レビュー
UVERworld | 2017.02.01
全国ツアー「UVERworld ARENA TOUR 2016」でも圧倒的なメッセージを備えた言葉の力、独創的なミクスチャー感覚をさらに進化させたバンドサウンドによって全国のオーディエンスを熱狂させたUVERworldから、通算30作目となるシングル「一滴の影響」が届けられた。表題曲、カップリング曲を含め、すべての楽曲が今回のツアーでいち早く披露され、既にファンの間で広くシェアされている本作。歌詞に込められた思いの強さ、サウンドメイクの強度の高さ、音楽的なふり幅の大きさなど、UVERworld史上もっとも濃密なシングルと言っても過言ではないだろう。
まずは「一滴の影響」(TVアニメ「青の祓魔師 京都不浄王篇」オープニングテーマ。この曲のテーマを端的に言えば、“許し”ということになるだろうか。この世界には不条理や不平等が存在するのは事実。しかし、その状況を恨んでいるだけでは、どうしても足が止まってしまう。そうではなく、周囲と自分を許し、理想に向かって進むことこそが大事なんだと思う――そう、この曲にはいまの社会にもっとも必要なメッセージが強烈に刻み込まれているのだ。アコギと歌を軸にしながら、しなやかなグルーヴとラウドな手触りを共存させたアレンジからも、現在のUVERworldのモードが明確に伝わってくる。
2曲目の「エミュー」(映画「新宿スワンⅡ」挿入歌)は強靭なファンクネスを感じさせるアンサンブルと刺激的なエレクトロサウンドを融合させたダンサブルなナンバー。ソウルフルなサックスの音色、女性歌手Mika Arisakaのダイナミックなコーラスなども加わり、きわめてスリリングなサウンドに仕上がっている。「裏がなきゃ 表は存在しない」「追い過ぎれば 何処までも堕ちてく」といったラインを重ねながら、圧倒的な高揚感に結び付けていくボーカルも驚くほどに刺激的だ。
3曲目には「Forever Young(AK-69 feat.UVERworld)」を収録。いまや日本のヒップホップシーンを代表するアーティストとなったAK-69と、ヒップホップに造詣が深く、言葉の力を軸にしたクリエイションを続けているTAKUYA∞の相性はもちろん抜群。“人生は1回。アグレッシブに振り切ったトラックに乗せて、どんなことがあっても自分の夢を目がけて突き進むんだ”という激烈な意志をストレートに放つこの曲は、AK-69とTAKUYA∞にしか体現できないフレーズがびっしりと込められている。二人の生き様と姿勢に裏打ちされた、異様なまでの説得力にもぜひ注目してほしい。
【文:森朋之】
リリース情報
一滴の影響[通常盤]
発売日: 2017年02月01日
価格: ¥ 1,204(本体)+税
レーベル: Sony Music Records
収録曲
01.一滴の影響
02.エミュー
03.Forever Young(AK-69 feat.UVERworld)