レビュー

Czecho No Republic | 2016.07.11

 前作のアルバム『Santa Fe』からわずか約8カ月というインターバルでリリースされるメジャー4thアルバム『DREAMS』。
3rdシングル(フジテレビ系TVドラマ「ドラゴンボール超」エンディングテーマ)「Forever Dreaming」に関するインタビューで武井優心は「このシングルからは、今後どういう動き方をするか予想できないようにしたかった」とコメントしていたので、“もしかしたらドラスティックな変化が訪れるのかも”と勝手に想像していたのだが、フタを開けてみると“これぞチェコ・ノー・リパブリック!”と快哉を叫びたくなるような高揚感に満ちた楽曲がずらりとラインナップされていた。

 ラテンテイストに溢れたパーカッションを軸にしたドリーミーなポップチューン「Dream Beach Sunset」で幕を開ける本作のテーマはずばり“夏”。“Baby 君は 常夏の太陽”というフレーズから始まる「Electric Girl」、ビーチ・ボーイズにも通じるサウンド・スケープが広がる「ヘンリー・ジョーと海の城」など、海やリゾートを想起させる楽曲が数多く収録されているのだ。トロピカルな手触りのポップチューン(当時はおそらく、アフリカン・ミュージックを取り入れて世界的に人気を得たVampire Weenkendの影響があったと思う)でシーンに登場した彼らは、そこで生まれたパブリック・イメージを自ら引き受けたうえで、自己模倣に陥ることなく、このバンドにしか体現できないポップミュージックを更新しようとした。その真っ当で果敢なトライアルは見事に成功していると思う。

 タカハシマイが初めて作詞・作曲を手がけた「Shiny Girl」もこのアルバムのポイントだろう。軽やかに飛び跳ねるようなサウンド、心地よいリズムを内包したメロディライン、女子に向けて“楽しんでみよう”と語りかけるリリックがひとつになったこの曲は(当たり前ですが)これまでのCzechoにはなかったタイプの楽曲。アルバムのリードトラック「Electric Girl」でもメインボーカルを取っているタカハシの存在がさらにクローズアップされていることも本作の魅力であり、それは同時にCzechoの今後にとっても大きな武器になると思う。

 「パニック」に象徴される“現実はいろいろくだらないけど、素晴らしい音楽で楽しもう”という意思が込められた楽曲も最高。シャープな知性ゆえのシニカルさが前に出てしまうこともあったCzecho No Republicは本作『DREAMS』によって、音楽という夢に突き進む覚悟をようやく決めたのではないか。一瞬にしてハッピーな空気に誘い込まれる本作を支えているのは、メンバー自身の切実な決意なのかもしれない。

【文:森朋之】




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リリース情報

DREAMS

DREAMS

発売日: 2016年07月20日

価格: ¥ 2,800(本体)+税

レーベル: 日本コロムビア

収録曲

01. Dream Beach Sunset
02. Forever Dreaming
03. Electric Girl
04. Dreamer
05. BB
06. ゴッホとジョン
07. ヘンリー・ジョーと海の城
08. Blue Holiday
09. Shiny Girl
10. パニック
11. Born Again
12. エンドロール

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