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現時点での集大成となった、KEYTALK初の横浜アリーナ単独公演

KEYTALK | 2017.09.22

 大型スクリーンにメンバー各々の写真が現れる映像が開演を告げた後、1万2千人の観客がワクワクしながらステージを見つめていたが、突然、驚きの声が客席後方エリアから上がった。なんと、センター席の後方にKEYTALKの4人が登場! 首藤義勝(Vo・B)と小野武正(G・MC・Cho)が上手側のセンター席外周通路、寺中友将(Vo・G)と八木優樹(Dr・Cho)が下手側のセンター席外周通路を歩いて、ステージへと歩いて向かった。ものすごい歓声を浴びながら、彼らが実に嬉しそうな笑顔を浮かべているのが見える。意表を突く登場によって、早くも桁外れの盛り上がりに至ったオープニングであった。

 ステージに辿り着いた4人は、素早く各楽器の準備を完了。1曲目に届けられたのは「Summer Venus」。スタートするや否や、観客が一斉に打ち鳴らした手拍子の熱量がすごい。曲の途中のEDM風味になる部分では大量のスモークが吹き上がり、客席の誰も彼もが歓声を上げて大興奮。続いて「ASTRO」と「ダウンロードディスコ」も披露され、横浜アリーナは完全にダンス天国と化してしまった。「下北沢からやって参りましたKEYTALKです。僕らが出会って10年目ということで、いろんな曲をやっていきたいと思います!」という武正のMCを挟み、「fiction escape」や「sympathy」など、踊らずにはいられないナンバーがどんどん連発され、メンバーも観客もすっかり汗だくとなっていたが、とても爽やかな昂揚感が会場内に漂っていた。

「最高に楽しいってベースで訴えかけています。ウチのおしゃれ番長」と武正に言われて、ベースを弾きながら「♪最高に楽しい~」という即興のメロディを歌って和やかな笑いを誘った義勝。「見えてますよー!」と、後方エリアの観客に呼びかけて沸かせた八木。十八番のモノマネを披露しつつ、「fiction escape」のリリース時を意識した髪型にしてきたと語った巨匠(寺中)。4人が横浜アリーナのステージに立てた喜びを滲ませつつ賑やかに語り合ったインターバルを挟み、「桜花爛漫」の演奏がスタート。和的な情緒が香るメロディと軽快なビートを噛み締めながら観客は大盛り上がり。歌詞の一節を《YOKOHAMA SUNTAN》にアレンジしたスペシャル版の「OSAKA SUNTAN」で起こった歓声がものすごかった。様々な時期にリリースされた曲たちによって構成されていたセットリストは、KEYTALKの現時点での集大成だったと言って良いだろう。

 中盤には、とてもレアな曲が用意されていた。KEYTALKの前身バンド「real」を結成した頃のことを語った武正。メンバー4人が揃い、制作したデモ音源を100社くらいに送ったのだという。その内の1社が、現在所属している事務所。そしてデモ音源の1曲目、事務所社長の古閑氏が初めて聴いたのであろう彼らの曲「view」が披露された。洗練されたフュージョン風味と爽やかな疾走感が融合したサウンドがかっこいい。現在のKEYTALKとはかなり異なる作風だが、当時から彼らが只者ではなかったことを窺わせた。この曲を当時使っていたギターで演奏するという粋なことをしていた巨匠。「なかなかかっこいい曲だったでしょ?」と、武正も自信がある様子だった。

 ドラムセットが高くせり上がる中、炸裂した八木のパワフルなソロプレイ。「横浜アリーナ、かかってこいよ!」と煽って突入した「YGB」は、他のメンバーもエモーショナルなプレイを連発して、雄々しい姿を示してくれた。続いて届けられた「マスターゴッド」は、イントロで八木のドラムセットが下降。曲の中間部分で義勝が「みんな、10年間ありがとう。20年後も30年後も一緒にバンドやろうね!」と言い、4人が仲良く寄り添う微笑ましい場面があったのだが、その後に再開された演奏はドラムレス。なんとドラムセットがせり上がっていて戻れず、八木が途方に暮れていた……。「早く戻れよ!」と巨匠、義勝、武正に一斉にツッコミを入れられる演出が大爆笑を起こしていたが、こういう遊び心があるところもKEYTALKのかけがえのない魅力だと再認識させられた。

「color」と「One side grilled meat」で激しく盛り上げた後、一旦ステージから去った4人。すると大型スクリーンに映像が流れた。2009年10月4日、渋谷GUILTYのステージ上で「バンド名を今から変えます。realからKEYTALKというバンドに変わります!」と巨匠が発表した瞬間。インディーズ時代から最近に至るまでの彼らの姿。各メンバーへのインタビュー……貴重な内容が盛りだくさんであった。そして、その後に予想外の展開が待っていた。メンバーたちが戻ってきたのだが、ステージにいるのは八木のみ。巨匠はスタンド席の外周通路の上手側、義勝は下手側、武正は後方中央――まるで大きな円を描くかのようなフォーメーションで4人が届けた曲は、「バイバイアイミスユー」だった。温かいメロディに包まれた観客は、うっとりしながら大合唱。とても感動的な空間が生まれていた。

「みんな、早く帰ってきて!」と八木に言われて、通路を歩いてステージに戻った巨匠、義勝、武正。「武道館で、スマホのライトで照らしてくれたので、僕らからサプライズをやらせてもらいました(※武道館のライブで「バイバイアイミスユー」を演奏した際、観客が掲げたスマートフォンのライトが満天の星のように美しく瞬いた)」と武正が先ほどのサプライズについて語った後に披露された「黄昏シンフォニー」「プルオーバー」「ミルクティーは恋の味」は、瑞々しいメロディをじっくり堪能させてくれた。そして、武道館から約2年後に横浜スタジアムに辿り着いたことを改めて喜び、日産スタジアムや東京ドーム、中日ドラゴンズの大ファンである八木にとっての聖地・ナゴヤドームでいつかライブをやれるようになりたいと、語り合った4人は、「Love me」「YURAMEKI SUMMER」「太陽系リフレイン」「MATSURI BAYASHI」を連発。観客をますます熱く踊らせたのであった。

「楽しんでますか? 明日からまた始まるみんなと俺らKEYTALKの日常へ。夢や希望に向かって行くための明日へ、最後の曲を一緒に歌いましょう。こんな素晴らしい1日をありがとう。KEYTALKでした!」、巨匠が観客に語りかけ、本編の最後に披露された「Oh!En!Ka!」は、とてもグッとくるものがあった。演奏がスタートすると同時に発射された銀テープを握りしめながら観客は大合唱。力強い一体感が横浜アリーナ全体に広がっていた。「みんなのおかげで、明日から俺らも頑張れる。みんなも明日から頑張ってこう!」という巨匠の言葉を経て演奏が締めくくられた時、感極まった様子の歓声が会場内に響き渡った。

 アンコールを求める手拍子に応えてステージに戻ってきた4人を出迎えたのは、会場全体で観客が掲げたスマートフォンの真っ白な光。「ありがとう。きれいだあ!」と彼らは大喜びしていた。そして、12月20日に今日のライブの映像を収録したDVD、Blu-rayをリリース、10月28日にBSフジでKEYTALKにカメラが密着した特別番組を放送……など、今後の予定が発表された後、「セツナユメミシ」と「スポットライト」が披露され、ラストは「MONSTER DANCE」が飾った。ステージ上で何本もの真っ赤な火柱が上がる中、メンバーたちは全力で演奏を繰り広げ、観客は一斉に振り付けを踊りつつ飛び跳ねて大興奮。間奏で巨大ミラーボールが降下してきて光の粒子を放ち、八木がサンバホイッスルを吹き鳴らし、モクモクと吹き上がった大量のスモーク……スリリングな場面の連続となり、巨匠が「ほんと」と側面に書かれた缶ビールを手にしてプルタブを開け、一気飲みした後に「ありがとう」という文字の面を見せるという粋な演出を経て華麗にエンディングを迎えた。

 客席を背景にして記念撮影をした後、繋ぎ合った手を掲げて挨拶をした4人に送られた大きな拍手は、KEYTALKがファンから深く愛されていることを示していた。今後の彼らは、12月9日(土)・名古屋CLUB QUATTRO公演を皮切りに、全国ツアー『KEYTALK 灼熱の小旅行 運転技術向上委員会 冬の陣 ~ハンドルを片手に~』をスタートさせる。このツアーはメンバー自らが車を運転し、各地を巡るものとなるらしい。インディーズ時代の彼らも小野家の車に乗り込んで全国を回ったそうだが、そんな原点回帰にもなりそうなこの機会を経て、彼らはさらに魅力を深めていくのだろう。今後のKEYTALKの活動も楽しみだ。

【取材・文:田中 大】
【撮影:後藤壮太郎】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル KEYTALK

リリース情報

セツナユメミシ

セツナユメミシ

2017年08月30日

ビクターエンタテインメント

01.セツナユメミシ
02.タイポロジー
03.誓い
04.さよならを。夏、

セットリスト

10th anniversary KEYTALK 横浜アリーナ ワンマンライブ 俺ら出会って10年目~shall we dance?~
2017.09.10@横浜アリーナ

  1. 01.Summer Venus
  2. 02.ASTRO
  3. 03.ダウンロードディスコ
  4. 04.fiction escape
  5. 05.sympathy
  6. 06.SAMURAI REVOLUTION
  7. 07.金木犀
  8. 08.HELLO WONDERLAND
  9. 09.桜花爛漫
  10. 10.茜色
  11. 11.boys & girls
  12. 12.OSAKA SUNTAN
  13. 13.Monday Traveller
  14. 14.view
  15. 15.YGB
  16. 16.マスターゴッド
  17. 17.color
  18. 18.One side grilled meat
  19. 19.バイバイアイミスユー
  20. 20.黄昏シンフォニー
  21. 21.プルオーバー
  22. 22.ミルクティーは恋の味
  23. 23.Love me
  24. 24.YURAMEKI SUMMER
  25. 25.太陽系リフレイン
  26. 26.MATSURI BAYASHI
  27. 27.Oh!En!Ka!
 <ENCORE>
  1. EN 01.セツナユメミシ
  2. EN 02.スポットライト
  3. EN 03.MONSTER DANCE

お知らせ

■ライブ情報

KEYTALK 灼熱の小旅行 運転技術向上委員会 冬の陣 〜ハンドルを片手に〜
12/09(土) 名古屋CLUB QUATTRO
12/10(日) 梅田CLUB QUATTRO
12/12(火) 福岡 DRUM Be-1
12/15(金) 仙台MA.CA.NA)
12/18(月) 渋谷CLUB QUATTRO


テレビ朝日ドリームフェスティバル2017
10/28(土) さいたまスーパーアリーナ

SCOOBIE DO pre.クアトロマンスリーシリーズ 2017「ダンスでパラダイスな男達」
11/09(木) 渋谷クラブクアトロ

さる VS カニ 合戦
12/05(火) 福井県県民ホール(アオッサ)
12/07(木) 長野県 ホクト文化ホール 中ホール

新木場サンセット 2017
12/13(水) 新木場 STUDIO COAST

毎日がクリスマス 10TH ANNIVERSARY!
12/20(水) 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール

COUNTDOWN JAPAN 17/18
12/28(木) - 2018/01/01(月)
幕張メッセ国際展示場

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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