儚き一瞬の夢を描いたKEYTALKの12thシングル「セツナユメミシ」インタビュー
KEYTALK | 2017.08.30
「セツナユメミシ」は、NHK Eテレ テレビアニメ『境界のRINNE』の第3シリーズオープニングテーマソング。和的な情緒を漂わせるメロディとエネルギッシュなバンドサウンドが、絶妙に融合している。そして、カップリングの仕上がりも素晴らしい。収録されている全4曲がメンバーそれぞれの作詞作曲である今回のシングルは、多彩な世界を生み出せるKEYTALKの魅力を堂々と示す1枚だ。横浜アリーナでのワンマンライブも間近に控え、気合を漲らせている寺中友将(Vo・G)、首藤義勝(Vo・B)、小野武正(G・MC・Cho)、八木優樹(Dr・Cho)が、何度も派手に脱線しながら今作について語ってくれた。
- EMTG:アルバム『PARADISE』のリリース後、今回で2枚目のシングルですね。今年もライブをたくさんやっていますし、KEYTALKって実はめちゃくちゃ勤勉なのかもと思い始めているんですけど。
- 首藤:僕らは働き者です。
- 小野:と言いつつ、ライブは週末ですからね。
- 八木:週末バンドマンです!
- 小野:いま会える週末バンドマン(笑)。まあ、スケジュールは、そんなにパツパツではないですよ。
- 寺中:いい感じでやれています。
- EMTG:今回のシングルからも、バンドのいいコンディションが伝わってきました。まず、「セツナユメミシ」は、『境界のRINNE』のオープニングテーマですが、「桜花爛漫」に続いて2曲目?
- 首藤:はい。「桜花爛漫」は、『境界のRINNE』のアニメを観たみなさんにも喜んで頂いて、KEYTALKの代表曲の1つに育っていったんです。そんな中、また曲を作らせて頂けることになったので、すごく嬉しかったです。
- 寺中:今回も、義勝ならではの和メロが出た曲になるんだろうなと、楽しみにしていました。そして作ってくれた「セツナユメミシ」は、予想以上に良い曲でしたね。
- 小野:「桜花爛漫」は、幼稚園の先生が、「先生、あの曲弾いて!」って子供たちに言われて弾くこともあったみたいなので、「セツナユメミシ」も、そうなったらいいですね。八木くん何歳だっけ?
- 八木:シャンシャイ(3歳)!
- 小野:まだ幼稚園にも入ってないじゃないか。
- 八木:ウン!
- EMTG:3歳の優樹くんは、「セツナユメミシ」は好き?
- 八木:ダイシュキ(大好き)! イイ曲! KEYTALKもダイシュキ!
- EMTG:……そろそろ本来の八木さんに戻ってください。
- 八木:はい(笑)。「セツナユメミシ」は、KEYTALKらしさもありつつ、『境界のRINNE』の世界観にも合った、とても良い曲だと思っています。明るい感じにしたいなと思ってレコーディングをしました。ドラムは、いつもよりトーンが高めの音で録っています。
- EMTG:この曲を聴いて改めて思ったんですけど、義勝さんの和メロと巨匠の和メロは、それぞれ違った味わいがありますね。ザックリとした言い方になっちゃいますけど、巨匠は祭囃子タイプの和なのかなと。
- 寺中:僕が和な感じを出す時は、そうですね。
- EMTG:それに対して、義勝さんの和は叙情的なものを感じます。
- 首藤:たしかに、そうなのかもしれないです。
- EMTG:ご自身のそういう作風の源って、何か心当たりはあります?
- 首藤:分からないです。でも、こういうメロディが好きなんですよ。「メロが和で、コードでちょっと泣きの要素を入れる」みたいな作り方は、よくしています。「セツナユメミシ」も、そういうところが出ている曲だと思います。
- EMTG:メンバーのみなさんから見て、義勝さんは和な男でしょうか?
- 小野:和な男です。いつも身体で和を表現していますから。ちょっと控えめなところがありますし。
- 寺中:この前、北海道でラーメンをみんなで食べたんですけど、義勝くんが突然立ち上がって、「俺、寿司一貫食ってから帰るわ」って言ったんです。
- 小野:あれは和だった。
- 寺中:閉店時間ギリギリだったんですけど。みんなで「まじか!」って言いました。
- 小野:そういえば、帰りの飛行機で、義勝が『dancyu』という雑誌を見ていたんですけど、和の特集ページを開いてましたよ。日本酒とかの記事でした。
- 八木:そんな分かりやすい和の示し方があるとは!
- 首藤:やっぱり僕、和だったようです(笑)。
- 小野:でも、八木も和なんですよ。鼻水をすする音がざるそばみたいですから。
- 八木:たしかに!
- 寺中:そば、よく食うよね?
- 八木:うん。今日も食べた。
- EMTG:(笑)カップリングのお話に移りましょう。今回のシングルは、メンバーそれぞれが手がけた曲が収録されているのも、注目すべきポイントです。去年辺りから、メンバー全員が積極的に作詞作曲をするようになっていますよね。
- 小野:はい。徐々にこういう形でやるのが馴染んできているのかなと思います。
- EMTG:武正さんが作詞作曲をしたのは「タイポロジー」。巨匠と義勝さんの歌の掛け合いがすごくスリリングです。
- 小野:疾走感のある曲にしたかったんです。最高の仕上がりになったと思っています。2人の歌も100点満点です。いや、120点ですね。予想以上でしたから。
- 寺中:小野くんの曲は、歌の掛け合いが独特ですから、聴いていて楽しいんじゃないでしょうか。でも、ライブで時々、「次、何だっけ?」って、義勝くんと目で確認し合うことがあるんですけど。
- 首藤:あるね(笑)。
- 寺中:ツアー中に、そういうことが実際にありました。「KARAKURI夢ドキュメント」です(笑)。
- 小野:僕の曲は交互に歌うものが多いので、そういう現象が起こるようです。
- 寺中:あと、歌う順番が不規則なので、曲がちゃんと身体に沁み込んでいないと歌えないんですよ。
- EMTG:そういう曲を書く武正さんに対して、苦情を言いたくなることはあります?
- 小野:なんでそういう質問をするんですか!
- 八木:急に心が狭くなる小野武正(笑)。この曲は、ドラムに関しては普通じゃないビートを叩いた部分があるのも、個人的なポイントです。高いタムでビートを刻むっていう、ドラマーだったら普通は叩かない変なニュアンスなんです。ポップですけど、面白い隠し味が入っている曲になっていると思います。
- EMTG:八木さんが作詞作曲をした「誓い」も、面白い味付けですね。シューゲイザーっぽさもあるし、プロデューサーのNARASAKIさんのCOALTAR OF THE DEEPERSの曲に通ずる不思議な雰囲気を感じました。
- 八木:NARASAKIさんにも言われました。「僕が作る曲みたいです」と。
- EMTG:今までの曲を振り返っても、八木さんって底知れないソングライターだなって感じるんですよ。我々の知らない八木さんの一面が、まだまだたくさんあるのでは?
- 八木:いや。ないです。もう、これだけ。
- 寺中:出た、その感じ(笑)。
- 首藤:前もそういうこと言ってたじゃないか。
- 小野:毎回「出し切った」って言ってるから。
- 八木:そうだっけ?
- 首藤:「誓い」は、エモさを感じます。また新しい感じを出してきたなと思いました。ふわっとした感じがありつつ、重さもあるんですよね。特に終盤辺りの流れは、独特ですよ。
- 寺中:KEYTALKの一番重くてエモい曲になっていくかもしれないですね。
- EMTG:そして、「さよならを。夏、」は、巨匠の作詞作曲。「エンドロール」とかに通ずるこういう渚な感じは、巨匠ならではだと思います。
- 寺中:やはり海と海水がものを言いますね。
- 首藤:……「海と海水がものを言いますね」って何?
- 八木:さらっと言うから、誰も突っ込まないまま流すところだった!
- 小野:危ない、危ない!
- 寺中:(笑)歌詞を書く時に意識したのは「情景を思い浮かべてもらえるものにしたい」ということでした。そういう内容の時に、義勝の声がすごく向いているんですよ。だから、義勝に歌ってもらうことを考えながら情景描写の部分を書きました。
- 首藤:僕もこういう曲を作りたいと思うことがあるんですけど、なかなかこうはならないんですよね。やっぱり海と海水がものを言うんでしょうか?
- 寺中:その通り!
- EMTG:まず手始めに海水を飲んでみれば、義勝さんもこういう曲が書けるのでは?
- 寺中:海水を飲むって、どういうことですか?
- 八木:自分はボケておいて、他の人のボケは拾わない巨匠……。
- 寺中:俺、悪いやつだなあ(笑)。
- EMTG:(笑)サビ直前のコーラスが、この曲の胸キュンポイントですね。
- 寺中:こういうコーラスの感じに最近ハマっているんです。「黄昏シンフォニー」の辺りから意識しています。
- EMTG:今回のシングルを聴いて改めて思いましたが、KEYTALKの4人って、それぞれ独特な作風を確立していますね。
- 寺中:今回のシングルは、4人それぞれの感じが今までで一番分かりやすいかも。
- 小野:例えば「さよならを。夏、」も、僕からは出てこないタイプの曲ですからね。僕、あんまり海に行かないので、そういう体験を教えてくれる曲でもあります。大学時代に1回だけ海に行ったんですよ。
- 八木:江の島ね。
- 寺中:一緒に行った海って、あれだけだよな?
- 小野:うん。
- 寺中:小野くんがテンション上がり過ぎちゃって、車の窓から顔を出した時に風で帽子が飛んでいったんです。それで大渋滞。
- 小野:大渋滞はしてないから! でも、車を止めて帽子を拾いに行ったら、周りの車から「何やってんだ、こらあ~!」っていう声が(笑)。
- EMTG:(笑)このシングルがリリースされた後は、いよいよ9月10日の横浜アリーナ公演ですね。
- 小野:はい。いいライブができそうな気がしています。
- 寺中:横浜アリーナは縦長の会場なので、後ろの方のお客さんにも楽しんで頂けるように、武道館とはまた違う意識で臨みたいです。
- 八木:緊張が止まりません。「横アリ」って聞いただけで、汗がジワって出てくるんですよ。
- EMTG:名古屋から新幹線に乗って、ドアラが観に来てくれたらどうします?(※八木は、中日ドラゴンズの大ファン)
- 八木:来てくれたらすごいですね。
- 寺中:横浜は敵地だから来ないでしょ。
- EMTG:新横浜駅で降りた瞬間、横浜DeNAベイスターズ のファンに「敵だぞ!」って取り囲まれちゃうかも。
- 八木:ドアラ狩り(笑)。僕がドアラを守ります!
- 首藤:僕らが横浜アリーナに究極のハッピー空間を作ります!
- 八木:イエス!
- 寺中:ペーイ!
- 小野:「ペーイ!」って、俺、言ってないから。
- 八木:横アリ、楽しみだペーイ!
- 小野:……義勝は、「ペーイ!」って言わなくていいの?
- 首藤:あっ、俺は大丈夫。
- 八木:最後の最後で4人の不仲がバレた! 今まで隠し通してきたのに……。
- 小野:KEYTALK、仲いい風だったのになあ(笑)。
【取材・文:田中 大】
リリース情報
セツナユメミシ
2017年08月30日
ビクターエンタテインメント
01.セツナユメミシ
02.タイポロジー
03.誓い
04.さよならを。夏、
02.タイポロジー
03.誓い
04.さよならを。夏、
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