DADARAY ワンマンライブ「灯火」東京公演をレポ
DADARAY | 2017.08.02
休日課長(B / ゲスの極み乙女。)、REIS(Vo, Key)、えつこ(Key, Vo)の3人により今年始動したバンドDADARAY。4月から3カ月連続でミニアルバム「DADAISM」「DADAMAN」「DADAX」をリリースし、7月より初のツアー「DADAPLUS vol.2」を行い、この夏にはJOIN ALIVE、ROCK IN JAPAN FESTIVAL、SUMMER SONIC OSAKAといった大型フェスにも出演するなど、精力的な“お披露目”活動が続いている。本稿では「DADAPLUS vol.2」を経て7月20日に大阪・BIGCAT、22日に東京・赤坂BLITZで開催されたワンマンツアー「灯火」より東京公演の模様をレポートする。
ライブは1stミニアルバム「DADAISM」収録の「美しい仕打ち」でスタート。シンセサイザーが鳴り出すポイントで一気に明転し、会場はすぐさまアダルティで上質なポップスのグルーヴに包まれる。ステージに立つのは、メンバー3人に加え、サポートメンバーの長田カーティス(G / indigo la End)、佐藤栄太郎(G / indigo la End)、佐々木みお(Cho)という、初ライブ以降おなじみの面々だ。フロントマンREISは「BLITZー! いけますか!? 今日は一緒に最高の時間を過ごしましょう、よろしく!」と呼びかける。大音量でうなりあげる休日課長のベースラインから始まる2曲目「block off」では、ハリのあるREISの歌声が炸裂。シースルーの黒ワンピースをまとった彼女がステージの左右端に歩いていけば、フロアから歓声と手が上がり、すでに強烈なアイドル性が生まれていることがわかる。
そんな中、「ダダイズム」「ダダマン」「ダダックス」の“ダダ”3連発。DADARAYとしての自己紹介のようなパートでもあっただろう。そもそもDADARAYというバンド名は、既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想を大きな特徴とするDADAISMのDADAと、光を意味するRAYを組み合わせた造語だ。ゲス乙女やindigoのサポートも務め、中毒性の高いメランコリックなフレーズを鍵盤から繰り出すえつこ、女性の強さと危うさと妖艶さを併せ持った声の持ち主・REIS、ヘヴィからアーバンまで自在に弾き分けるスキルフルな課長。3人それぞれの魅力が絶妙に混ざり合ってDADARAYの音楽を形成していた。観客もそんなスリリングで繊細な世界にグイグイ惹き込まれ、集中した様子で演奏を見つめていた。
課長の挨拶で少し和んだところで、キャッチーなメロディの「誰かがキスをした」から次なるパートへ。ステージ天井から垂れたカーテンにさまざまなグラフィックが投影され、ステージは曲ごとに表情を変える。続く「Breeze in me」では、DADARAYの音楽的特徴のひとつである、REIS+えつこ+佐々木みおの3声が重なる層の厚いハーモニーも堪能できた。
ここまで良い緊張感が漂っていたが、それを解き放ったのは、えつこがソロボーカルをとるピアノナンバー「ikitsukushi (etsuko ver)」。「あたしアゴないし歯出てるけど大丈夫?」と言うほどサバサバキャラの彼女が観客とコミュニケーションを取りながら曲を歌い進め、笑いがあふれる場内。アットホームなムードのままMCに入り、課長が自身の初恋エピソードを披露してさらなる爆笑を生む。観客のほうからも、6人それぞれに対して「かわいい!」「好きー!」「結婚してー!」といった声が上がり、飛んできた質問にメンバーが気軽に応じるなど、ファンと距離の近いバンド性が築かれつつあった。また、この日は「DADAPLUS vol.2」および「灯火」ツアーのファイナルとあって、ツアーを通じてより6人の仲が深まったことも会話の端々から伺えた。
後半は、えつこの語り部コーナーから「場末」、REISとえつこのツインボーカルナンバー「WOMAN WOMAN」と重ねていく。「BATSU」では危険信号を意味するような赤い照明に包まれたが、次の曲「東京Σ」はクールな寒色のライティングが真逆の印象を与える。彼らの強みは、このように激情から冷ややかな感情まで、どちらも聴く者をストンと納得させてしまうポップセンス、さらにそのスキルと表現力を持ち併せていることだろう。本編最後に披露した別れの歌「イキツクシ」は、そんなDADARAYの多彩な音楽性が凝縮された曲とも思える。
アンコールでは、「優しく鬼に」という新曲をプレゼント。これまた相反する要素の共存したタイトルに、オルタナティブな曲調。曲調と不思議にマッチしたREISのソウルフルな歌唱や、スローテンポの中にも息づくブラックミュージックのグルーヴからは、DADARAYがここからもまだ攻めの手を緩めないことを感じた。
最後の曲を前に、REISは「今日は本当に来てくれてありがとうございました。DADARAYのツアーはここで一旦終わりになりますが、これからもどんどん思いを込めてライブしていきますので、また会いに来てください」と話す。ライブの締めくくりはツアー名に冠した「灯火」。デビュー盤「DADAISM」でもラストを飾る曲で、彼らのレコードがリリースされているレーベルも「灯火レコーズ」とあり、バンドにとって大事なキーワードなのだろう。原曲はピアノとストリングスの伴奏による静かなアンセムだが、この日は途中からくぐもったビートがうごめき、高音ギターも轟くニューアレンジで届けられた。ステージの6人はさまざまな感情をぶつけるようにアウトロを全身全霊で演奏し、初ツアーの有終の美を飾った。
【取材・文:鳴田 麻未】
【撮影:井手 康郎】
リリース情報
DADAX
2017年06月28日
灯火レコーズ
2. BATSU
3. ダダックス
4. 誰かがキスをした
5. For Lady
6. イキツクシ(Remix)
7. 9月に落ちるひとしずく
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セットリスト
ワンマンライブ「灯火」
2017.7.22@赤坂BLITZ
- 1.美しい仕打ち
- 2.block off
- 3.ダダイズム
- 4.ダダマン
- 5.ダダックス
- 6.誰かがキスをした
- 7.Breeze in me
- 8.Do what you want
- 9.For Lady
- 10.ikitsukushi(etsuko ver.)
- 11.場末
- 12.WOMAN WOMAN
- 13.BATSU
- 14.東京Σ
- 15.イキツクシ
- EN-1.優しく鬼に
- EN-2.9月に落ちるひとしずく
- EN-3.灯火(new version)
お知らせ
DADARAY 2man tour
「DADAPLUS vol.2」
07/06(木) 福岡DRUM SON
07/07(金) 岡山CRAZYMAMA 2nd ROOM
07/10(月) club SONIC mito
07/11(火) 千葉LOOK
07/18(火) 名古屋 池下CLUB UPSET
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。