BiS、ただひひたすらに歌い踊った“Re:STUPiD TOUR”ファイナル公演
BiS | 2017.03.21
1月21日の福岡・DRUM SON公演を皮切りに各地を巡った“Re:STUPiD TOUR”もいよいよ最終日……とサラリと書いてしまったが、この期間が怒涛の日々だったことをご存知の方々も多いだろう。“ライブがない日はイベント出演の予定がたっぷり”“移動はすべて車。宿泊も車内”“食事は白米のみ(ツアー後半は、プレーンなサラダチキンのみとなった)”“1月29日は、100kmマラソン”というハードな試練を乗り越えて、ファイナルの渋谷WWW X公演を迎えたのであった。このライブの模様をレポートする。
SEが流れ、ステージにプー・ルイ、ペリ・ウブ、アヤ・エイトプリンス、ゴ・ジーラ、キカ・フロント・フロンタールが登場。「皆さんこんばんは! 新生アイドル研究会BiSです!」と挨拶をしたあと、プー・ルイが研究員(ファンの愛称)たちに呼びかけた。「始まりました。“Re:STUPiD TOUR”ファイナル渋谷~! このツアーは、“もう一度バカになろう”というツアーです。なので私たち、今日のセットリスト、知らされてません! “はあ?”ですよね。終わりの合図は「レリビ」です。MCもないです。不安で仕方がないです。ですけど、やるしかないので。この状況をプラスに変えられるようにやっていきます。皆さん、バカになる準備はできてますか~? 立ち位置もわからないぜ~! 何の準備もしてないぜ~! 早く曲かけろよ~!」、少々キレ気味に彼女が言ったところで、流れてきたのは「Give me your love全部」のイントロだった。激しくステージ上を動き回りながら全力で歌い、踊り始めた5人。研究員たちも興奮を露わにしながら歓声を上げる。何やらとんでもないことになりそうなライブは、こうしてスタートしたのであった。
2曲目で「nerve」が飛び出し、研究員たちもメンバーと一緒に“エヴィゾリ”しながら夢中でダンス! その熱気を不敵にエスカレートさせた3曲目は「My Ixxx」。早速、超強力なナンバーが連発され、会場内は尋常ではない熱気で包まれた。そして、リリースされたばかりのアルバム『Re:STUPiD』に収録されている新曲も圧倒的な存在感を放っていた。力強いクラップを誘った「明日が来るなら」。ライブで聴くと一際アグレッシヴだった「ミステリアスホール」。力強いビートと清々しいメロディがドラマチックに高鳴った「ロミオの心臓」。飛び跳ねながら盛り上がる研究員たちが実に気持ちよさそうだった「twisted grunge」。フロア全体が沸騰した鍋のような様相を呈していた「ぎぶみあちょこれいと」……などなど。ライブで威力を発揮する新曲が一気に増えたことを実感した。
冒頭でプー・ルイが言っていたとおり、MCやインターバルを挟むことはなく、ひたすらパフォーマンスを繰り広げ続けていたメンバーたちは、中盤戦に至る頃にはものすごい量の汗をかいていた。そんな中、とても感動的に響き渡ったのは「CHANGE the WORLD」。歌詞に込められた想いを噛み締めるかのように歌っていた5人の表情が印象的だった。♪絶対に世界変えるんだ♪♪絶対に世界かえようね♪と歌い上げる彼女たちを見つめながら、研究員たちは感情移入しながら受け止めたのではないだろうか。必死に道を切り拓きながら活動しているBiSの心意気がストレートに伝わってくる曲だった。
陽気に飛び跳ねる研究員たちがフロアを揺さぶった「SAY YES」。大合唱を巻き起こした「Primal.」。日本武道館を目指す強い想いが伝わってきた「NAKODUB」……などなど、終盤戦も多彩な曲が届けられたが、やはり圧倒的なインパクトを放っていたのは「パプリカ」だった。「行くぞ、渋谷!」とプー・ルイが叫んで雪崩れ込み、不穏に轟くサウンドに合わせてスクワットをしながら歌い続けたメンバーたち。研究員たちも鬼のような表情を浮かべて一斉にスクワットをした風景は、地獄にでも迷い込んだかのような感覚になる異様なムードを漂わせていた。極度に体力を消耗するこの曲だが、歌い終えたと思ったら再び鳴り響いた「パプリカ」のイントロ……。結局、3回連続で披露することになり、5人は目に見えてフラフラとなっていたが、倒れそうになりながらもスクワットをしながら歌い続けた彼女たちは、とても凛々しかった。そして、ついに流れた「レリビ」のイントロ。汗まみれの笑顔を輝かせながら歌っていた姿が眩しかった。
アンコールを求める声に応えてステージに再登場した5人。“5月31日にニューシングルをリリース”“5月30日から全国ツアーがスタート”という予定を発表したあと、胸中を語ったプー・ルイ。「結成から約半年が経ちました。いろんなことがありました。全然認めてもらえなくて、すごく悔しくて。私、いないほうがいいんじゃないかなと思ったりもしました。でも、全国ツアーを2回やって、車中泊ツアーを回って、100kmマラソンもやって。100kmマラソン、本当は私が一番にゴールして4人にBiSとは何なのかを見せてやろうと思ってたんですけど、ダントツのビリでした(笑)。車中泊中に喧嘩もしました。くだらないことで八つ当たりもして、メンバーに迷惑をかけました。本当に足りないリーダーでごめんね。でも、誰に何と言われようが、この5人がBiSです! まだまだ認めてもらえないかもしれないけど、手を取り合って、支え合って、最強のBiSを作っていくから、ついてきてください! 前のBiSの夢も今のBiSの夢も全部叶えてあげるから、みんなついてきて!」。涙を流しながら届けられた彼女の言葉、何度も頷きながら噛み締めていたペリ・ウブ、アヤ・エイトプリンス、ゴ・ジーラ、キカ・フロント・フロンタールの姿、研究員たちの歓声……その1つ1つは、とても胸を打つものがあった。すべてが順調というわけではない現在のBiSだが、何かかけがえのないものが築かれつつあることを感じる場面だった。
「私たちの新しいアンセムです。聴いてください」という言葉を添えて、アンコールで披露した「gives」は、力強い決意表明の曲として鳴り響いていた。歌い終えると「以上、BiSでした! ありがとうございました!」と、深々とお辞儀をした5人。研究員たちの間から湧き起った拍手は、全力投球のライブを心から讃える気持ちに満ちていた。こうして、またひとつの大きな山を乗り越えたBiSは、今後、さらにどんな姿を我々に見せてくれるのか? 期待が果てしなく膨らむライブであった。
【取材・文:田中 大】
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リリース情報
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Re:STUPiD
2017年02月22日
SPACE SHOWER MUSIC
02. twisted grunge
03. ミステリアスホール
04. SAY YES
05. Never Starting Song
06. NOT the END
07. ぎぶみあちょこれいと
08. ロミオの心臓
09. 明日が来るなら
10. NAKODUB
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05/28(日) 新宿BLAZE
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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