T-SQUARE
THE SQUARE Reunion - FANTASTIC HISTORY - 1987-1990
2017 4.1 sat.　Blue Note TOKYO

“THE SQUARE Reunion”とは、ポップ・インストゥルメンタル・バンド“T-SQUARE”の初期メンバーによるプロジェクト。1982年～1985年にリリースされたアルバム『脚線美の誘惑』から『R・E・S・O・R・T』までのメンバーが集まった前日に続いて行われた公演は、1987年～1990年に発表したアルバム『TRUTH』『YES, NO.』『WAVE』『NATURAL』の楽曲を中心に演奏。安藤正容（G）、伊東たけし（Sax, EWI）、和泉宏隆（Pf）、則竹裕之（Dr）、須藤満（B）、サポートプレイヤーとして河野啓三（Key）を迎えたステージとなった。

開演時間となり、客席内の通路を歩いてステージに向かったメンバーたち。彼らを出迎える観客の歓声が早くも熱い。そして、オープニングに届けられたのは「Dans Sa Chambre」。瑞々しく躍動するサウンドが、瞬く間に会場全体に広がっていった。柔らかな日差しに包まれているような感覚になるメロディが堪らないほど心地よい。手拍子をしながらステージを見つめる観客は、穏やかな笑顔を浮かべながら久しぶりの編成による演奏を噛み締めていた。

「懐かしいメンバーで2日目。集まってくれて本当にありがとうございます。このメンバーは『TRUTH』から？　87年？　何日でしょう？」、伊東が観客に問いかけると、すかさず返ってきた「今日！」という声。すると「なんでエイプリルフールに発売したんでしょうね？」、須藤の素朴な疑問の言葉が挟まれ、大爆笑が起こった。そして、この編成による非常に濃い4年間についてメンバーたちが振り返ったりもした後、「Breeze And You」の演奏がスタート。時折視線を交わし合いながら各々のフレッシュなフレーズを放つメンバーたちの表情がとても楽しそう。爽やかな音像が広がった「Wind Song」。ピアノのイントロが奏でられるや否や歓声が上がり、アルトサックスの美しいメロディが観客をうっとりとさせた「Twilight In Upper West」……豊かな味わいに満ちたサウンドが、会場内をますます温かいムードで包んでいった。

伊東のフルートと安藤のガットギターのコンビネーション、和泉のピアノソロが素晴らしかった「Pioggia Di Capri」。伊東が奏でるEWI（ウインドシンセサイザー）の近未来的な音色とオーガニックなラテンテイストのリズムが絶妙に融合していた「Eurostar」……地中海のリゾート地でリラックスしながら過ごしているかのような贅沢なひと時となった2曲を経て、迎えたインターバル。「フルートって唇が乾くとえらいことになるんです。さっき唇の上と下がくっつき始めちゃって、危なかった（笑）」、先ほどの演奏中に密かに起こっていた出来事を明かしつつ、観客の喝采を浴びた伊東。「貧しい時代にこのバンドを組み、今までやって参りました（笑）。みんなどんどん年を取っていく。この先、どうなるんでしょうね」、メンバーや観客が着々と年齢を重ねていることに触れつつ、安藤が危険なブラックジョークを放って大爆笑を起こした場面を経て再び演奏へ。EWIとエレキギターのスリリングなプレイが際立っていた「Giant Side Steps」。各メンバーのソロ回しが展開し、観客が拍手喝采を送っていた「Nab That Chap!!」。そして、須藤のスラッピングやループペダルを活用したプレイ、則竹のダイナミックなドラミングが炸裂し、リズム隊の見せ場が満載であった「Radio Star」で本編は終了。メンバーたちは一旦ステージから去ったが、観客の手拍子に応えてアンコールが行われた。

「どうもありがとうございます。みんなのおかげでこうやって仲間とステージができてます。それじゃあ、アンコール。みんな、もう1回行くぞー！」、伊東の熱い言葉を合図に、「Truth」がスタートした。EWIの雄々しいメロディが響き渡り、観客は大喜び。メンバーが笑顔を交わし合い、伊東と安藤が寄り添ってプレイする微笑ましい場面もあり、客席内の誰も彼もが拳を振り上げながら興奮を露わにしていた。そして、演奏が終了した時、湧き起ったのは割れんばかりの拍手。深々とお辞儀をしたメンバーたちの表情がとても明るい。久しぶりの共演を楽しんだ彼らの胸の内が自ずと伝わって来るエンディングであった。

【取材・文：田中 大】
【撮影：佐藤 拓央】