「いつか渋谷クアトロでツーマンをしよう」Halo at 四畳半とRhythmic Toy Worldが交わした約束の日
Halo at 四畳半 | 2017.06.24
「1408日ぶりの約束が果たされているんですよ。めちゃくちゃ夢があると思いませんか!」。6月17日にHalo at 四畳半が開催した“Halo at 四畳半 2man tour”の2公演目、Rhythmic Toy Worldを迎えた渋谷クアトロのステージで白井將人(Ba)が言った言葉だ。およそ4年前。ハロとリズミックの出会いは2013年に遡る。グッドモーニングアメリカが企画するコンピレーションアルバム『あっ、良い音楽ここにあります。その参』に収録されたことがきっかけで互いの存在を知り(Halo at 四畳半は「瓦礫の海に祈りを捧ぐ」、Rhythmic Toy Worldは「さなぎ」が収録されていた)、その年の6月30日に開催された同イベントに呼ばれたことが最初だった。その2ヵ月後の8月10日にリズミックが渋谷O-Crestで開催した自身のライブのオープニングアクトとしてハロを呼ぶ。それが2組の初対バンだった。その時に「いつか渋谷クアトロでツーマンをしよう」と約束したという。クレストからキャパ800人のクアトロに行くということは動員を倍以上に増やすということだ。いま成長した彼らを目の当たりにすれば些細な夢にも聞こえるが、その当時の彼らにとっては大きな夢だったと思う。その約束が実現したのがこの日のライブだった。
ライブの口火を切ったのはRhythmic Toy Worldだ。「最高の夜をHalo at 四畳半と作りに来ました!」。内田直孝(Vo / Gt)の挨拶から繰り出したのは躍動感のあるアップナンバー「Team B」だった。上裸のドラマー磯村貴宏(Dr)が繰り出す疾走感のあるビートにのせて、お客さんのレスポンスを煽りながら、渋谷クアトロにリズミックだけの空間を作り上げていく。夢を上書きしながら大人になっていく、その感傷を歌った「輝きだす」では内田の伸びやかでエモーショナルな歌に導かれるようにフロントのツートップ須藤憲太郎(Ba)と岸明平(Gt)のプレイも熱くなっていった。MCでは内田が「Halo at 四畳半はこの日の約束を叶えるまで……あいつらはめちゃくちゃ真面目じゃん、だから1日1日準備をしてきんだと思います」と言った。こういう対バンのとき、呼んでくれた相手のバンドに対して敬意と思いやりに溢れた直球の言葉を投げかけるところがとても内田らしい。そうやってリズミックを初めて見るハロのお客さんも味方にしながら、「Cheki-Cheki」「いつか」というバンドにとって大切な楽曲を届けていった終盤。「最後にこの曲をハロへのバトンにして届けようと思います」と言って、この日のラストソングに選んだのは「さなぎ」だった。2013年にハロがリズミックを知るきっかけになったその曲には、理想の世界を夢見て、いつまでも歌い続けるというバンドの決意が綴られていた。
Halo at 四畳半のSEはトクマルシューゴの「Rum Hee」。ステージに片山僚(Dr)、齋木孝平(Gt)、白井將人の楽器隊3人が姿を現して、最後に渡井翔汰(Vo / Gt)が登場すると、深く頭を下げてからライブはスタートした。「2016年6月17日!渋谷クアトロ、千葉県佐倉市、Halo at 四畳半、始めようか!」。絶叫に近い渡井の前口上から1曲目に繰り出したのは「春が終わる前に」だった。激しく明滅を繰り返すライティングのなかで、感情を叩きつけるようにエレキギターを掻き鳴らして歌う渡井。その両脇ではギター齋木とベース白井とが互いに向き合って体を大きく動かしながら激しいパフォーマンスを見せ、ドラムの片山は軽快なビートで楽曲に勢いを与えていた。そして、季節はめぐって“夏の残像”が香る「アメイジア」へつなぐ。フロアから湧き上がるハンドクラップにのせて渡井は「声を貸してくれるかな? 俺も歌うからさ」と、彼らしい言葉でシンガロングを誘った。
MCでは“約束のツーマン”の意味を噛みしめながら、「この1時間のライブを通して、この約束の意味は何なのか、それを受け取ってくれたあなたが明日から何ができるかを伝えられるようなお時間にできればと思います」と渡井。その語り口調、選ぶ言葉の一つひとつから誠実で愚直な人柄が伝わってくる。中盤は「メル・ユース」と「ペイパームーン」という、過去の記憶を、守れなかった約束を辿るような楽曲から「たくさんの約束を重ねて渋谷クアトロに辿り着いた発明家の歌を」と伝えて新曲のバラードナンバーを届けた。メロディにストレートに想いをのせるというよりも、曲ごとに描き出す物語に自分が伝えたい想いを重ねていくHalo at 四畳半の歌。この日、その旋律の奥には約束を胸に歩いてきたハロの長い道のりにも想いを馳せるような、そんな気配を感じてならなかった。
「約束の歌をうたわせてください」と渡井が言ってから届けたのはリズミックのカバーで「さなぎ」だ。当時、まだ互いに面識がなかったとき、ふと聴いて心を掴まれたというその歌をまるで自分の持ち歌のように熱い歌唱で届けた。そこから続けた「飛行船」や「箒星について」ではフィナーレに向けて、ステージの4人はさらに熱を帯びていった。そして荒ぶる演奏でフロアを感動の渦に呑み込んで辿り着いたラスト1曲。ギターを弾きながら渡井は語りかけた。「バンドって夢があるんです。これは1曲1曲迷いながら進んでいって、その先のゴール地点で言える言葉です。俺はこの言葉をステージで言い続けたい」と。ラストソングは「モールス」だった。美しいミラーボールの光に包まれながら、フロアに集まったお客さんと心の深い部分でわかり合うための歌を全力の演奏で届けたHalo at 四畳半。そのひたむきで必死な姿こそ、私たちが彼らの音楽に心を許してしまう理由のひとつだと思う。
アンコールでは「もうひとつの約束の曲を」と紹介して、今度はリズミックがハロを知るきっかけになった「瓦礫の海に祈りを捧ぐ」が披露された。当時20歳の渡井が震災をもとに綴ったその歌はリズミックだけでなく、多くのリスナーとハロとを繋いできた歌でもある。そして最後にHalo at 四畳半が渾身の力を込めて、代表曲「シャロン」を投下すると、“約束の対バン”は大きな歓声とともに幕を閉じた。
1408日ぶりの約束は果たされた。だが、この先ハロとリズミックがそれぞれの道を歩み続けていくなかで、願わくばもっともっと大きなステージで対バンをする2組も見てみたいと思う。そのときまで胸に刻みつけておきたい合言葉は「バンドには夢がある」だ。
【取材・文:秦理絵】
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セットリスト
Halo at 四畳半 2man tour "トロイカの箱
2017.6.17@渋谷CLUB QUATTRO
- 01.春が終わる前に
- 02.アメイジア
- 03.カイライ旅団と海辺の街
- 04.メル・ユース
- 05.ペイパームーン
- 06.新曲
- 07.水槽
- 08.リバース・デイ
- 09.さなぎ
- 10.飛行船
- 11.箒星について
- 12.モールス
- EN-01.瓦礫の海に祈りを捧ぐ
- EN-02.シャロン
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