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ロックへの愛が凝縮された2時間半! GLIM SPANKY、初の日本武道館公演

GLIM SPANKY | 2018.05.22

 GLIM SPANKYがいつもオープニングSEに使っているSteeleye Spanの「Gower Wassail」が日本武道館に流れた2018年5月12日。ついにこの日が来たのだと鳥肌がたった。待ちかねたオーディエンスの湧き立つような拍手と声援に迎えられてステージに現れた松尾レミ(Bo,G)と亀本寛貴(G,Cho)は、晴れがましい高揚感と緊張感に顔を輝かせていた。この日、二人は愛するロックの歴史への敬意と、そこに自分たちも1歩を加える自負を惜しみなくこのステージに刻み込んでみせた。

 初武道館の幕開けは「アイスタンドアローン」。彼らは「どこにいようが自分の足で立て」と高らかに歌ってみせた。明るいライトがステージからこぼれて、その歌に手を挙げるオーディエンスも照らし出す。「こんにちはGLIM SPANKYです!」と短く松尾が挨拶をして、ゆったりと歌いだす「焦燥」へ。アッパーなサビに続くギターソロを前に出てキメた亀本が、間髪入れず手拍子を促した「褒めろよ」はオーディエンスも共に歌って、早くも熱気が立ち始めた。

 シングル曲でウォーミング・アップ完了と言わんばかりに、ここからGLIM SPANKYの“グリム”ワールドに突入した。マジカルな「MIDNIGHT CIRCUS」の歌詞そのままに背景には月や星、サーカスの行列が浮かび上がり、松尾のアカペラで始まった「闇に目を凝らせば」では岩山が聳え立った。イントロの亀本のギターが印象的な「BIZARRE CARNIVAL」はポップな曲そのままにカラフルな映像が踊り、「The Trip」はクールな松尾の歌とサイケデリックな亀本のギターが心の旅に誘い出す。そして見上げた月が目に浮かぶような「お月様の歌」を、亀本のアコースティック・ギターで松尾は丁寧に歌った。

 「GLIM SPANKYの武道館へようこそ! こんなにロックが好きな友達が集まったから、今日はロックを楽しむ日にしましょう」と松尾が言えば、亀本は場内を見渡して「武道館に似合うロックな曲をやりますね」と格好いいギターリフを弾く。それは「ダミーロックとブルース」のイントロにつながり、グルーヴィなリフに誰もが体を揺らした。かどしゅんたろう(Dr)が頭を振ってカールした髪をなびかせながらヘヴィなビートを叩き出し、栗原大(Ba)はクールに合わせていく。中込陽大(Key)が絶妙なフレーズを入れると、松尾がグイッと力の入った歌を聞かせた。それは武道館に潜むロックの精霊へのオマージュのようだった。

 アコギに持ち替えた松尾がブルージーな歌を聞かせた「ミュージック・フリーク」では亀本がソロをとる中込の名を呼び、星空のようなライトが背景に広がった「いざメキシコへ」はパワフルな演奏に、オーディエンスの腕が高く差し出された。高く上がった腕が大きく揺れたのは「怒りをくれよ」。テンポの上がったビートにオーディエンスの手拍子が重なり、また一段と熱気が高まる。歌い終えた松尾が言った。

「ここはロックの聖地。ビートルズやボブ・ディラン、レッド・ツェッペリンとか、数々のスターたちがやってきたわけですよ。それと同じ反響音を聴いてると思うと、ロック・キッズとしてはすごく感慨深いですね」

 心底ロックを愛する彼女ならではの言葉に送られた大きな拍手は、「吹き抜く風のように」が始まるとそのままハンドクラップとなった。自分の価値観や感性を信じて生きようと歌うこの曲は、ロックから松尾が吸収したものがストレートに現れたヒリヒリするような思いが胸を打つ。そして大人になっていく少女たちを描く「美しい棘」から、誰もが自分自身の映画の主人公だと歌う「The Flowers」も収録された最新シングルのリード曲「All Of Us」。どちらもスケール感のある曲調が武道館の高い天井まで広がり、今のGLIM SPANKYの息吹を伝えた。松尾は、MCでこんな風に語った。

「ロックっていっぱいあって、例えばロック=激しいとか反抗するものと言われがちだけど、優しいものや静かなものもロックだし、ワールドミュージックとかいろいろ混ざってるやつもロック。そういうロックの引き出しをGLIM SPANKYは作っていけたらいいと思ってます」

 そういう引き出しから飛び出すGLIM SPANKY流の新しいスタンダードとも言える「愚か者たち」の力強いビートと耳に残るメロディが場内を一つにすると、そのまま「NEXT ONE」が熱いシンガロングに彩られた。ダンサブルな「END ROLL」が場内を揺らし、シンセが鼓動のように響いた「in the air」はサイケデリックな映像と共にうねりを大きく広げていく。そして彼らの旅の始まりを振り返るように1stアルバムの「サンライズ・ジャーニー」を演奏した。歌い終えて松尾はデビュー間もない頃のライヴでこの曲を歌ったら目の前のお客さんが号泣して、心に歌が届いた思いがして嬉しかったというエピソードを話した。松尾自身もたくさんの曲に心を震わせて来たのだろう。そして美大に進んだ自分に批判的なことを言う人たちを敵にするのでなく心を開いてくれるような歌をと作った曲、と「大人になったら」。ゆったりとした弾き語りで始まりジワジワと歌詞が染み込んでくるにつれバンド・サウンドが厚みを増していく。亀本が一段と気合の入ったギターソロを聴かせたエンディングに大きな拍手が送られた。

 松尾がカラフルなロングドレスからシックな色合いのブラウスとフリル付きタイトスカートに着替えたアンコールは、「高校3年のときに長野で最後に書いた曲」と「さよなら僕の町」を二人の弾き語りで聴かせ、バンドのメンバーを呼び込んでの「リアル鬼ごっこ」は「みんな歌って!」と呼びかけ、残り少ないこのステージを惜しんだ。最後を飾ったのはメンバーのソロを織り込んで聴かせた「Gypsy」。彼らが最初にリリースしたインディーズ盤に収録した曲だ。この曲の前に松尾は「最高の仲間がいてGLIM SPANKYは幸せです」と言ったが、その思いを込めたかのように「わかってないのは君たちだけ」というリフレインを最後に「わかっているのは君たちだけ」と変えて歌ってみせた。

 亀本がこの日のセットリストは大いに悩み、初期から最近のものまで万遍なく選んだと言っていたが、その1曲1曲に彼らのロックへの思いが込められているのは言うまでもない。ライヴでこんなに演奏したことはないという25曲で彼らの原点から現在までを惜しみなく見せた2時間半。ここからまた彼らの新しい旅が始まる。

【取材・文:今井智子】
【撮影:HAJIME KAMIIISAKA】

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リリース情報

All Of Us

All Of Us

2018年05月09日

ユニバーサルミュージック

1.All Of Us
2.To The Music
3.The Flowers

セットリスト

GLIM SPANKY LIVE AT 日本武道館
2018.05.12@日本武道館

  1. 01.アイスタンドアローン
  2. 02.焦燥
  3. 03.褒めろよ
  4. 04.MIDNIGHT CIRCUS
  5. 05.闇に目を凝らせば
  6. 06.BIZARRE CARNIVAL
  7. 07.The Trip
  8. 08.お月様の歌
  9. 09.ダミーロックとブルース
  10. 10.ミュージック・フリーク
  11. 11.いざメキシコへ
  12. 12.怒りをくれよ
  13. 13.吹き抜く風のように
  14. 14.美しい棘
  15. 15.The Flowers
  16. 16.All Of Us
  17. 17.愚か者たち
  18. 18.NEXT ONE
  19. 19.END ROLL
  20. 20.In the air
  21. 21.サンライズジャーニー
  22. 22.大人になったら
  23. 【ENCORE】
  24. EN 01.さよなら僕の町(2人アコースティック)
  25. EN 02.リアル鬼ごっこ
  26. EN 03.Gypsy

お知らせ

■ライブ情報

GREENROOM FESTIVAL ’18
05/26(土)[神奈川]横浜赤レンガ地区野外特設会場

頂 -ITADAKI- 2018
06/02(土)[静岡]吉田公園特設ステージ

百万石音楽祭 2018〜ミリオンロックフェスティバル〜
06/03(日)[石川]石川県産業展示館 1〜4号館

フジファブリック2マンツアー “フジフレンドパーク 2018″
06/22(金)[東京]恵比寿LIQUIDROOM

LUNATIC FEST. 2018
06/23(土)[千葉]幕張メッセ

HAPPY PRESENTS “LOVE(日)SHINE DAY”
06/26(火)[東京]代官山UNIT

DEAD POP FESTiVAL 2018
06/30(土)[神奈川]東扇島東公園特設会場

JOIN ALIVE 2018
07/15(日)[北海道]いわみざわ公園

WILD BUNCH FEST. 2018
07/29(日)[山口]山口きらら博記念公園

オハラ☆ブレイク ’18夏
08/04(土)[福島]猪苗代湖畔 天神浜

ホットフィールド2018
08/04(土)〜08/05(日)
[富山]富山県黒部市宮野運動公園

MONSTER baSH 2018
08/18(土)[香川]国営讃岐まんのう公園

???
09/21(金)[大阪]味園ユニバース
09/24(月)[東京]東京キネマ倶楽部

SiM “GODRiの姫路凱旋 TOUR 2018″
10/11(木)[大阪]大阪BIGCAT
10/12(金)[京都]京都KBSホール

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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