レビュー

及川光博 | 2016.03.24

 昨年(2015年)、デビュー20周年という節目を迎えたミッチーこと及川光博。そのアニバーサリーイヤーには、オリジナルアルバム『男心 DANCIN’』をはじめ、ベストアルバムのリリース、全国ワンマンショー・ツアーなどをこなし、アクティヴな活動を展開してきた。今年に入ってからは、出演した映画『僕だけがいない街』が公開されたり、朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の後編に出演が決定するなど、役者としての話題で注目を集めている。もちろん、役者・及川光博の活躍も楽しみだが、ファンとしては音楽活動も期待したいところ……と、思っていたら、まさに桜の開花宣言に合わせたかのように、最新アルバム『パンチドランク・ラヴ』がリリースされた。

 タイトルのインパクトも絶大だが、花柄シャツにジャケット、背景にもおびただしい花をあしらったカバーにも目を奪われる。このゴージャスな組み合わせが似合う日本人はそうそういない。そんなミッチーが、今回はどんな“ラヴ”で酔わせてくれるのだろうか。そう思って、音源を聴いてみると、予想以上の香り立つゴージャス・フレーバーがちりばめられていた。

 イントロダクションとなるインスト曲「Punch-Drunk Love」から、一気にきらびやかな音世界にノックアウトされてしまう。壮大なオーケストラサウンドは、まるで夢の世界の幕が上がるかのような出だしだ。続けて、次々に飛び出す“愛の世界”。アルバムのリード曲「メロディアス」は、ミッチーの作詞作曲。キュンとする思いをパッケージした、キラキラのアッパーチューンが飛び込んでくる。「ウィークエンド・ランデヴー」も、王道のサビでスタートするドリーミーなナンバー。ソツなくツボをつく鉄板チューンを並べる一方、ディープでグルーヴィーな「エスパーの憂鬱」やアタックの強いファンクナンバー「DANCE A GO GO」、森岡賢(ex.SOFT BALLEY 、minus(-))とタッグを組み、80’sサウンドとEDMを融合させた「メリーゴーラウンド」のリミックスなどなど、彼らしいマニアックなサウンド・ソースもバッチリ注入されている。結果、文句なく踊れるアルバムに仕上がった。

 等身大のリアルな日常をうたう歌もわるくない。でも、どうせなら夢のような世界で、ドキドキしてみたい……それもまた正しい楽しみ方だ。音楽とはファンタジーでもあるわけで、ミッチーはまさにそこを紡いでいる貴重なアーティストなのだと思う。このアルバムには、そんな期待を裏切ることのないミッチー・ワールドが瞬いているのだ。

 そして、4月からは待望の及川光博ワンマンショーツアー2016『Punch-Drunk Love』がスタートする。ワンマンショーに遊びに行くベイベーや男子諸君たちには、翌日からまた仕事、学校、子育てなどなど、現実が待っているだろうが、ここはミッチーの“ラヴ”あふれる楽曲とパフォーマンスに、ガッツリパワーをいただいておこう!

【文:海江敦士】

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リリース情報

パンチドランク・ラヴ

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パンチドランク・ラヴ

発売日: 2016年03月24日

価格: ¥ 2,500(本体)+税

レーベル: ビクターエンタテインメント

収録曲

1. Punch-Drunk Love
2. メロディアス
3. ウィークエンド・ランデヴー
4. エスパーの憂鬱
5. DANCE A GO GO
6. メロディアス ~オルゴール~
7. Wish
8. メリーゴーラウンド <Mega Raiders Remix>

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