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UVERworld、2月10日のさいたまスーパーアリーナ公演をレポ

UVERworld | 2017.03.10

 4年振りにさいたまスーパーアリーナに戻ってきたUVERworld。1万7千人のファンは開演時間をカウントダウンするステージのビジョンを前に、興奮を抑えきれず立ち上がり、一緒に一秒一秒を叫び、刻み、彼らの登場を待つ。

 暗転したと思った瞬間、ステージにメンバーそれぞれがポップアップで登場。映画「新宿スワンⅡ」の映像をバックに、「エミュー」を歌い上げると一気に会場の温度が上がり、息つく間もなくTAKUYA∞が「でっけえ声だせるか!」と叫び「I LOVE THE WORLD」のイントロが流れると一気にアリーナは光と音楽に包まれたダンスフロアに。「誰一人おいていかれんじゃねえぞ! 誰一人おいて行かねぇからな!」と叫ぶと同時に火柱がたち、「WE ARE GO」「GOLD」とたたみかける。ものすごい速度で一体感を感じさせる彼らの圧倒的なパワーはさすが。会場の大きさの有無関係なく、1人1人の目を見て、胸倉をつかみながら訴えかけてくるようなTAKUYA∞の歌は、すでに1万7千人の心をしっかりつかんで離さない。よりフロアの近くに行こうとステージ左右を走り回り、歌を届けようとする姿はとても印象的だ。
リリースされたばかりの「一滴の影響」が、オリコンウィークリーチャート2位になったことをうけ、歌詞にかけて、「1位になれなかったのは俺のせいにしてよ。俺のせいにしようぜ」と不敵な笑いを浮かべ、さらに「俺たちが狙わなくちゃいけないのは…。みんなの心をわしづかみする1位を狙いたいと思います!」と叫び「一滴の影響」をまっすぐに伝えるように手を伸ばしながら歌い始めた。彼らが届けるメッセージは、常にまっすぐで、不器用でいながら、聴き手の心を一気に突き刺す。だからこそ、こんなにも一言一言が身体中に浸透してくるのだろう。
投げられた音と歌、そして言葉の余韻に浸っていると、ドラムの真太郎にスポットライトが当たる。「あらためまして、UVERworldです! やっぱり大きいね!」とアリーナを見回したあと、ここでは自粛するほどの相変わらずの下ネタMCを投下(笑)。一気に会場の雰囲気を緩め、TAKUYA∞が「今日をどれだけ楽しみにしてたか、その心の想いをでっかい声で聴かせてくれる?」と叫び、信人のウッドベースが響き渡り、全員がよりファンと近いステージの前に一列に並び、「REVERSI」が投下される。フロアから大合唱が始まると、その声を聴き「いいね、その顔! ここ、ライブハウスにしちまおうぜ!」と言い“どうしても僕を認めたくない全ての人に心から感謝を捧げるよ”と歌い放つ。この弱さをしっかりと持っているからこその痛みを含む、そこからの這い上がる強さを言葉にして届ける彼らのライブは、エネルギーだけじゃない、多くの人たちの魂が一気に発散される気がして、すごく、すごく熱いのだ。
フロアのみんなが一斉に飛び始め、一気にアリーナ揺れ始めたのは「Collide」。「Fight For Liberty」ではメロディアスでドラマティックな一面と、爆発的な一面を表現したかと思えば、TAKUYA∞は「まだみんな緊張してんの?」といたずらな笑顔を浮かべ、「本当にあった怖い話をしてあげようか?」と話し出す。「11年前、事務所に入ったばかりの信人に、社長が熱心にベースを教えていたけど、実は社長はベースが弾けなかったんだよ!」と話し、「……オバケなんかより、人間の方がよっぽど怖ぇぞ!」と笑いながら叫ぶ。その後、かわいらしさを含む「魑魅魍魎マーチ」を投下。「お~、怖え!」と茶目っ気を見せながら一気にフロアに笑顔が広がる。一転、「earthy world」では、彼らのまっすぐすぎる想いが込められた歌詞がスクリーンに映し出され、我慢していた涙腺を刺激する。まさに彼らの生き方が素直に描かれたこの曲は、ずっと、これからも歌い続けられていくのだろう。
「energy」ではみんながタオルを出し一気に手が上がり、さらに一体感が増す。そして、この日、より空気が変わったのが、「ALL ALONE」だ。“自分の生き方は自分で決めろ”というメッセージがひしひしと身体中に轟音と共に染み込んでくる。TAKUYA∞もこの曲を歌った直後、少し上を見上げ、「この曲を歌う時だけ、心が曲の中にどんどん入っていくんだよ。特別な曲」と話し、一拍だけ置くと、まだ整理のつかない心に思い切り打撃を与えるように「THE OVER」を放ち、「一緒に歌おう」という掛け声から「O choir」で、よりハッピーな雰囲気に。「over the stoic」では、「みんなの近くに行くからね!」と克哉、信人、誠果、彰がステージを降り、アリーナ席に用意されたそれぞれのサブステージまで練り歩き、メインステージに残った真太郎と共にジャムセッションを始めると一気にフロアは熱狂的に踊り始める。

 そしてメンバーがステージに戻ると、TAKUYA∞が「全部とばして来いよ! 倍にして返してやるから!」と笑顔で応え「ナノ・セカンド」を放つと、「フェスでさ、酒もタバコもやめてマラソンとか…ロックじゃねぇよなってロックバンドのおっさんたちが言ってたんだよ。はぁ?! 俺は酒もタバコもずっと前に辞めて、毎日走ってる。最近はグルテンさえも食べてねぇ! それは、こういうでっかいところにいきなり出されても、最高のパフォーマンスを見せるためにやってんだよ! さぁ、祈りの強さ、見せてやるよ!」と「PRAYING RUN」を聴かせ、「歴史をつくろうぜ」と言い放った後、地響きの様に震えるアリーナと共に「IMPACT」を投げつけた。それと同時に、フロアは最高潮の盛り上がりを見せる。
「ハンパじゃないわ。すごい! ほんとに! どんどん記録を更新するのすげぇって! 何度も何度も聴いた曲をなんでそんなに初めて聞くようなキラキラした顔で聴けるの!?」と感動を言葉にした。少し時間をおいた後、「ずっと一緒にいたいけど、一緒にいちゃいけない。最高な時間を、扉の向こうに持って行こうよ。また戦って、集まって最高のライブをしよう」と話し、未発表曲の「LONE WOLF」を歌い、「本当にありがとう。必ずまたどこかで会おう! 素敵な話をたくさんしよう」と「7日目の決意」、そしてラストに、「終焉」で、この日最高のステージの幕を閉じた。

 終わった瞬間、彼らから受け止めたメッセージは身体中に溢れ、余韻からなかなか抜け出すことを許さない。これが、UVERworldの強さ、そして最大の魅力なのだろう。2月10日、2月11日両日とも完売となった、さいたまスーパーアリーナ、ツアーファイナル。2日で41000人を動員し、2日目の"男祭り"ではアーティスト史上最大の23000人と、見事にその動員記録塗り替えた。

【取材・文:吉田可奈】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル UVERworld

リリース情報

一滴の影響[通常盤]

一滴の影響[通常盤]

2017年02月01日

Sony Music Records

01.一滴の影響
02.エミュー
03.Forever Young(AK-69 feat.UVERworld) 

セットリスト

UVERworld ARENA TOUR 2016-2017
2017.2.10@さいたまスーパーアリーナ

  1. M-1.エミュー ( 映画「新宿スワンII」挿入歌)
  2. M-2.I LOVE THE WORLD
  3. M-3.WE ARE GO
  4. M-4.GOLD
  5. M-5.一滴の影響 (TV アニメ「青の祓魔師 京都不浄王篇」OP)
  6. M-6.REVERSI
  7. M-7.Collide
  8. M-8.Fight For Liberty
  9. M-9.魑魅魍魎マーチ
  10. M-10.earthy world
  11. M-11.energy
  12. M-12.ALL ALONE
  13. M-13.THE OVER
  14. M-14.O choir
  15. M-15.over the stoic
  16. M-16.ナノ・セカンド
  17. M-17.PRAYING RUN
  18. M-18.零HERE ~ SE ~
  19. M-19.IMPACT
  20. M-20.LONE WOLF (未発表曲)
  21. M-21.7日目の決意
  22. M-22.終焉 (未発表曲)

お知らせ

■ライブ情報

FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 15
04/29(土) 大阪城ホール

VIVA LA ROCK 2017
05/03(水・祝) - 05/05(金・祝)
さいたまスーパーアリーナ

イナズマロック フェス 2016 リターンズ
09/15(金) 滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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