Czecho No Republic presents ドリームシャワー2016 新木場STUDIO COAST
Czecho No Republic | 2016.07.11
Czecho No Republicの主催によるイベント「Czecho No Republic presents ドリームシャワー2016」が7月3日(日)、東京・新木場STUDIO COASTで開催された。Czecho No Republic(以下チェコ)のほか、Yogee New Waves、go!go!vanillas、パスピエなどの多彩なバンドが出演したこのイベントは、現在の日本の音楽シーンの多様性とチェコのユニークな存在感を体感できる内容となった。
過去最大規模となった今回の“ドリームシャワー”はMAGIC STAGE(メインステージ)、MIRAGO STAGE(サブステージ)の2ステージ制。約5時間半の長丁場ということもあり、会場の外にはフードエリアも設置。イベントというよりフェスに近い雰囲気だ。
ヤシの木が飾られ、まるでリゾートみたいな雰囲気のMAGIC STAGEのトップを飾ったのは、チェコと同じ事務所に所属するsumika。「Czecho No Republicから託してもらったトップバッターの座。愛情を持って、一等賞を取りに行きます!」(片岡健太/V&G)という言葉とともに、最新作「アンサーパレード」の収録曲「Lovers」「SARA」などを演奏。等身大の感情と情景描写、カラフルなポップ感を備えたバンドサウンドを伸び伸びと放ち、イベントのスタートを華やかに飾った。
続いてはMIRAGO STAGE(サブステージ)に登場したlovefilm。活動休止中のthe telephonesの石毛輝(V&G)、岡本伸明(Ba)を中心に江夏詩織(V&G&Syn)、高橋昌志(Dr)で結成、2016年春から活動をスタートさせた彼らは、ニューウェイブ~ガレージ系のポップチューンを披露。江夏のキュートなボーカルを軸にした、まったく新しいタイプの“歌モノ”をしっかりとアピールした。8月3日にリリースされる1stアルバム「lovefilm」も楽しみだ。
リハの段階から観客を沸かせていたgo!go!vanillasはアイリッシュの要素を取り入れたロックンロール「マジック」によってオーディエンスの興奮度を一気に引き上げる。チェコの武井優心(V&Ba)からLINEでイベントの出演依頼を受けたことを明かした牧達弥(V)は「あとはどれだけメチャクチャに楽しめるかです!」とフロアを煽り、アッパーチューンを次々と放っていく。楽曲の良さを的確に描き出す演奏力と開放的なパーティー感を見事に共存させた、圧巻のステージだった。
ストレンジ&ポップなロックチューンで観客を魅了したのは、Helsinki Lambda Club。ガレージロック、パンク、ブルース、オルタナなどのルーツミュージックを血肉化し、きわめて個性的なセンスで再構築した楽曲はインパクト十分。橋本薫(V&G)のメロディセンス、稲葉航大(Ba)のトリッキーなアクション(でもベースは骨太)を含めたパフォーマンスも魅力的だった。「僕らのことを知らない人も多いと思いますけど、チェコが選んだくれということで、信頼して楽しんでください」(橋本)と控えめなコメントもあったが、このバンドの独創性はしっかりと伝わったはずだ。
ここからイベントは後半戦へ。まずはパスピエ。「とおりゃんせ」「ヨアケマエ」といったライブアンセムを連発し、観客の一体感を演出する。高度な音楽理論に裏付けられたアレンジメント、卓越したテクニックを背景にしたアンサンブル、和のテイストを感じさせるメロディ、そして、大胡田なつき(V)の妖艶にしてポップなパフォーマンスがひとつになったステージングは、昨年12月の武道館公演を経て、さらなる進化を遂げていた。「チェコを知ったときは“カッコイイ人たちがカッコいい音楽をやっていて、いけすかない”と思ってたんだけど、武井くんがやっていたオールナイトニッポン(ラジオ)を聴いたら、まあ、闇が深くて(笑)。そこから大好きになりました」(成田ハネダ/Key)という愛情たっぷりのMCの後は、新曲「永すぎた春」を披露。最新型のパスピエがリアルに体感できる貴重なアクトだった。
さらに日本のバンドシーンの新たな潮流を象徴するバンドのひとつ、Yogee New Wavesが登場。オーセンティック・レゲエとブルース、ロックンロールがきわめて自然に混ざり合う「Like Sixteen Candles」から始まったステージは、生々しいグルーヴを放つサウンド、現在の日本に生きる若者の息づかいをリアルに感じさせる歌が渦巻き、フロア全体を包み込んでいく。特に印象的だったのが、以前よりも自らの感情を剥き出しにしていた角舘健悟(G&V)の歌。洗練されたシティポップ・バンドという印象もある彼らだが、その中心には溢れんばかりのエモーションが確かに宿っているのだ。
そして、ついにCzecho No Republicのライブがスタート。“エレクトリカルパレード”のSEとともにステージに登場したメンバーはまず「Amazing Parade」を披露。トロピカルな音像と超ポップなメロディが響き渡り、フロア全体に大合唱が巻き起こる。さらに4つ打ちのビートとともに「やっと辿り着いた 僕たちと今夜/裸足で 裸で 踊ろうよ」というフレーズがまっすぐに飛び込んでくる「No Way」へ。観客のテンションはもちろん最高潮だ。
「本当に最高の夜になったね。“楽しい”の向こう側が見え始めてるんじゃないか? 最後取りこぼしのないように、“楽しい”の向こう側に行こう!」(武井)というMCのあとも高揚感に満ちた楽曲を連発。高速の裏打ちビートによって自然と体が動き出す「Festival」、2000年代USインディーロックのテイストをハイブリッドなJ-POPへと昇華させた「MUSIC」、チェコ流のポップ・パンク・チューン「24 Factory」。現代のポップミュージックに対する驚異的な知識をベースにししながら、決してマニアックに偏ることなく、誰もが楽しめるエンターテインメントに結びつけるチェコのスタイルは、ここにきてさらなる充実の時期を迎えているようだ。
ニューアルバム『DREAMS』のリード曲「Electric Girl」も強く印象に残った。ボーカルはタカハシマイ(Syn/Vo)。EDMのエッセンスを反映させたトラックのなかで、儚くも美しいメロディを奏でる彼女の姿からは、フロントマンとしての覚悟のようなものが感じられた。ポップアイコンとしての彼女の存在がさらに強まることで、バンド全体のパワーも向上していくはず。「Electic Girl」はこの先のチェコにとっても大きな意味を持つことになりそうだ。
強烈なシンガロングが巻き起こった「Forever Dreaming」からライブはクライマックスに突入。エレクトロ的なビートとバウンシーな旋律が美しい火花を散らす「Firework」、直情的なリズムによって観客が楽しそうにジャンプを繰り返した「Oh Yeah!!!!!!!」によって、会場は祝祭的なムードに包まれた。
アンコールで武井はイベントを振り返り「本当に最高の空間を作ることができてうれしいです。いろんなバンドが出ていて、全部好きなバンドで。いろんな形の音楽の正解があって、それぞれが違う方向でやってるんだけど、ぜんぶ感動的で」と語った。ジャンルに関係なく、優れた音楽を体現しているバンドを集結させ、オーディエンスはすべてのステージを分け隔てなく楽しむ。音楽に対するフラットな視点と“楽しむ”ことに対する真っ当な欲望がひとつになったこのイベントは、チェコというバンドの在り方に直結していたと思う。
アルバム『DREAMS』に収録される新曲「Dream Beach Sunset」(みんなで一緒にやる“フラミンゴ・ポーズ”、ライブの定番になりそうです)と「ダイナソー」でライブは終了。とことんハッピーな空気が広がるなか、イベントは幕を閉じた。
チェコは4thアルバム『DREAMS』をリリースした後、「ROCK IN JAPAN」「WILD BUNCH」などの夏フェスに出演。そして9月からはアルバムのリリース・ツアー「Welcome to the Hotel Flamingo Tour」がスタート。“ドリームシャワー”の成功をステップボードにしてチェコは、新たなピークへ向かって進み始めることになるはずだ。
【撮影:半田安政/鈴木公平】
【取材・文:森朋之】
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ライブ
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リリース情報
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DREAMS
2016年07月20日
日本コロムビア
02. Forever Dreaming
03. Electric Girl
04. Dreamer
05. BB
06. ゴッホとジョン
07. ヘンリー・ジョーと海の城
08. Blue Holiday
09. Shiny Girl
10. パニック
11. Born Again
12. エンドロール
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セットリスト
Czecho No Republic presents ドリームシャワー2016
2016.07.03 @ 新木場STUDIO COAST
【MIRAGO STAGE】
-
lovefilm
- 1.Vomit
- 2.Honey Bee
- 3.新曲
- 4.Kiss
- 5.Hours
- 1.しゃれこうべしゃれこうべ
- 2.ユアンと踊れ
- 3.All My Loving
- 4.メサイアのヒ?ーチ
- 5.Lost in the Supermarket
- 6.マニーハニー
- 7.シンセミア
- 8.TVHBD
- 1. Like Sixteen Candles
- 2. Good Bye
- 3. Climax Night
- 4. Fantasic Show
- 5. Dreamin’ Boy
【MAGIC STAGE】
-
sumika
- 1.ソーダ
- 2.ふっかつのじゅもん
- 3.Lovers
- 4.sara
- 5.「伝言歌」
- 1.マジック
- 2.エマ
- 3.デパッドマンズチェイス
- 4.ヒンキーデパィンキーパーティークルー
- 5.スーパーワーカー
- 6.カウンターアクション
- 1.とおりゃんせ
- 2.ヨアケマエ
- 3.はいからさん
- 4.永すぎた春
- 5.裏の裏
- 6.MATATABISTEP
- 7.トキノワ
- 1.Amazing Parade
- 2.No Way
- 3.Festival
- 4.MUSIC
- 5.24factory
- 6.Electric Girl
- 7.Forever Dreaming
- 8.Firework
- 9.Oh Yeah!!!!!!!
- Dream Beach Sunset
- ダイナソー
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お知らせ
THE KOXX PRESENTS 【PiXEL Vol.3】
2016/07/16(土) 韓国・LOTTECARD ART CENTER ART HALL
音霊 OTODAMA SEA STUDIO
2016/07/29(金) 音霊 OTODAMA SEA STUDIO
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016
2016/08/07(日) 国営ひたち海浜公園
WILD BUNCH FEST. 2016
2016/08/21(日) 山口きらら博記念公園
「アンサーパレード」Joint Live Tour -Parade-
2016/08/22(月) 広島SECOND CRUTCH
2016/08/24(水) 静岡UMBER
RUSH BALL 2016
2016/08/27(土) 泉大津フェニックス
BAYCAMP 2016
2016/09/03(土) 川崎市東扇島東公園・特設会場
《Welcome to the Hotel Flamingo Tour》
2016/09/10(土) 渋谷eggman ※女性限定ライブ
2016/09/11(日) 渋谷eggman ※男性限定ライブ
2016/09/20(火) 京都磔磔
2016/09/23(金) CLUB JUNKBOX SENDAI
2016/09/24(土) NEXS NIIGATA
2016/10/01(土) 高松DIME
2016/10/02(日) HIROSHIMA CLUB QUATTROv 2016/10/14(金) 金沢AZ
2016/10/15(土) 名古屋BOTTOM LINE
2016/10/16(日) 岡山YEBISU YA PRO
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2016/10/29(土) 鹿児島SRホール
2016/11/06(日) 心斎橋BIGCAT
2016/11/12(土) Zepp DiverCity Tokyo
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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