Official髭男dism “THE DAILY MIRROR tour 2016”をレポート
Official髭男dism | 2016.07.29
抜群にポップでキャッチーな音楽性が、aikoや秦基博、津野米咲(赤い公園)から注目され、人気がじわじわと高まっている「髭男(ひげだん)」ことOfficial髭男dism。6月15日にセカンドミニアルバム『MAN IN THE MIRROR』をリリースした彼らが、7月23日、全国ツアー「THE DAILY MIRROR tour 2016」のセミファイナル公演を東京・渋谷TAKE OFF 7で行った。
地元・島根でのファイナル以外はすべてツーマン形式で行われた今回のツアー。この日の対バン相手は骨太なロックとセンチメンタルなポップスを聴かせる荒川ケンタウロス。彼らが先に約1時間のライブを繰り広げ、十分に場内を温めたあと、髭男にバトンを渡した。
髭男の4人は、新作に収録された超ウキウキナンバー「Clap Clap」のインストをSE代わりに使い、手拍子を煽りながら登場。心が踊り出すビートに手拍子で応える観客に向け、ライブは「恋の前ならえ」から軽快にスタートした。髭男はヴォーカルの藤原聡が着席して鍵盤を弾きながら歌うため、藤原の両サイドに立つベースの楢崎誠とギターの小笹大輔が積極的にステージ前方に出て煽るのが基本スタイル。この日はステージ前方に設置されたお立ち台に上がって観客にワイパー(挙げた手を左右に振る動作)を求めるなど、1曲目から遠慮なく盛り上げていく。続いては、突き抜けるようなハイトーンメロディーに否が応でもテンションが高まる疾走ロックチューン「雪急く朝が来る」。今度は観客が掲げた手を前後に振らせ、会場の温度を一気に上げていった。
3曲目「異端なスター」では、藤原が鍵盤から離れ、ハンドマイクに持ち替えて歌唱。「雪急く朝が来る」でつくりあげた縦ノリを、グルーヴィーなミッドナンバーで気持ちいい横揺れにスライドさせていく。こうした緩急の付け方が髭男は実にうまい。
その後は藤原のMCへ。まずは東京でツアーの公演ができる喜びを語り、今年4月にファン限定ショーケースライブを行ったこのTAKE OFF 7は、今年2月に上京した自分たちにとって「東京での生活が始まったと強く感じた大切な場所だ」と説明。そこに自分たちの音楽を聴きに来てくれている人たちが増えていることを感謝した。そして、次に歌う曲は自分が地元で新社会人になったときに感じたことを歌ったナンバーだと紹介。「新しいことを始めるときはいろんな意見や批判を受けるからすごく(心が)痛いんだけど、その痛みが自分をいつか強くする」とメッセージし、「仕事やバイトで辛かったときを思い出しながら聴いてください」と、「コーヒーとシロップ」を演奏した。
同曲から始まった中盤は、新作『MAN IN THE MIRROR』に収録されたナンバーをじっくり聴かせる構成。キラキラしたセンチメンタルメロディーに胸が締めつけられる「恋の去り際」や、「あなたとあなたの好きな人がずっと一緒にいられますように」というひと言を添えてから披露された、この日唯一のバラード「ゼロのままでいられたら」では、藤原のソウルフルで伸びやかな歌声が会場に響き渡った。続いては「自分にも嫌なところはたくさんある」と前置きし、「自分を鏡に映して見つめ直し、自分の嫌なところを治していきましょう」とメッセージしてから「Happy Birthday To You」を演奏。これは生まれ変わろうとしている自分への誕生日ソングであり、アルバムのタイトル曲ともいえるナンバーだが、曲に込めた思いをきちんと伝えながら演奏していく丁寧なライブ進行に好感が持てた。その後もベースの楢崎が「みなさんにとって大切な人をひとり思い浮かべながら聞いて欲しい。もしその人に伝え切れていない思いがあったら、今日帰ってその人にその気持ちを書いた手紙を渡して欲しい」とメッセージしてから、「日曜日のラブレター」を披露。ノスタルジックでハートフルな空気が場内に広がった。
そのほっこりした空気を強烈なアッパーチューン「SWEET TWEET」で一転させ、ライブはラストスパートへ。観客はBメロで「パンパン!」という合いの手クラップを入れたり、サビでワイパーをしたりして、ボルテージがどんどん上がっていった。間奏ではフロントメンバー3人がタイミングを揃えて体を左右に揺らす振り付けっぽい動作も。そういうチャーミングなアクションをしちゃうところも髭男の萌えポイントだろう。そして「東京のみんな!最後にもうひと暴れしましょう!」と叫んでから本編最後の「Clap Clap」へ。藤原はステージ前方のお立ち台に上って手拍子をガンガン煽り、ラスサビ前には「明日からの皆さんの人生に幸せが訪れますように!」と絶叫。ゴキゲンな曲調と盛大なクラップで会場がひとつになり、ライブの熱気は最高潮に達した。
「早く早く」と先を急かすようなテンポの早い拍手に促されて始まったアンコールでは、藤原が「みなさんのおかげでここまで来られました」と改めて集まったファンに感謝。そして、「僕たちはスタジアムとかアリーナでライブがしたいと思って上京しました。なので、まだ今回のツアーは1歩目です。これからもみんなに力を貸してもらって、バンドとしてどんどんどんどん成長していきたいです。どうかここにいるみなさん、スタジアムまで一緒にいきましょう!」と抱負を語ると、フロアから期待と応援の拍手が一斉に沸き起こった。「だから、ここで“さよなら”や“バイバイ”で終わらせるのは絶対イヤだ」という藤原の言葉から、ラストはミッド曲「愛なんだが…」を熱演し、《バイバイなんてもう言わせない》という歌詞を観客と共に大合唱。最後に藤原が「また絶対会いましょう!」と力強く宣言し、歓喜の拍手と最高の笑顔がフロアに渦巻く中、4人はステージをあとにした。
この日のアンコールでは、自身2度目となるツアーを今年11月に開催することを発表した髭男。実は去年2月にも彼らのライブを観ているのだが、藤原の歌唱力やリズム隊のグルーヴ、バンドとしての一体感、なによりライブの楽しさが格段に成長していた今回のライブ。スタジアムに向けての2歩目を刻むことになる秋のツアーではさらにスケールアップしたライブを繰り広げてくれそうな予感がヒシヒシだ。
【取材・文:猪又 孝(DO THE MONKEY)】
【撮影:佐藤 哲郎】
リリース情報
セットリスト
THE DAILY MIRROR tour 2016
2016.07.23@渋谷TAKE OFF7
- 01.恋の前ならえ
- 02.雪急く朝が来る
- 03.異端なスター
- 04.コーヒーとシロップ
- 05.恋の去り際
- 06.ゼロのままでいられたら
- 07.Happy Birthday To You
- 08.日曜日のラブレター
- 09.SWEET TWEET
- 10Clap Clap
- EN-01.愛なんだが・・・
お知らせ
THE DAILY MIRROR tour 2016
08/06(土) 松江AZTiC canova
GOOD BYE APRIL presents 『ニュー歌謡祭』
08/14(日) 新宿LOFT
SUNSTAR presents J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016内「PARK STAGE」
08/21(日) 国立代々木第一体育館内「PARK STAGE」
ホタルライトヒルズバンド「センスオブワンダーTOUR 2016」
09/02(金) 名古屋RAD SEVEN
09/03(土) 大阪Pangea
10/01(土) 柏PALOOZA
10/21(金) 広島CAVE-BE
10/22(土) 周南RISING HALL
10/23(日) 岡山PEPPERLAND
パレードパレード”squall”Release TOUR 2016
09/06(火) 宇都宮HEAVEN’S ROCK
TOKYO CALLING 2016
09/18(日) 新宿エリア
ビクターロック祭り番外編 DJダイノジ「犬とうどんとロック」
09/22(木祝) 渋谷・duo MUSIC EXCHANGE
FM802 MINAMI WHEEL 2016
10/08 or 09 or 10 大阪ミナミエリア ライブハウスのどこか
Official髭男dism tour 2016 Winter(仮)
11/20(日) 愛知ell.SIZE
11/23(水祝) 阿倍野ROCKTOWN
11/26(土) 代官山LOOP
SKY-HI Live House Tour 2016 〜Round A Ground〜】
12/01(木) 水戸ライトハウス
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。