り上げに貢献したいです。ファンのみなさん、応援ありがとうございます。後ろのほうに座ってるのと前のほうにいるのとではグレーゾーンのお客さんに与える印象が全然違うので、サクラとして（笑）、盛り上げよろしくお願いします！」

　ちょっぴり苦い反省会になったけれど、課題を踏まえてだんだんとクリアしていってくれるはず。がんばれ音×AiR！

【取材・文：高岡洋詞】
【撮影：Sinpu Tokyo.】