SiM、全14カ所に及ぶ“新曲解禁”ワンマンツアー「THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR -season Ⅱ- ”ONEMAN SHOWS 2017”」東京公演2日目をレポート
SiM | 2017.04.19
「俺は生きてステージに戻って来る。強く生きてくれよ!」と本編後半にMAH(Vo)は言う。明日が必ず来るとは限らない。だからこそ、今この瞬間を楽しんでほしい。けれど、どんちゃん騒ぎの宴だけでは終わらないライブがここにはあった。
感動の日本武道館公演を経て、昨年10月16日にエンターテイメントの限りを尽くした横浜アリーナ公演にて、"新曲解禁"というお知らせを発表したSiM。その新曲初お披露目となる「THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR -season Ⅱ- "ONEMAN SHOWS 2017"」と題した全14カ所に及ぶワンマンツアー12本目にあたる、Zepp Tokyo2DAYSの最終日を観てきた。
会場にけたたましいサイレン音が鳴り響くと、横浜アリーナでも使用した巨大ガーゴイル2頭がステージ左右に鎮座し、目から緑のレーザー光線を放つ演出に観客も興奮状態。GODRi(Dr)はゴリラのごとく両拳で胸板を叩き、それからSIN(Ba)、SHOW-HATE(Gt)、最後にMAHがゆっくりと登場。ヘビーかつキャッチーな「NO FUTURE」で幕を開けると、「歌えるか?」と呼びかけ、1曲目から熱いコール&レスポンスが巻き起こる。グルーヴィーなリフで押す「Dance In The Dark」に入ると、早くも会場には一体感が生まれていた。「THE KiNG」を挟み、「モンキーダンスしようぜ?」とMAHが言うと、次は恒例の「GUNSHOTS」だ。SHOW-HATEはポップな鍵盤を弾き、観客は両手を上下に激しく振り、フロアはダンスフロアと化していた。
次はシアトリカルなMVもインパクト絶大だった「Amy」へ。中盤過ぎの効果音的な仕掛けもユニークで、ライブでより一層映える曲調だ。次の「CROWS」でも観客の声でZepp Tokyoを一つに束ね、序盤から凄まじい盛り上がりを記録。ラップを交えたポップな「Abel and Cain」を披露すると、「WHO’S NEXT」へ。MAHはステージ上で激しく2ステップを踏み、またブレイクダウンパートで壮絶なシャウトをかますと、クラウドサーフが続出する大熱狂ぶり。
そして、ここでGODRiのドラムソロに突入。素手でドラムを叩く場面もあり、観客も大盛り上がりだ。それから流れるようにスローチューン「I DUB U」に入ると、甘い歌メロを観客一人ひとりの心に沁み渡らせていった。
「『SEEDS OF HOPE』から3曲行くぞ!」とMAHが言うと、「Murderer」で一気に観客の心に再び火を付ける。それから、SiMの風向きを変え、現在の人気を獲得する足掛かりとなった名曲「KiLLiNG ME」をプレイ。待ってました!とばかりにフロアはカオス状態に陥り、途中で「座れ!」とMAHが号令をかけたあと、1階、2階席までが一斉にジャンプする光景は壮観だった。「Fall In Love With You」ではエモーショナルな歌心を存分に響かせると、MAHは現時点での最新作『THE BEAUTiFUL PEOPLE』に言及し、約1年経ったが、過去作と共に聴き直してほしいと切実に訴えた。さらに基本的に恋愛の曲は書かないと付け加え、「自分を愛せているか・・・生き方をテーマにした曲です」と説明すると、「If I Die」を披露する。ド頭から大合唱が起きる展開で、ある意味パーソナルかつシリアスな感情を多くの人たちで共有している。この曲は「もしも僕が死んだら もしも僕が死んだら、君は泣いてくれるかい」(訳詞)という歌詞で始まる。これ以上なく一人の人間の弱さを曝け出した内容だ。人は誰かにとって"特別な人"でありたいと願う。しかし、それ以前に自分は自分自身を愛せているだろうか。人間の根源に潜む感情を聴く者に突き付けてくる。冒頭のMAHの言葉にも繋がるが、強く生きるとは、まず自分を愛することから始めるべきだ、と問いかけてくるようだった。それから「Life is Beautiful」、「EXiSTENCE」と繋ぐ流れにも引き込まれた。
「俺はようやく気付いた。俺は俺のためにステージに立っている。みんなはそれを見て、泣いたり、笑ったりしてくれて・・・」とMAHは言い、これからもファンと良い関係を築いていきたいと告白した。続く「Get up,Get up」では気迫のスクリームでヘッドバンギングの嵐を吹かせ、その後に必殺のキラーチューン「Blah Blah Blah」と畳み掛け、本編ラストの「f.a.i.t.h」ではウォール・オブ・デスを作り上げると、ステージとフロアの距離をゼロに縮める熱狂図を描き上げた。
アンコールに入ってからのMCでは、「次のツアーでMAH君と差し飲みしようかな(笑)」とSHOW-HATEが言い出せば、SINはSuchmosの曲を突如演奏し始めたり、かと思えばGODRiはドラムソロでミスッたことをわざわざ告げたりと、クダけた側面を見せて場を和ませた。それだけに終わらず、7月に開催されるバンド主催の野外フェス『DEAD POP FESTiVAL 2017』以外にも新しいイベントを計画中であることにも触れ、「今年もガンガン行くぞ!」とMAHは力強く宣言していた。そして、遂にここで新曲「NO SOLUTiON」を披露。レゲエテイストのあるヘビーな曲調だが、これまでのSiMにはなかった妖しげで独特な雰囲気を持つサウンドが印象的。初めて聴く人がほとんどだと思うが、観客のリアクションも良く、シンガロングが起きる場面もあったほど。この新曲がいつ正式にリリースされるかはまだ不明だが、早く音源で聴きたいと思わせる楽曲だった。ラストは「MAKE ME DEAD!」で濃厚すぎるワンマンを鮮やかに締め括った。
横浜アリーナ公演を経て、意図的に観客との距離感を狭めた中で行われた今日のライブ。そこでまたバンド自身が何かを探り、再発見したかったのかもしれない。ぐちゃぐちゃのカオスからシリアスなメッセージ性まで、彼らの真摯な思いが炸裂した意義深いワンマンとなった。
【取材・文:荒金 良介】
【撮影:半田安政(Showcase)】
リリース情報
THE BEAUTiFUL PEOPLE
2016年04月06日
ユニバーサル ミュージック
2. NO FUTURE
3. THE KiNG
4. Abel and Cain
5. Paradox
6. If I Die
7. I DUB U
8. Dance In The Dark
9. GUNSHOTS
10. CROWS
11. The Problem
12. EXiSTENCE
13. Life is Beautiful
セットリスト
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR -season II-
"ONEMAN SHOWS 2017"
2017.3.31@Zepp Tokyo
- 1.NO FUTURE
- 2.Dance In The Dark
- 3.THE KiNG
- 4.GUNSHOTS
- 5.Amy
- 6.R.P.G
- 7.CROWS
- 8.Abel and Cain
- 9.WHO’S NEXT
- 10.I DUB U
- 11.Murderer
- 12.KiLLiNG ME
- 13.Fall in Love With You
- 14.If I Die
- 15.Life is Beautiful
- 16.EXiSTENCE
- 17.Get Up, Get Up
- 18.Blah Blah Blah
- 19.f.a.i.t.h
- 1. NO SOLUTiON
- 2. MAKE ME DEAD!
お知らせ
G-FREAK FACTORY “FREAKY” TOUR 2017
2017.04.28 長野Live House J
TRIPLE AXE TOUR’17(振替公演)
2017.04.30 ミュージックタウン音市場
VIVA LA ROCK 2017
2017.05.03 さいたまスーパーアリーナ
COMIN’KOBE17
2017.05.07 神戸ワールド記念ホール、神戸国際展示場1号館、2号館、3号館、神戸国際会議場
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。