Halo at 四畳半、圧倒的な存在感を示したツアーの追加公演をレポート!
Halo at 四畳半 | 2017.01.27
その確かな存在感に目をみはらずにはいられなかった。ツアー初日にもグンと頼もしさを増した4人の姿を目撃していたはずなのに、あっさり記憶を塗り替えられてしまうくらい、今、目の前に立っている彼らの輪郭線は、はっきりと太い。たった1ヵ月と12日でこの進化。旅は人を成長させると言うが、それは本当のことらしい。1st EP「万有信号の法則-EP」を携えて全国を回ったツアー“途絶えた交信の捜し方”。その追加公演にしてファイナルとなる1月15日、渋谷WWW X。“万有信号の発見”と名付けられたステージは全10都市11公演に及んだ旅の成果の体現であり、Halo at 四畳半というバンドの外側に広がる果てしない伸びしろと、その内側に深く息づく底知れないポテンシャルを同時に見せつけるものだった。
開演の予定時刻を5分ほど過ぎると満員御礼の場内が静かに暗転、灯った青白い光が反射して黒地のバックドロップにバンドロゴが冴え冴えと浮かぶ。拍手と大歓声に迎えられ、それぞれの持ち場につく4人。SEが止んだ刹那、ギターを掻き鳴らす渡井翔汰(Vo、Gt)の歌声がせきを切ってほとばしった。「シャロン」だ。オーディエンスめがけて勢いよく飛んでいくその声の軌跡を見送りながら、さらに高く、さらに遠くと願うように齋木孝平(Gt、Cho)、片山 僚(Dr、Cho)、白井將人(Ba)の腕が真っ直ぐに天を突く。背後からのライトに照らされた彼らのシルエットは実に堂々として大きく、観る者を素直に圧倒した。もちろん、その直後に炸裂したダイナミックなアンサンブルも。4人から放たれる音に鼓舞されてフロアいっぱいにクラップが弾ける。
「ついにきました、ファイナル公演。最高の時間にしよう!」
改めて渡井がそう告げると、場内のクラップもいっそう激しく応えて続く「アメイジア」へ突入。曲中、♪騒がしいこの街を/離れて行ってしまうその前に♪という歌詞の一節を♪騒がしいWWW Xを~♪と替え歌にして、この夜だからこその興奮を煽る場面があったりと彼らのこの日に懸けた意気込みがひしひし伝わってくるのがうれしい。曲の終わりには早くもラララの大合唱が自然発生的に巻き起こり、白井が耳に手を当てる仕草をすると、さらにボリュームが上がるなど、オーディエンスとの呼吸もぴったりだ。
郷愁をはらみながらも瑞々しい疾駆感に溢れた「トロイメライ」、サウンドのアッパーな推進力と“衝突”をキーワードに辛辣で絶妙なコントラストが生々しい説得力を生み出し、人間関係の本質に迫った「カイライ旅団と海辺の街」。「アンドロイドと青い星の街」では3拍子の大らかなテンポ感からサビで急加速する緩急メリハリのついた展開でフロアの感情を揺さぶり、同じく3拍子を軸にした「ユリーカの花」ではとつとつと柔らかな演奏と歌で“喪失”の先にある“発見”へとオーディエンスをやさしく導き……と、「万有信号の法則-EP」の楽曲を要所要所に散りばめつつ、4人が一体となって、まるで一編の壮大な物語を紡ぐかのようにライブを進めていく。
昨年5月に初のワンマンライブを成功させたHalo at 四畳半だが、その次のワンマンがいきなりツアーになろうとは、旅立ち前の不安の度合いはおそらく尋常ではなかっただろう。そうしたなか、1本1本のステージに真摯に向き合い、各地のファンと触れ合うことで、彼らの音楽的筋肉は確実に鍛え上げられた。7公演のワンマンのあと、対バンで回った3公演はその筋肉をさらにパンプアップさせたに違いない。そうして迎えた今日だ。いっそうの迫力を備えた渡井の歌。白井のベースは奔放なようでいて、片山が叩き出す剛腕ビートにもしっかりと寄り添い、結果リズム隊としての安定感がより増した。ツアー前に骨折し、何かと心配された齋木の足も今や全快、プレイもパフォーマンスもいつに増してエモーショナルで、その熱はフロアにも伝播して今が冬だということを忘れさせるほど。4人の気合いがスクラムを組んで一気呵成にこちらに向かってくるのだから、強くないわけがない。聴かせるモードにシフトした中盤戦、♪生きるってことはつまりそう/悲しみの上に立って笑う様なものだろう♪と歌われた「水槽」に胸の奥をわし掴みにされてしまった。
「俺は音楽に救われて生きてきた人間です。悲しいときもうれしいときも、街を歩きながら音楽を聴くと、悲しい気持ちは和らいで、うれしい気持ちは増幅させてくれる。なんだか魔法みたいだな、そんな魔法を俺も作りたいなって曲を書き始めたんだけど、それがこんなにたくさんの人に届くなんて思いもしなかった」
残すところあと1曲となったとき、少し長めのMCの中で渡井はそう語り、そして続けた。
「“頑張れ”って言葉が嫌いです。きっとみんな、自分自身のできる限り頑張ってるはずなのに、その言葉はどうも投げやりに聞こえてしまうから。俺は音楽をこの場所で鳴らして、届けて、みんなを応援したい。みんながツラいときもうれしいときも、そのそばにいる音楽でありたい。だから、みんなだけ頑張らなくていい。俺も頑張るから、みんなも頑張ろうよ」
心の底から発せられた想いが音楽に宿って一人ひとりに手渡される。本編ラストは「モールス」だった。「万有信号の法則-EP」のリードトラックであり、“伝えること”の意味とかけがえのなさを綴った、Halo at 四畳半の渾身にして会心の1曲だ。渡井はこのツアーを振り返って“伝えるツアー”だったとも言った。“伝える”ということは時にとても勇気がいる。伝わらず、打ちのめされる日だってある。それでもその怖さから目を逸らさず、真っ直ぐに伝えようとする意志が人と人とを繋ぐのだ。フロアいっぱいに揺れる手のひら、ともに声を上げて歌を重ねるオーディエンスのキラキラとした瞳がその証明だと思えた。 “万有信号”とは造語で、“万人が有する信号=感情”を意味する。この日、“万有信号”はたしかに発見され、“途絶えた交信”は捜し出されて再び繋がった。では、その先は……?
Halo at 四畳半の2017年、始まったばかりのこの1年に答えがあるような気がしている。
【取材・文:本間夕子】
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☆応募期間1月27日~2月2日23:59まで
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リリース情報
万有信号の法則-EP・【CD+DVD(ライブ映像・17曲収録)】
2016年11月09日
SPACE SHOWER MUSIC
01.モールス
02.カイライ旅団と海辺の街
03.メル・ユース
04.ユリーカの花
【DVD収録曲】
01.ep
02.春が終わる前に
03.アメイジア
04.天文薄明の街へ
05.トロイメライ
06.硝子の魔法
07.水槽
08.アンドロイドと青い星の街
09.ウユニの空へ
10.孵化
11.ペイパームーン
12.海鳴りのうた
13.リバース・デイ
14.アストレイ
15.箒星について
16.飛行船
17.怪獣とまぼろしの国
お知らせ
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2017/01/28(土) 赤坂BLITZ
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2017/03/19(土)高松市瓦町周辺
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2017/04/22(土) - 23(日)群馬音楽センター
NIIGATA RAINBOW ROCK 2017
2017/05/04(木)-05(金)
新潟市内12会場(サーキット)/朱鷺メッセ(アリーナ)
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。