2015年5月にスタートした「音×AiR JOL原宿でLove Me Do♪」も残すところあと2回。23回目にしてまだまだ挑戦というわけで、ステージ前の立ち見エリアが広がっていた。ちょっと詰めれば50人くらいは入れそうだ。メンバーの呼び込みも一生懸命で、楓も竜之介も「知ってる顔は前で見てや」と常連の子たちを招き入れる。「愛を唄おう」で1stステージがスタートしたときには先月と同じ12人がパーテーションを越えていた。

　しかし楓の喉の調子が悪そうだ。どうやら連日のストリートライヴで喉を酷使しているのが理由らしい。笑顔も硬いが、それでもアイコンタクトや手招きで立ち見エリアにお客さんを誘う。1曲歌い終わってのMCではしきりに笑うテーブル最前列のグループに「何がそんなにおかしいの？」と突っ込み、「叱ってサディスティック」と「Love Me Do」の間には「ちょっとずつみんなの顔が柔らかくなってきたかなと。僕も含めて」と苦笑い。ナーバスになっていたようだが、努めて快活に振る舞っていた。「楓、がんばれ！」と心で声援を送っていた子も多かったのでは？

　お笑いゲストは本田圭佑選手のものまねでおなじみのじゅんいちダビッドソン。人気者だけに登場とともに黄色い歓声が。彼が目当ての人も多い。押し引き自在のステージさばきで、サッカーに詳しくなく、ネタがわからないお客さんもうまく乗せてしまうのはさすがだった。

　音×AiRが再登場して2ndステージは「Catch Your Dream」から。MCで楓がワンマンライヴの告知をした後、「JOLでやるライヴの何倍も楽しくなると思います。JOLが楽しくないわけじゃないけど」と言ったのは「こんなもんじゃねえぞ」という悔しさの表れなのかも。彼に引っ張られてか竜之介も妙におとなしく、先月はふざけ倒していた「抱きしめたいハグトゥナイ」のコール＆レスポンスにも入ってこない。コーラスはサポートの將ががんばっていた。ラストは再び「Love Me Do」。楓は歌をお留守にしてまで誘導に精を出し、そのかいあって最終的には28人が立ち見エリアに集まっていた。

楓「最後の最後でこっちを見て笑ってた子をパーテーションの中に連れてこれたのはよかったと思いますけど、まれに見るあかんライヴでした。僕が調子悪かったんで、特に前半は、全員がローテンションに引っ張られてましたね。目が全然わろてなかった。竜之介も全然コーラス入ってけえへんし……。来月で最後なんで、ちゃんと楽しみたいですね。そうすればきっと楽しいバンドやなって思ってもらえるはずなんで」

竜之介「今日はちょっと失敗しました……。もっともっとめちゃめちゃ作り込んどきゃよかったなと。今までうまくいってたのはたまたまというか、前もって意図してたことで結果が出たわけじゃない気がして。狙いを持ってやらないと、行き当たりばったりでは学習にならへん。次はしこたま面白いライヴをしたいと思います。遅いけど気づきました。僕らは天才じゃないんで、考えて考えてやらんと」

MASAYA「前（立ち見エリア）にいっぱい人がいたし、初めての子も入ってきてくれて、それは楽しかったんですけど、全体を巻き込めてない感が強かったですね。毎日ストリートやってるんで楓の喉の調子もよくなかったんですけど、逆にそれもさらけ出して“ストリートやってて喉やばいねん”ぐらい言うたらお客さんにも伝わるのに。じゅんいちさんはすごいですね。あの折れない心があれば……。とにかく最終回はしっかりやります」

　メンバーは反省一色。僕の目にも、これまでの23回で一、二を争うくらい不調に見えた。しかしまぁ、こういう日もあるのが人生。いい勉強になっただろう。じゅんいちダビッドソンは「衣装を揃えてポップな感じでロックな曲をやってるのがすごくいいと思います。トークもいけるし、のびしろだらけですね」と太鼓判。將はちょっぴり微妙な笑顔だったが「今日は今日なりで収穫はあったと思います。JOLもあと1回なんで、悔いなく終わらせたいですね。最後くらいはふだん見せてるような姿を見せられたらなって思います」と前向きだ。泣いても笑ってもあと1回、やりきれ音×AiR！

【取材・文：高岡洋詞】
【撮影：Sinpu Tokyo.】