LIVE EGG BUDOKAN ~shibuya eggman 35周年 大感謝祭~ 武道館公演をレポ
shibuya eggman | 2017.03.03
これまで数多くのアーティストの卵を温め、孵化させ、羽ばたかせてきた東京・渋谷のeggman。常に登竜門的役割やアーティストに最高の演奏環境を寄与してくれるスペースとして、多くのアーティストから熱い信頼を受けているライブハウスだ。そのeggmanが35周年の一大イベント『LIVE EGG BUDOKAN ~shibuya eggman 35周年 大感謝祭~』を日本武道館で行った。
その35年を総括するように、eggman所縁や思い入れ深いアーティストたちが次々と現れた、この日。出演は、miwa、sumika、Czecho No Republic、SUPER BEAVER、MAN WITH A MISSION、ISEKI、NOKKO、shibuya eggman 35th special session band (出演順)と、みながデビュー当初や活動黎明期にeggmanに数多く出演し、その道程や軌跡を経ての今への繋がりを感じさせるアーティストたちばかりであった。
まずはこの日司会のISEKIが登場。トップバッターのmiwaを呼び込む。
1曲目から開放感溢れるタオル大旋回な「君に出会えたから」で会場に一体感を作り出した彼女。コミカルさも交えポップさを運び込んだ「ストレスフリー」、「デビューライブをeggman行ったことがつい先日のよう」と語りデビュー曲「don’t cry anymore」、続けて対照的に最新曲「アイオクリ」を歌うなど、成長と変わらないものを明示するかのようなライブを展開した。
この日はセットチェンジの合間合間に様々なサプライズや嬉しい出会いが用意されていた。お祝いメッセージもその一つ。デビュー当初に出演し、当時のeggmanでの未熟なステージングを同会場にていつかはリベンジしたいと熱く語った福山雅治や、かつてはeggmanで働いており、EXILE加入以前はダンサーとしても同ステージを踏んだという関口メンディがお祝いの動画を寄せていた。
ここからはeggmanが運営している音楽レーベルに所属しているアーティストたちの出演が続いた。
「奥の方まで顔が見える」と嬉しそうに初武道館を楽しんだsumikaは「ベストオブベストなセトリ」と公言。物怖じしない堂々としたステージを展開した。
強いメロディとしっかりと通る声が特徴的な彼ら。ずっと離れぬように、ずっと離さぬようにと、eggmanと自身たち、そして集まったお客さんとの信頼感にも響いた「Lovers」。会場にポップでカラフルな魔法をかけた「MAGIC」、グルーヴィなサウンドで会心の一撃を会場に放った「ふっかつのじゅもん」等、自身の音楽が明日への活力になれるようにとの想いも込められた曲たちが会場中に放たれていった。
また、当のeggmanからは二元中継も行われ、テスラは泣かない。、RYO the SKYWALKER、Heavenstamp、たんこぶちん、東京カランコロンと、これからのアーティストや現行のアーティストたちの活躍が各短い時間ではあったが楽しむことができた。
続いては、現メンバーになって初めて立ったステージがeggmanだったというCzecho No Republicが武道館に登場した。一気にぶっ飛ばした感がある、この日の彼ら。「高校球児にとっての甲子園、ラガーマンにとっての花園。バンドマンにとっての憧れがこの武道館」とのMCも印象的であった。
会場中を華やかなパレードへと誘った「Amazing Parade」を皮切りに、開放感と上昇感を味あわせてくれた「MUSIC」、ここではないどこかに誘った「No Way」、会場に高揚感と一体感を作り出した「Firework」、「完成した時、いつか武道館で歌ってみたいと思った」と言う「ダイナソー」では、気高く誇らしげな同曲に合わせ会場全体がスタジアムアンセム化。いつの日にかの武道館ワンマンを行っている彼らの勇姿をダブらせた。
次のSUPER BEAVERは、自分の道を信じ歩んでいればきっと光が当たることを体現してくれた。「本音はワンマンまで武道館に立つことをとっておきたかったけど、お世話になっているeggmanの周年イベント。お祝いのつもりで特別に今日は立った。来るべき武道館ワンマンの視察のつもりで演る!!」と力強く発し、気高く力強く響いた「秘密」、何気ない日でも気持ち次第で全て特別な日に変えることができると説いてくれた「美しい日」、情熱的な気持ちをストレートに伝えた「青い春」、ラストの「人として」での、 “信じ続けるしかないじゃないか”という歌詞では、これまで続けて来れた自身やeggmanの信念性の代弁を思わせた。
このバースでは、eggmanの錚々たる歴史を振り返る年表が流れ、その幅と豪華さ、そして何故に35年間も東京のトップランカーのライブハウスとして君臨し続けて来れたのかを垣間見ることが出来た。
続いてはMAN WITH A MISSION。こちらも黎明期よりeggmanに出演し続けてきたバンドだ。「eggmanハ縁トユカリシカナイライブハウス。今日ハソノ頃ニヤッテイタ懐カシイ曲シカヤラナイ!」と宣言。「コノライブハウスガナケレバ我々ハイナイ。コレカラモ音楽ノ中心デイテ欲シイシ支エテ欲シイ」と、ファンキーで上昇感のある「DON`T LOSE YOURSELF」、会場をドカンと起爆させた「WELCOME TO THE NEWWORLD」、メタリック要素の高い「NEVER FXXKIN’ MIND THE RULES」、サビの開放感とストレートさがたまらない、会場中にタオルの大旋回を生んだ「DANCE EVERYBODY」、まるで星空の下にいるかのようなコズミック感溢れる「PANORAMA RADIO」、会場中との一体感を作り出した「FLY AGAIN」がプレイされた。
ここからは「shibuya eggman 35th special session band」がバックを務め、ISEKI、NOKKOが歌った。
まずはISEKIが2曲。「PROMISE」では、感情の込められた彼の伸びやかで力強く、そして生命力溢れる歌声が広がっていく。続いて、miwa、Jean-Ken Johnnyが呼び込まれ、キマグレン解散後初めて歌った「LIFE」が、その豪華なトリプルボーカルと会場中の大合唱によって完成されていった。
そのISEKIに呼び込まれトリのNOKKOが登場。レベッカではデビュー直後から出ており、初めてのワンマンもeggmanだったと語る。「リアル80’sのNOKKOです。毎日9時には寝ています」と笑わせつつも、セクシーなアクションも交え、変わらぬ伸びやかなボーカルは集まった幅広い客層を魅了した。「76th Star」「May be tomorrow」「Raspberry Dream」とレベッカの人気曲を中心に、ソロヒット曲「人魚」も交え、歌とステージアクションを楽しませてくれた彼女。ラストの「Friends」では集まった会場中の老若男女が大合唱。80’sのeggmanにて往年の彼女を見ている錯覚に陥らせてくれた。
そして最後は出演者全員にてeggmanの名づけの由来曲、ザ・ビートルズの「I Am the Walrus」が歌われる。出演ボーカル陣のリレーションと、客電も点き文字とおり会場全体での大合唱となった同曲。印象的なフレーズ“I am the eggman, they are the eggmen.”の箇所がくると、みなが感慨深くその由来に納得するかのように高らかに歌った。
正直、”お祝いや感謝の場所は、特に武道館じゃなくもいいんじゃないか…?”と当初は思っていた。それこそあえてeggmanで…とも。しかし進行していくに連れ、それは”逆にこの武道館でなければならなかったのではないか…”との思いへと変わっていった。eggman出身に限らず、アーティストの多くが目指す日本武道館。この日、出演したアーティストの多くは、あの頃のeggmanのステージからの光景とこの日眼前に広がる景色とを重ね合わせ、自分のここまでの道程と間違いなさを改めて確認したのではないだろうか。
ライブハウスがアーティストにしてあげられることは、その環境でどこまで気持ちの良い空間を作り出してあげられるかと、どれだけ素晴らしい景色を見せてあげられるかだと思う。そしてその光景は紛れもなく各会場とアーティスト、そしてお客さんとで作り上げていくものだ。それを少しでも早く味わってもらいたく、チケットを買い、集まってくれた人たちにもその素晴らしい光景を見せてあげたいとのプロ意識の芽生えさせる為に、ライブハウスは常に最大限の環境作りと、終演後のアドバイスや激励を出演アーティストたちに繰り返していく。そして、アーティストたちはそれをはぐくみ、育っていく…。そう、アーティストたちにとってはもちろん、eggmanにとっても続けてきた先の素晴らしい景色を見るためにも、やはりこのミュージシャンの聖地日本武道館は必然的だったのだと終演後強く思った。残念ながら志半ばで活動を断念してしまった、かつてeggmanのステージを踏んだ数多くのアーティストや歴代のeggmanスタッフたちの分も含めて…。
そう、この日、私が観たのは武道館で行った<ライブハウスeggmanのステージ>だったに他ならなかったのだ。
【取材・文:池田スカオ和宏】
【写真提供:shibuya eggman】
ライブ miwa sumika Czecho No Republic SUPER BEAVER MAN WITH A MISSION ISEKI NOKKO
セットリスト
LIVE EGG BUDOKAN
~shibuya eggman 35周年 大感謝祭~
2017.2.19@日本武道館
◇miwa
- 1.君に出会えたから
- 2.ストレスフリー
- 3.don’t cry anymore
- 4.アイオクリ
- 5.ヒカリヘ
- 1.Lovers
- 2.MAGIC
- 3.ふっかつのじゅもん
- 4.伝言歌
- 1.Amazing Parade
- 2.MUSIC
- 3.No Way
- 4.Firework
- 5.ダイナソー
- 1.→
- 2.秘密
- 3.美しい日
- 4.青い春
- 5.人として
- 1.DON`T LOSE YOURSELF
- 2.WELCOME TO THE NEWWORLD
- 3.NEVER FXXKIN’ MIND THE RULES
- 4.DANCE EVERYBODY
- 5.TAKE ME HOME
- 6.PANORAMA RADIO
- 7.FLY AGAIN
- 1.PROMISE
- 2.LIFE
- 1.76th Star
- 2.May be tomorrow
- 3.Raspberry Dream
- 4.人魚
- 5.Friends
- I Am the Walrus(ザ・ビートルズ曲のカバー)