及川光博ツアーファナル、究極のエンタメ・ショーで華麗にフィニッシュ!
及川光博 | 2016.08.04
3月にリリースしたアルバム『パンチドランク・ラヴ』を掲げ、4月から“及川光博ワンマンショーツアー2016「Punch-Drunk Love」”に乗り出したミッチーこと及川光博。ツアー・ファイナルは7月17日にNHKホールで行われた。ベイベー&男子(ミッチーファンの総称)たちは、ライブの必携アイテム、ポンポン作りにいそしみながら開演を待つ。場内には懐かしの海外ドラマ『奥様は魔女』風のドラマ音声がBGMがわりに流れていたが、これこそミッチー的“魔法”の前ぶれ。そう、アルバム発売後のツアーではありながら、彼のライブは単純なリリース・ライブでは片付けられないのである。
そして、照明の暗転と同時に満員の観客はステージに集中。幕が上がると、ステージ前を覆うスクリーンには映画のオープニングのような映像演出が。期待感がマックスに達したところで、スクリーンが上がると1曲目に飛び出したのが超キラーチューン「バラ色の人生」。長きにわたってベイベー&男子に愛されてきた名曲である。いきなりクライマックスを持ってくる自信に満ちた構成はさすが! バラ色のコスチュームを身にまとったミッチーが、ダンサーとともに華麗なステップを披露すれば、ベイベー、男子諸君たちも負けてはいない。慣れた振りで応戦し、圧倒的な一体感を生む。2曲目も「三日月姫」という初期の代表曲。そこから3曲目に『パンチドランク・ラヴ』の収録曲「ウィークエンド・ランデヴー」を入れ込んで、ポップな前半ブロックをスマートにまとめあげる。
3曲終わったところで、観客たちとコール&レスポンスの時間。
「大好きですか~?」というミッチーの問いに、観客全員が「大好きで~~~す!」と答える。そして最近、ある番組の中でゲッターズ飯田に「及川さんは屁理屈が多いって言われて(笑)」というエピソードでなごませ、さらには「精神年齢が13歳だって! まさに中2病!」と、場内を大爆笑に巻き込む。このトークの絶妙さもショーの醍醐味だ。
続くブロックでは『パンチドランク・ラヴ』からロック・テイストの「DANCE A GO GO」、そしてホーンセクションをフィーチャーした「エスパーの憂鬱」など、アクの強いナンバーをセクシーにキメていく。衣装チェンジしてからは「Blue Rose」をしっとり聴かせたりと、変化に富んだメニューで第1部の大詰めへ。1部ラストは「メロディアス」。『パンチドランク・ラヴ』のリード曲であり、強力なダンスチューン。ステージと客席が一体になって踊りまくる中、1部は幕を閉じた。
休憩をはさみ、第2部は“愛と哲学の小部屋”でスタート。これは、ベイベー&男子諸君からの質問にミッチーがステージ上で答えるというトーク・コーナー。ミッチーが箱の中からランダムに質問票を取り出すので、どんな質問が飛び出すかはわからない。だが、とにかく彼はアドリブに強い! 笑いの絶えない時間でパワーチャージしたあとは怒濤の2部がスタート。「悲しみロケット2号」や「前略、月の上から。」といったアッパーな楽曲で盛り上げ、「ダンディ・ダンディ」や「CRAZY A GO GO!!~FUNKY GOOD TIME!!~」というダンスナンバーでは、観客をさらに踊り狂わせていく。ミッチーも歌にダンスに全力投球で、もう汗まみれ。計算し尽くされた構成ながら、彼のパフォーマンスは常にパワー全開なのだ。
最後、ミッチーの「最高ですか~?」という声に「最高で~す!」と返すベイベ-&男子たち。するとミッチーは「お前達が最高だよ!」と粋な笑顔を残してステージを去った。
すかさず起こるミッチー・コール。まだまだ踊り足りない観客の興奮は冷めやらない。そんな思いを受け、アンコールは観客全員がポンポンを掲げて踊りまくる名物チューン「死んでもいい」で始まった。瞬く間に本編の熱気が舞い戻る。続いては必殺ファンクナンバーの「S.D.R.」。こういう楽曲では、辣腕メンバー揃いのバンド、THE FANTASTIXの腕が光る。完璧なブレイクやキメでミッチーをもり立て、スキのないグルーヴを生み出すのだ。アンコール2曲終えて「もういいよね?」というミッチーに場内からは「え~っ!」と不満の声。ここで予定外の「ファンキー☆ミュージック」が飛び出す。とどめに、ダブル・アンコールは「Shinin’ Star」でキラキラなムードの中、華麗にフィニッシュ。こうして、究極のエンタメ・ショーは幕を閉じた。満足げな笑顔を浮かべて会場を出る観客の表情を見ていると、ミッチーのパフォーマンス力に、ただただ感服させられる。ここまで音を自由に操りながら楽しませてくれるスターは、なかなかお目にかかれないだろう。リリース・ライブツアーという以上に、まるで“ラスベガス風”のショーなのだ。それこそ、ミッチーがミッチーたる所以なのかもしれない。
【取材・文:海江敦士】
【撮影:YOJI KAWADA】
リリース情報
セットリスト
“及川光博ワンマンショーツアー2016「Punch-Drunk Love」”
2016.07.17@NHKホール
-第一部-
- 1. バラ色の人生
- 2. 三日月姫<スペシャル>
- 3. ウィークエンド・ランデヴー
- 4. DANCE A GO GO
- 5. キミハキレイ
- 6. エスパーの憂鬱
- 7. TATTOO(Rie vo.)
- 8. Blue Rose
- 9. ココロノヤミ<2015>
- 10. Wish
- 11. メロディアス
- 1. 悲しみロケット2号
- 2. 前略、月の上から。
- 3. ダンディ・ダンディ
- 4. CRAZY A GO GO!!〜FUNKY GOOD TIME!!〜
- 1. 死んでもいい
- 2. S.D.R.
- 1. ファンキー☆ミュージック
- 1. Shinin’ Star