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androp Zepp DiverCity 東京公演 ツアーファイナルをレポ!

androp | 2016.10.28

 開演を告げるSEが流れ、ステージ上に内澤崇仁(Vo・G)、佐藤拓也(G・Key)前田恭介(B)、伊藤彬彦(Dr)、キーボード担当のサポートメンバーが登場。そして、5人が一丸となって奏でた「Voice」のイントロによって、観客の心に火が点いた。たくさんの人々が一斉に打ち鳴らす手拍子と歌声の勢いがすさまじい。早くも圧倒的な一体感が生まれているフロアを眺めながら演奏するメンバーたちが実に嬉しそう。その後も「One」「Roots」「Glider」……強力なナンバーが惜しげもなく連発され、会場内は、熱気ではち切れんばかりであった。

 「初っ端から楽しいです。今回のツアーからサポートのキーボードを入れました。鹿児島が生んだモーツァルトです!」、内澤によるサポートキーボディストである村山潤の紹介を経て、切れ味抜群の演奏はさらに続いた。濃厚なグルーヴを渦巻かせた「Colorful」を皮切りに、示され続けた多彩なテイストのサウンドの数々。透明感に満ちた音像が心地よかった「Nam(a)e」。穏やかなビートに合わせて観客が腕を振り上げながら盛り上がっていた「Bell」。瑞々しいメロディをじっくりと奏でた「Rainbows」……andropが魅力的な曲の宝庫であることを改めて実感させられた。

 7月にリリースされたベストアルバム『best[and/drop]』に初収録された「Sayonara」を演奏した後、メンバーたちは、ツアーグッズについて和気あいあいと語り合った。なかなか似合う服がない中、自分にも似合うアウターがグッズに加わったと喜んでいた内澤。彼は突然、「変なこと思い出したんだけど……」と話し始めた。最近、ライブを観に行った際、近くにいた観客が「andropはベース以外、顔が分からない」と言っているのが耳に飛び込んで来て動揺したのだという。その話を聞いた観客やメンバーたちは大爆笑。そんな和やかなひと時を経て、ライブは後半戦へと突入して行った。観客と歌声を交わし合った「Run」で生まれた爽やかな昂揚感は、その次の「Boohoo」で華麗に加速。前田のダイナミックなスラッピングプレイが先陣を切り、andropの醍醐味の1つであるエネルギッシュなグルーヴが目一杯に冴え渡った。そして、ファンならば聞いた瞬間に手拍子をせずにはいられないあの印象的なクラップ音が鳴り響き、「MirrorDance」がスタート。力強くパレードするかのようなこの曲は、何度ライブで体感しても堪らなく楽しい。観客の笑顔が、Zepp DiverCity全体で煌めいていた。

 爽やかなタテノリ、手拍子、大合唱を巻き起こした「Yeah! Yeah! Yeah!」の後に迎えたMCタイム。自分たちの表現の新しい発信の場として立ち上げた『image world』について、「一番やっていきたいのは、聴いてくれる人に真摯に向き合うこと。もっと挑戦するし、感動してもらえるような音楽を作っていきたいので、これからもよろしくお願いします」と語った内澤の言葉が力強かった。そして、リリースしたばかりのアルバム『blue』についても彼は語った。今まで光や希望を描いてきたandropだが、同作は闇や絶望をテーマにした曲が収録されている。様々な感じ方をしてもらった上で、リスナー各々にとっての光の欠片となることを願っている作品なのだという。「振り切ったアルバムだけど、今、リアルに伝えられることを感じてもらえたらなと思ってます」、強い想いが表明された場面を経て届けられた「Hana」。andropの最初期に生まれ、周囲に流されずに突き進む意志を描いているこの曲は、新しい環境に身を置いて歩み出している彼らの気持ちを物語っているように感じられた。

 突然、ブルーのライトに彩られ、ムードが一転したステージ上。内澤は手にした弓でギターの弦をこすり、不穏な音を響かせる。そして、背景にたくさんの目玉のグラフィックが現れ、『blue』のオープニングを飾っている「Kaonashi」がスタート。激しく感情を吐露する言葉、轟く楽器の音色が一体となったサウンドは、耳を傾けながら無意識の内に拳を握りしめてしまうほど鬼気迫るものがあった。続いて「Irony」。重厚なビートを乗りこなしながら、言葉と想いを溢れ返らせる内澤の歌声が狂おしい。andropのこれまでのライヴにはなかったタイプの張りつめた昂揚感が、息を呑んで聴き入っている観客の間に広がっていった。

 スリリングなグルーヴを渦巻かせた「Digi Piece」。各メンバーのプレイの見せ場も交え、雄々しく駆け抜けて行った「Sunny day」。90年代のオルタナティヴロックへの敬愛を感じる骨太なサウンドが痛快だった「Kienai」……『blue』のナンバーが収録曲順に届けられていった終盤。そして、内澤が「今日はほんとにありがとうございました」と言い、ラストに披露されたのは「Lost」だった。瑞々しいピアノ伴奏+歌による密やかなムードの幕開けを経て、他の楽器パートも合流。逆光でシルエットを浮かび上がらせたメンバーたちが奏でたサウンドは、神々しさを感じるくらい美しかった。演奏を終えると、サポートも交え、肩を組み合ってお辞儀をしたandrop。その雄姿を讃える拍手が湧き起った。アンコールは行われず、フロアには終演を告げるアナウンスが流れた。名残りを惜しむ気持ちはあっただろうが、出口へと向かう人々が浮かべていたのは晴れやかな笑顔。andropの新たな一歩を目撃することができたことに対する喜びが伝わってきた。

【撮影:Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)】
【取材・文:田中 大】

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リリース情報

blue

blue

2016年10月12日

image world

01.Kaonashi
02.Irony
03.Digi Piece
04.Sunny Day
05.Kienai
06.Lost

お知らせ

■ライブ情報

COUNTDOWN JAPAN 16/17
2016/12/31(土) 幕張メッセ国際展示場1〜11ホール、イベントホール

MERRY ROCK PARADE 2016
2016.12.25(日) ポートメッセなごや

WEAVER『Music Holiday vol.1 〜対バン始めました〜』
2016.12.18(日) 恵比寿The Garden Hall

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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