ワンマンツアーに向けさらに加速する、パノラマパナマタウン対バンツアーファイナル!
パノラマパナマタウン | 2018.05.18
2年半前にバンドの運命をわけた「MASH FIGHT!vol5」の最終オーディション会場=渋谷WWWで、パノラマパナマタウンがライブを開催した。今年1月にリリースしたメジャーデビュー作『PANORAMADDICTION』を引っ提げて、2月から全国12ヵ所をまわったバンド史上最大規模の対バンツアー『HEAT ADDICTION TOUR』のファイナル公演だ。地元神戸を皮切りに、PELICAN FANCLUBやLILI LIMIT、ドラマチックアラスカ、Creepy Nutsらを迎えて、各地で異色の対バンを繰り広げてきた彼らだが(彼らの場合、どんなバンドと対バンをしても“異色の”と言われるかもしれないが)、ファイナルでは念願の夜の本気ダンスとの初対バンが実現。特別な場所でツアーファイナルを迎え、しかも、そこに憧れの先輩バンドと共に立つといういくつもの意味合いが重なり、この日のパノラマパナマタウンは、いつも以上にエモーショナルで熱いパフォーマンスを繰り広げた。
まず、最初に登場した夜の本気ダンスは、「踊れる準備はできてますか?」を合言葉に、グルーヴィーな演奏で集まったお客さんを容赦なく踊らせていった。夜ダンとパノラマパナマタウンというと、音楽的なアウトプットのかたちは全く違うが、隠さずともロックンロールへの愛情が満ち溢れていて、どこかダークな夜ダンのサウンドアプローチは、パノラマパナマタウンとの共通項が多い。さらに余談になるが、ボーカル米田貴紀(Vo・Gt)のメロディアスでありながらリズム楽器のようなボーカルスタイル、個性的なフレーズと独特の存在感を放つギター西田一紀、クールで職人気質のベーシスト・マイケルに、バンドのムードメイカーでもあるドラム鈴鹿秋斗というそれぞれのパートの個性が、パノラマパナマタウンの岩渕想太(Vo・Gt)、浪越康平(Gt)、田野明彦(Ba)、田村夢希(Dr)が持つ特徴とも、どこか重なる部分があるように見えたのも面白かった。MCでは鈴鹿が「(パノラマパナマタウンは)数少ない、慕ってくれる後輩です(笑)」と言い、米田も「実は好きなところが似ている」とコメント。関西の先輩・後輩という間柄を超えて、ミュージシャンとして深い部分で通じ合う好対バンだった。
夜ダンがしっかりと会場を温めたあと、ステージに巨大な“PPT”フラッグが掲げられると、ビースティ・ボーイズの名曲「Sure Shot」にのせて、パノラマパナマタウンのメンバーが登場した。まずは挨拶代わりの「PPT introduce」で“PPTコール”を巻き起こしてライブはスタート。「見たことない熱狂を見に来たぜ!」。岩渕が腹の底からしぼり出すような言葉を合図に、小刻みにループするギターのフレーズに早口のラップをのせた「世界最後になる歌は」へ。田野と田村によるリズム隊のグルーヴが狂騒のダンス空間を作り上げた「リバテイーリバティー」から、それまでハンドマイクで歌っていた岩渕もギターを弾き、4人の衝動がぶつかり合った「マジカルケミカル」、さらに退廃的なムードが漂う攻撃的なロックナンバー「シェルター」へと畳みかける。新旧織り交ぜたセットリストはどの曲もライブハウスという場所で鳴らされるのを待っていたかのように生き生きとしていたが、特に昔から彼らがライブで披露していた「世界最後になる歌は」や「シェルター」といった楽曲で、しっかりと集まったお客さんを巻き込んでゆく光景は素晴らしかった。自分たちの曲の良さを持て余し気味だった頃のパノラマパナマタウンはもういない。その楽曲が本来的に持つパワーを、ライブという場所で全開放できるバンドへと、今のパノラマパナマタウンは大きく成長を遂げていた。
最初のMCでは、岩渕が、まだ大学生だった当時、この会場で「MASH FIGHT!」のグランプリを獲得した頃のことを振り返った。自分たちがどんな音楽をしたいかも漠然としかわからなかったこと、ただ、バンドだけはやりたいと思っていたこと、今は未来に新しい夢を抱けるようになったこと。そして、「2年前とは全然違う俺たちが、あの頃は絶対に作れなかった曲を」と紹介すると、心のなかで静かに燃え上がる激情を叩きつけるようなロックバラード「ラプチャー」を届けた。《生きたまま 死ぬんじゃねえぞ》というフレーズとともに、暗闇のなかで小さな光を探し求めるようなその楽曲の強い意志に賛同するように、会場からはじわじわとラララのシンガロングが沸き起こる。ライブ序盤の踊れるムードから一転して、会場は歌をじっと聴き入るようなムードに変わっていた。その流れを汲んだ、望郷のミディアムテンポ「街のあかり」を含めて、このタームは中盤のハイライトだった。
“相当やばいぜー”と、それぞれのメンバーのかっこよさを自画自賛しながら紹介する「PPT」から、パノパナの真骨頂「ロールプレイング」で、いよいよライブは終盤に向け、熱狂の度合いが加速していく。最後のMCでは、「俺は、“自分がやりたいことをしろ”っていうメッセージを歌うことが多いけど、俺も安定するほうに進んじゃうことがある。メジャーデビューしてからは、なんとなくみんなが思う良い曲を作らなきゃいけないのかなと思ったりもして。だから、このツアーでは見たことのない景色をみんなで作りたくて、熱狂ツアーっていうタイトルをつけました」と岩渕が語る。そして、ラスト2曲。「MOMO」の途中には、2年半前にこの渋谷のWWWの楽屋で事務所の書類にサインをしたときに、「この4人で一生やる」という約束を交わしたことを明かすと、最後に「俺らにしか歌えない歌を! 俺らの人生の歌を!」と叫んで、「フカンショウ」を届けた。フロアの熱狂が最高潮へと達するなかで、浪越は上着を脱いで上裸でギターを弾き、岩渕はマイクを通さずに全力で「ありがとう!」と叫ぶ。それは今のパノラマパナマタウンの全てをぶつける渾身のライブだった。
アンコールでは、今回のツアーでは梅田シャングリラにも参戦したという神戸からのお客さんに、岩渕が「(梅田公演を)超えた?」と聞くと、「ガン超えです!」という最高の答えが返ってきた。そして、最後に夜の本気ダンスの「Crazy Dancer」をパノパナ流にアレンジし、歌詞に夜ダンの曲名を散りばめるという愛のあるカバーを披露すると、ライブを締めくくったのは地元・神戸をテーマにした「SHINKAICHI」だった。長いアウトロで、ドラム田村の前に、岩渕、浪越、田野が集まり、全身を大きく使った演奏でライブはフィニッシュ。夜ダンを交えた写真撮影では、「もっとデカい会場でやりましょう」(岩渕)、「今度はこっちが呼ぶから」(米田)と、両バンドが熱い約束を交わしてライブは幕を閉じた。
熱狂の対バンツアーを大成功されたパノラマパナマタウンは、6月に「CORE HEAT ADDICTION TOUR」と題したワンマンツアーを、代官山UNITと神戸VARIT.で開催する。今回のツアーで多くの対バン相手から受けた刺激と、全国のお客さんから受け取ったパワーを胸に、その場所では現時点のパノラマパナマタウンの集大成となるライブを見せてくれるはずだ。
【取材・文:秦 理絵】
【撮影:浜野 カズシ】
リリース情報
PANORAMADDICTION
2017年01月17日
A-Sketch
2.フカンショウ
3.マジカルケミカル
4.ラプチャー
5.街のあかり
6.ロールプレイング
お知らせ
パノラマパナマタウン ワンマンツアー
『CORE HEAT ADDICTION TOUR』
2018年6月9日(土)代官山UNIT
イープラス
チケットぴあ
ローソンチケット
▼Information
DISK GARAGE 050-5533-0888
2018年6月17日(日)神戸 VARIT.
イープラス
チケットぴあ
ローソンチケット
▼Information
GREENS 06-6882-1224
RUSH BALL☆R
05/19(土)[大阪]大阪城音楽堂
Don’t Stop Music Fes.TOCHIGI 2018
05/20(日)[栃木]栃木市文化会館(大ホール)
hoshioto’18
05/26(土)[岡山]青野葡萄浪漫館特設ステージ
Bentham 春ツアー2018
『Bulbous Bow Tour』
05/28(月)[新潟]新潟 CLUB RIVERST
05/29(火)[石川]金沢 vanvan V4
SAKAE SP-RING 2018
06/02(土)[愛知]名古屋・栄一帯のライブハウス&クラブ
SUSHIBOYS "WASABI"
Release Tour 2018
06/23(土)[愛知]名古屋 CLUB ROCK’N’ROLL
見放題2018
07/07(土)[大阪]心斎橋アメリカ村周辺の19会場
Love the life you live
07/12(木)[愛知]名古屋 ell.FITS ALL
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。