DADARAY 今後の進化に期待高まる充実のライブを披露!
DADARAY | 2017.06.20
DADARAY presents 「DADAPLUS~SPECIAL PARTY~」を鶯谷の東京キネマ倶楽部で観た。
初めに書いておくと、DADARAYは今年になって活動が始まった、まだ比較的新しいプロジェクト。だが事実上のデビュー曲となる「イキツクシ」のMVが1月に公開されると同時にギアを上げ、2月からは「DADAPLUS」と題された自主イベントをライブハウスにてシリーズ開催。4月に1stミニアルバム『DADAISM』、5月に2ndミニアルバム『DADAMAN』をリリースし、今月28日には3rdミニアルバム『DADAX』も控えている。この夏にはJOIN ALIVE、ROCK IN JAPAN FESTIVAL、SUMMER SONIC OSAKAなどフェス出演もいろいろ予定されており、新プロジェクトとしては常識外の広がり方を見せているところだ。
メンバーは、ゲスの極み乙女。のベーシスト、休日課長。ヴォーカルとキーボードのREIS(レイス)。katyusha名義でも活動し、Indigo la Endとゲスの極み乙女。のレコーディングやライブをサポートしているキーボードとヴォーカルのえつこ。この3人。「大人の雰囲気を感じさせる上質なポップスを軸とした音楽を表現したい」という休日課長の思いに、声をかけられたREISとえつこが賛同して結成に至ったそうだ。因みに楽曲制作を担当しているのは川谷絵音。つまり、絵音の楽曲を女性が歌ったらどうなるか、というところを実践しているプロジェクトと言うこともできる。
さて、この日のライブは「DADAPLUS~SPECIAL PARTY」と銘打っていることからもわかるように、これまで行なってきている自主イベントの拡大版的なもの。事前にホームページで「スペシャル・ゲストに、enon(川谷絵音)の出演が決定!」と告知されていたので、DADARAYのライブの途中に彼が混ざる形を想像していた人が多かったことと思うが(自分もそう思っていた)、実際は第1部がenonのステージ、休憩挿んで第2部がDADARAYのステージという構成だった。
というわけで、まずはenonこと川谷がひとりでスっと登場。楽器も持たずにハンドマイクでindigo la Endの「ココロネ」を歌ったあと、「すごい、ユルくやるんで。ひとりでやるのは久しぶりなんですけど、なんか恥ずかしいですね」とMC。「(DADARAYと)一緒にやって~」と女性客が声をかけると、間髪入れず「やんないよ!」と応える彼だった。続いてギターの弾き語りでindigo la Endの「She」と「夜の恋は」を。「泣きそうだ」と歌われる「She」での彼の歌声はまさに今にも泣きそうなもので、ジワっと胸に沁み入ってきた。だが、歌っているときとMCのギャップは、それはもう激しいもので、このあたりからMCは毒舌と自虐がモリモリに。その面白さったらない。一方、歌では松任谷由実の(荒井由美時代の)名曲「ひこうき雲」をじっくり聴かせ、そのあとは観客5人からそれぞれお題(ワード)をもらって、それを繋げながら歌にするという即興を。即興でありながらもいい具合に切なさ成分と笑いの成分が混ざり、メロディもグッドで、彼の天才性が爆発していた。
続いては7月12日に発売されるindigo la End の3rdアルバム『Crying End Roll』から、「見せかけのラブソング」を初披露。さらに「インディゴラブストーリー」、そして「夏夜のマジック」を歌って、ステージをあとにした。
休憩を挿み、2部はDADARAYのステージ。メンバー3人に加え、ギターの長田カーティス、ドラムの佐藤栄太郎、コーラスのササミオがサポート。前3人が女性、後ろ3人が男性という並びだ。
まずは1stミニアルバム『DADAISM』から「美しい仕打ち」「block off」「ダダイズム」と続けて3曲。初っ端にREISが「DADARAYです」と挨拶し、続けて「キネマーっ!」とシャウトすると、それに応えるように観客たちも自由に手を振ったりしながら曲にノっていた。メロディはとてもポップだが、構成に動きがあり、アレンジはなかなか複雑で小節ごとにどんどん変化していくDADARAYの楽曲群。だが、決して難解さはなく、だから観客たちも自由にノレるわけだ。また、元気なところとある種の憂いのようなもの、クールな雰囲気と可愛らしさがいい塩梅で同居したようなREISのヴォーカルは、そうした変幻自在な曲構成及びアレンジによく適応し、川谷楽曲の個性を際立たせもする。フリーフォームで演奏される「ダダイズム」のラップ風ヴォーカルにも惹きつけられるものがあった。
「こんばんは、DADARAYです。みんな、いい顔してますねー。今日は楽しんで帰りましょう」とREISが改めて挨拶したあとは、先月発売された『DADAMAN』から「WOMAN WOMAN」と「ダダマン」を。えつことREISの声の重なり、及びキーボード音の合わさりが曲に膨らみをもたらし、休日課長のベースがまたこのプロジェクトの個性を強く印象付ける。続いては3rdミニアルバム『DADAX』に収録される新曲「誰かがキスをした」。ミディアムの曲調からREISの歌声に含まれた憂いの成分が滲み出る。“都会の夜に合うクールで上質なポップス”というようなこの感じこそ、DADARAYの明確な個性と魅力だろう。
そして、続く「ikitsukushi」は、えつこがリード・ヴォーカルを。REISとは異なる太さが声にあり、このプロジェクトの幅を示していた。このあとメンバー紹介と2ndミニアルバムからの「Do What you want」に続いては、再びえつこが主役に。「どーも。DADARAYのキャリアウーマンです。キネマ倶楽部みたいなこの雰囲気、私、大好き」と言って、ひとしきり喋りを。さらに休日課長と長田カーティストを引き寄せて寸劇めいたものも見せながら笑いをとりつつ、『DADAX』に収録される「場末」を歌唱。姉御キャラと声とが合っているえつこがDADAREYのライブで果たす役割の大きさを、この場面で強く思い知らされた。
さらにドラムソロから「東京Σ」。ポップなメロディと後半のプログレッシブな曲展開がナマでは尚更際立ち、演奏力の高さに唸らされる。「またライブで会えることを楽しみにしてます」とREISが挨拶し、本編ラストは既に代表曲のひとつとなった「イキツクシ」。長田によるアウトロのノイズギターがしばらく耳に残る締め括りとなった。
アンコールでは川谷が撮影したという写真がデザインされた物販Tシャツを全員が着て登場。REISは「今日出てくれたenon、ありがとー! あ、今、enonって言っちゃったけど……川谷くん、ありがとう。DADAREYの曲も書いてもらってますけど、歌ってて、すごく気持ちいいし、幸せです」と言い、『DADAMAN』から「Breeze in me」を歌ったあと、ラストは『DADAISM』収録のバラード「灯火」を気持ちを込めて歌い上げた。
Enonの弾き語りから、今後の進化に大いに期待が高まるDADARAYのステージまで、「SPECIAL PARTY」というだけのことはある贅沢なライブだった。
リリース情報
DADAX
2017年06月28日
灯火レコーズ
2. BATSU
3. ダダックス
4. 誰かがキスをした
5. For Lady
6. イキツクシ(Remix)
7. 9月に落ちるひとしずく
このアルバムを購入
セットリスト
DADARAY presents 「DADAPLUS~SPECIAL PARTY~」
2017.6.10@東京キネマ倶楽部
enon
- 01. ココロネ
- 02. she
- 03. 夜の恋は
- 04. ひこうき雲
- 05. 即興
- 06. 見せかけのラブソング
- 07. インディゴラブストーリー
- 08. 夏夜のマジック
- 01. 美しい仕打ち
- 02. block off
- 03. ダダイズム
- 04. WOMAN WOMAN
- 05. ダダマン
- 06. 誰かがキスをした
- 07. ikitsukushi(etsuko ver.)
- 08. Do what you want
- 09. 場末
- 10. 東京Σ
- 11. イキツクシ
- 12. Breeze in me
- 13. 灯火
お知らせ
DADARAY 2man tour
「DADAPLUS vol.2」
07/06(木)福岡DRUM SON
07/07(金)岡山CRAZYMAMA 2nd ROOM
07/10(月)club SONIC mito
07/11(火)千葉LOOK
07/18(火)名古屋 池下CLUB UPSET
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。