毎年恒例、かりゆし58の全国ツアー『ハイサイロード』開幕!待ちに待ったツアー初日、東京公演をレポート!
かりゆし58 | 2017.12.04
「めっちゃ楽しみにしていたツアーがいよいよ始まりました。自分らにとっても、みなさんにとっても、この初日は今日しかありません。我々も失敗にビビっている暇はありません。思いっきりやりにきました! よろしくお願いします!!」
そんなライブ序盤での開会宣言のような前川真吾(Vo・Ba)のMCを皮切りに、毎年恒例、かりゆし58の全国ツアー『ハイサイロード』が幕を開けた。『2017-18~変わり良し、代わりなし~』がタイトルに加えられた今回は、足掛け2年で全33公演を敢行。この日はその初日で、会場はマイナビBLITZ赤坂であった。
「なんで新作を作るかと言えば、それを持ってあなたに会いに行けるからです。今日は、このアルバムのファーストキスのような貴重な日。そんな大事な時間を僕たちに預けてくれて本当にありがとう!!」(前川)
ダイナミズムが呼び込まれ、とてつもない高みへと連れ出してくれた「流星タイムマシーン」を始め、ニューアルバムからの楽曲もふんだんに、これまで以上に会場を交え、一体感と共有感、そして勢いがライブ全体にほとばしっていたこの日。それは同時に、本作品に詰まっていた勢いがライブを通し本領を発揮し、育ち、曲が完成されていく、後々の各新曲の姿へと想いを馳せさせた。
振り返るとニューアルバムの『変わり良し、代わりなし』は、そのタイトルに現れている通り、変わっていくことを恐れないことを肯定しつつも、自身のかけがえのないアイデンティティを改めて感じさせる楽曲が多かった。それらは新機軸を打ち出しつつも、逆に自身らしさを滲み出させるものばかりであり、同時にこれからライブを経て、各位が自身の歌と化した時の愛しさや尊さへと想いを馳せさせるものばかりであった。
「新しい曲をやるときの、“あっ、もしかしたら失敗するかもしれない”。そんな緊張感を2年ぶりに味わってみて気持ちがいいです。実は今日もここまでに小さな失敗を幾つかしています。でも、俺はそれを誇りに思っております。失敗は挑戦しているヤツだけが得られる特権。いっぱい失敗しよう(笑)!」
と、申し訳ない。私が前回のインタビューの際にうっかり口を衝いて出てしまった、彼らの東京でのツアーの初日の緊張感についての言及を気にしていたようで、ところどころこの緊張感についての話が挟まれた。とは言え、“失敗してもいい!"と挑んだ、その気楽さが功を奏したのか?これまでの彼らの東京でのツアー初日に比べると、今回はガチガチまでとはいかず、ガチ程度であった。そして、その緊張感が逆に楽曲に、慎重が故の丁寧さやセンシティヴな部分を寄与していたことも事実。多少、作品以上ののびのび感を与えてはいたものの、きちんと大切に真部を伝えようとしているところや、小慣れて埋もれていってしまう前のデリケートな、手渡しで贈られるプレゼントのような新曲群のプレイは印象的であり、同時に、この緊張感がいい具合にほぐれ、自分にとっても会場のお客さんにとっても、自身の歌になっていったときの響きへと想像を膨らませた。
オリジナルドラマーの中村洋貴の代わりに、サポートドラムの柳原和也を迎えて行われた今回のツアー。もちろん、この日は新曲ばかりが歌われたわけではなかった。
ドライブ感がありながらもポップさを会場に呼び込み、皆が一緒にクラップ。楽しさが場内に満ちていった「オリオンビーチ」、カウパンクのビートに合わせ、一体感が会場を更に盛り上がりの船出へと誘った「カイ・ホー」等々、新旧降り交えたセットリストが会場との一体感を募っていく。特にこれまでの曲たちは、ライブでの繰り返しを経て、より一層の自身に歌われている歌のように会場各人の気持ちを重ねさせ、まるで自身の歌のようにステージに向けて贈り返されていく光景も印象深かった。
また、アルバムインタビューの時にこのツアーへの意気込みを訊いた際、「今回のツアーでは真悟の代わりに何曲かベースも弾くし…」と語っていたギターの宮平直樹。その言葉通り彼がベースを弾く楽曲も設けられ、中には5弦ベースを弾く場面も。その分、前川がハンドマイクにて、のびのびと歌うことが出来た一翼を担っていた。
そして、アルバム中、印象深かった新屋行裕がギターを弾きながら歌った曲では、彼が作詞作曲をする楽曲特有の良い意味でのポツンとした孤独感や、自分に向き合っているかのような歌が、会場中にいる人々をも自分自身と向き合わせるかのように響いた。「歌っている間、足が震えた」とは当の本人、新屋の言葉だ。
「4歳の息子よりも自由な父親であろうと決めました。36歳にして過去最高な1年を生きようと思っています。それがあなたにどう作用するかわかりませんが、人間がとことん自由になると決めて生きたらどういったものになるか。いっぱいトライして、一瞬だけ成功して、その次また失敗をしながらいつまでも成長していきたいと思います。こんなバンドを、これからもよろしくお願いします!」(前川)
この言葉のあとに入った「アンマー」は、“いつまでも色々な思い出を重ねながら、この歌を歌い続けていく!!”そんな力強い宣言のようにも響いた。
「ここ何年か人様に『頑張って!!』と(あえて)言って来なかったけど、今は胸張って言えます。俺は死ぬくらい泥水を飲んでやろうと思ってます。だから皆さんもよかったら、無理をしたり、頑張ってみて下さい。心や体をすり減らしてみて下さい。結果があなたを裏切っても、その時に自分に付いてきた心や体には、“こいつ可愛いな”と思えるでしょうから。これからも怪我を恐れず、頑張って行きましょう!」とラストスパートは市井の人々の中の英雄に綴られた歌たちが、力強く会場に集まった全員の背中を押し、腕を引っ張り、希望や未来へと引き上げてくれるように連射された。そして、それらはどれも、“明日からも皆さんは皆さんの人生を皆さんらしく懸命に生きてください”との願いが込められたかのように歌われると同時に、「明日からも頑張れ!!」と送り出してくれているように、心に響くものがあった。
彼らはこれからまた全国各地で待っている人たちに、まるでプレゼントを手渡しに行くかのように、新作からの曲たちを中心にライブを行っていく。あなたの街やその近くにもきっと行くことだろう。その時は是非、今回の楽曲たちを各会場で一緒に育み、育てて欲しい。それは各曲、美しい花を咲かせるだけでなく、咲いてからいつまでもあなたに糧を残してくれるに違いない。なんたってニューアルバムの『変わり良し、代わりなし』は、ライブで機能すると同時に、変化や変わっていくことを恐れない気概や姿勢が詰まった、気づけば、皆さん好みの歌へと化していくポテンシャルを多分に含んだ楽曲ばかりが詰まった作品なのだから。
【取材・文:池田スカオ和宏】
リリース情報
変わり良し、代わりなし
2017年10月18日
LD&K
2.アガリミナギル効果
3.ナナシの隣人
4.七夕から
5.銀幕の星
6.髪を切る
7.Welcome to summer
8.変貌願望
9.さらば太陽
10.流星タイムマシン
11.ユクイウタ
12.ホームゲーム
13.マンゴーウーマン ゴー!ゴー!ゴー!
14.FFF
ーおまけー
Happy birthday song
お知らせ
ハイサイロード2017-18〜変わり良し、代わりなし〜
2017/12/09【石川】金沢EIGHT HALL
2017/12/10【富山】富山Soul Power
2017/12/15【埼玉】HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
2017/12/17【秋田】秋田Club SWINDLE
2017/12/18【宮城】仙台MACANA
2017/12/21【北海道】札幌PENNY LANE 24
2018/01/08【愛知】名古屋ダイアモンドホール
2018/01/11【兵庫】神戸チキンジョージ
2018/01/12【京都】KYOTO MUSE
2018/01/14【奈良】奈良NEVERLAND
2018/01/16【大阪】大阪BIGCAT
2018/01/21【鹿児島】鹿児島CAPARVP HALL
2018/01/23【宮崎】宮崎SR BOX
2018/01/25【大分】大分DRUM Be-0
2018/01/27【福岡】福岡DRUM LOGOS
2018/01/28【長崎】長崎DRUM Be-7
2018/02/01【岡山】岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2018/02/03【山口】周南RISING HALL
2018/02/04【島根】松江canova
2018/02/07【広島】広島クラブクアトロ
2018/02/09【愛媛】松山SALONKITTY
2018/02/11【高知】高知キャラバンサライ
2018/02/12【徳島】徳島club GRINDHOUSE
2018/02/14【香川】高松DIME
2018/03/10【沖縄】桜坂セントラル
2018/03/11【沖縄】桜坂セントラル
MERRY ROCK PARADE 2017
2017/12/24【愛知】ポートメッセなごや1号館~3号館
MONGOL800 ga COUNTDOWN “Happy 20th ANNIVERSARY”
2017/12/31【沖縄】沖縄コンベンションセンター展示棟
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。