夜の本気ダンス、全国ツアー「Kotteri ! intelli ! One Man Show !」東京公演
夜の本気ダンス | 2018.01.17
満員のフロアの頭上で、新木場スタジオコーストの象徴的存在とも言うべき巨大ミラーボールが回転。鳴り響いたSEに合わせて観客が激しく手拍子を打ち鳴らし、米田貴紀(Vo・G)、西田一紀(G)、マイケル(B)、鈴鹿秋斗(Dr)がステージに登場した。そして、演奏が始まるや否や、会場内の気温が急上昇。「踊れる準備はできてますか?」という、米田のお決まりの言葉を投げかけるまでもなく、完全にダンスモードの観客が、興奮を露わにしながら飛び跳ねる様が壮観なオープニングであった。
新木場スタジオコースト公演は、全国ワンマンツアーの初日。この先、ツアーはまだまだ続くので、演奏した曲を紹介するのは最小限にとどめておく。曲順がわかってしまいそうな表現も避けることにするが、「全編がクライマックスだった!」と言っていいくらいの内容だったので、今後、ライブに行く人は期待していてほしい。最新アルバム『INTELLIGENCE』でも異彩を放っていた「Call out」「Can’t you see!!!」「TAKE MY HAND」などは当然演奏されたし、生で体感すると一際かっこよかった。また、「LOVE CONNECTION」「By My Side」「Feel so good」「WHERE?」などに代表されるような艶めかしいダンスロックチューンも、一層切れ味抜群になっていたので、彼らのライブを今までに何度も観たことがある人も新鮮な発見をたくさんできるはずだ。
「新年早々ライブハウスに来るみなさんは、相当ロック好きな方々だと思うんですけど。どうですか? みなさん、ロック好きですか? どんどんいっちゃっていいですか?」、序盤で米田に呼びかけられたのに応えて、全力で踊り続けていた観客。そんな人々を大喜びさせたのは、「夜の本気ダンスタイム」と名付けられていた中盤のブロックであった。巨大ミラーボールが回転しながら厳かに降下し、一際まぶしい光の粒子を放つ中、強力なダンスチューンがノンストップで炸裂! 弾いていたギターを外して身軽になった米田がシャツのストライプ模様を揺らめかせながら華麗なステップを踏み、外したネクタイを放り投げて踊り始めると、観客のダンスも過熱。ステージとフロアが完全に地続きとなった空間が生まれていた。
夜ダンのライブと言えば、MCも毎回、観客を盛り上げている。「MCモンスター」と呼ばれている鈴鹿、随所で絶妙なツッコミを入れるマイケルが、この日の公演でも存在感を放っていたが、そんな中、「影のMCモンスター」とも言うべき魅力を発揮していたのが、昨年末の対バンツアーから積極的に喋るようになっている西田。「はい、どーも」と、超低音ヴォイスで話し始めた瞬間、観客はどよめいていた。「新年を迎えまして、こうして来てくれて感無量です。ライブにおけるMCっていうのは、次の曲に行くまでに盛り上げないと駄目なんです。どうか僕の顔を立てると思って、盛り上がってもらっていいですか?」と彼が言うと、湧き起こった猛烈に明るい歓声。そして、「平成の秀吉がフロアを温めておきましたので(豊臣秀吉が“木下藤吉郎”だった頃、織田信長の草履を懐に入れて温めていた――という逸話に由来する発言。西田は歴史好きで、普段からいろいろ調べている)」と、バトンタッチされた元祖・MCモンスターの鈴鹿が、「びっくりした! 帰ろうかと思った!」と動揺していたのが、とても面白かった。
「今年、何年やねん? 犬やろ。ビクター(夜ダンの所属レコード会社)のニッパーくんっていう犬のキャラクターがおんねんけど、ビクターの年になるってことや!」という鈴鹿の言葉が高らかに響き渡った後半戦も、すさまじい盛り上がりの連続となった。メンバー全員が一丸となった演奏が会場を熱く揺さぶって本編は終了。アンコールでは、嬉しい告知が待っていた。なんと、この日の公演が3月28日にライブDVDとしてリリースされることが決定したのだという。そして、こうしてワンマンができていることへの感慨を語ったマイケルと米田の言葉が、とても印象的だったので紹介しておこう。「コーストでライブができるって、ほんとにすごいことなんですよ。ここに立ってる人が言うのもなんですけど」(マイケル)。「新年早々、これだけの人に観てもらえて、最高に幸せです。たまに自分を離れて俯瞰で見ていることがあって。夢のような気持ちになることがあるんです。僕はいつも自分のルーツ、憧れを降ろしてやってる感じなんですけど、そろそろ“自分”でいいかなと。そんな感じが、今年はしそうですね。ありのままの僕らでも愛してくれますか? 長いお付き合いでいきましょう!」(米田)。
全国ツアー『Kotteri ! intelli ! One Man Show !』は、2月16日の大阪・なんば Hatch公演まで続く。各地の会場が素晴らしいダンスフロアと化すことは必至だろう。現在の国内シーンにダンサブルなサウンドを奏でるロックバンドはたくさんいるが、00年代のロックンロールリバイバル、70年代後半~80年代のニューウェイヴなど、洋楽への敬愛を色濃く反映し、人力演奏による妖艶でグルーヴィーなサウンドを奏でる夜ダンは、やはりひと味違う。2018年も精力的な活動を繰り広げ、ますます異彩を放つことになるだろう。
【取材・文:田中 大】
リリース情報
INTELLIGENCE
2017年10月11日
ビクターエンタテインメント
2.Eve
3.Bye Bye My Sadness
4.TAKE MY HAND
5.Can‘t You See!!!
6.Without You
7.Heart Beat
8.SEA
9.SHINY
10.BIAS
11.Weekender
12.LIBERTY
お知らせ
Kotteri ! intelli ! One Man Show !
1/24(水) 札幌 PENNY LANE24
1/26(金) 仙台 Rensa
1/27(土) 新潟 studio NEXS
2/10(土) 名古屋 ReNY limited
2/16(金) なんば Hatch
フルカワユタカ presents 「5×20」
01/28(日) 新木場 STUDIO COAST
ヤバイTシャツ屋さん "Galaxy of the Tank-top" TOUR 2018
01/30(火) 金沢EIGHT HALL
Creepy Nuts (R-指定&DJ松永)ツアー
03/02(金) 名古屋ReNY limited
VIVA LA ROCK 2018
05/03(木・祝)~05/05(土・祝)
さいたまスーパーアリーナ
rockin ’on presents JAPAN JAM 2018
05/04(金・祝)?05/06(日)
千葉市蘇我スポーツ公園
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。