Reolの進化は止まらない。新しい門出を祝うワンマンライブ
Reol | 2018.06.27
世界水準のセンスで日本独自のポップカルチャーを体現してみせた3人組ユニットREOLが解散して8ヶ月。
ヴォーカリストであり、詞曲の大半を手がけていたReol(※頭文字大文字、その他小文字表記へ)はREOLの解散に傷つきながらも休むことなく動き続けていた。結果、新レーベルとの契約に伴い、今年の3月にソロ・アーティスト名義Reolとなり、シンガー・ソングライターとして再起動を試みたのだ。
このReolという女性アーティスト、只者ではないことをまず知っていただきたい。すでにネット界隈では、動画共有サイト総再生回数が2億5千万再生を超え、彼女の次なるアクションに注目が集まっている逸材だ。当日、ライブでも披露された、オリジナル曲として最初期の作品となる「No Title」はYouTubeで2千万再生を超えている。こんなにも数値的根拠が熱く、実績を持つニューカマー・アーティストは日本ではなかなか存在しない。
そんな彼女が、より開かれたセカイを目指すべくレーベル・パートナーに選んだのはRHYMESTER、ぼくのりりっくのぼうよみ、SANABAGUN.、Awesome City Club などが所属するビクター内の音楽レーベルCONNECTONEだ。移籍に伴い、つい先日NHK Eテレでのアニメ・タイアップとして、7月7日より人気作品『メジャーセカンド』のエンディング・テーマへ起用されることが発表されたばかり。
さらに、専門学校HAL(東京・大阪・名古屋)2018年度TVCMソングとしてオンエアされている「サイサキ」など、強烈なインパクトを残すアップデートを感じるポップチューンを次々と生み出している。
そんなReolが、新しい門出となるワンマンライブ『刮目相待 -六の宴-』を、この春CONNECTONEからリリースしたミニアルバム『虚構集』を引っさげ、EX THEATER ROPPONGIでおこなった。
超満員、ほぼオンタイムでスタートしたステージには巨大なクロスが。1曲目「カルト」は“さあ信仰しろ”とアカペラでスタート。Reolは、クロスに寄り添いつつ影から登場した。まるで魔術的な儀式がはじまるかのようなおどろおどろしいサウンドが、シアトリカルな世界観を緊張感というミストで散りばめていく。サビで解放される、エスニックなフレーズの高揚感。無宗教な彼女だが祖母の影響で、はじめて覚えた歌は般若心経だったという。信仰とは依存と背中合わせの存在であり、先行きの見えづらい今の時代に避けられない社会的テーマだ。本作は、REOLメンバーだった盟友ギガがトラックメイクで参加しており、エレクトロにカオスな爆裂フレーズが突然差し込まれるなど衝撃度の高い展開が繰り広げられていく。
続いて、れをる名義で発表した「極彩色」では紗幕にリリックとCGが浮かぶ。
幕が開き「ミッシング」では、90’sリバイバルを感じる攻めのロック・サウンドにのせて“このまま記憶をなくしたい 空になったって構わない あたしはあたしがわからない たとえ死んだとして治らないね”と、ギター片手にシャウト。メロディアスなポップワールドが展開される「ハルシアン」、歌謡ポップセンスを垣間見せる「生命線」が続き、この日最初のMCへ。
ニコニコ動画で人気だった“歌い手”時代を回想しつつ、“オリジナルの存在になりたくて世に放った曲”として前出した、詞曲を手がけたオリジナル曲「No Title」をプレイ。そう、今日のコンサートはReolヒストリーを総括するベスト的な選曲で繰り広げられていく。
3人組ユニットであったREOLが志半ばで解散したことについては“1年半で終わってしまって、みんなからしてもやり切った感がなかったと思うし、私もすごく続けたかった”と気持ちを素直に吐露。続いて、ギガがこの日のために新アレンジを手がけた「mede:mede remix」を経て、後半戦がスタート。
“これは私と君との新しい始まりの歌”というまっすぐなメッセージとともに披露されたのが「平面鏡」。“手を高く!”と煽る様が神々しくも一体感を盛り上げていく。
さらに懐かしのナンバー「ROXY」では、ジャジーな世界観で中盤トランペットを片手にソロプレイを披露。オーディエンスの熱狂を煽る。人気チューン「宵宵古今」では、和のエレクトロ・ビートに乗せて会場中で掛け声が上がっていく。圧倒的な一体感だ。
泣きメロが美しくも切ないギターロック「MONSTER」、ハンドマイクで心を込めて歌う「エンドレスライン」と続き。本編ラストは、白いギターを抱えて「エンド」。
終わりからはじまるReolの物語。歌詞に出てくる“君”は、ある種自分に向けた言葉のように感じた。一対一の究極の関係性を問うメッセージ・ソング。松明で炎が揺れるステージでの熱唱。“終わりのない終わりを 果てのない果てを見たい 美しい地獄から 君にもう一度だけ”という言葉が心に突き刺さる。ラスト、電話ボックスの電話が途切れて落ちるシーンで終了という“ハっと”現実に戻らされたワンシーンが印象的だった……。
アンコールでは、Reolがファンに心を込めてアコギ片手に登場。名曲「ニュータイプトーキョー」を、アコースティック・ヴァージョンでお届け。いや、ほんとめっちゃいい曲です。
そして、「サイサキ」を初披露し、ラスト21曲目は、イントロダクションでのReolによる“あ~~~~~~”と長いシャウトが光る「あ可よろし」。レコーディングではギターはCOALTAR OF THE DEEPERSのNARASAKIが参加したシューゲイザー風ギターロック。心から解放される真っ直ぐなポップロック・チューンだ。そして、秋にアルバムをリリースすることを約束し、ファンとともに写真撮影。
ファンへ、ソロ・アーティストReolの船出を報告し祝う、めでたい宴となった今夜。コンサート・タイトルの『刮目相待』とは、“人の著しい進歩や成長を待ち望むこと。または、今までとは違う見方をして、相手のことを見直すこと。”との意味だという。Reolの進化は止まらない、誰にも止められない。引き続き、新しい才能の進化のその先に注目していきたい。
【取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】
【撮影:六波羅龍】
リリース情報
セットリスト
Reol『刮目相待 -六の宴-』
2018.06.01@EX THEATER ROPPONGI
- 01. カルト
- 02. 極彩色
- 03. ミッシング
- 04. ハルシアン
- 05. 生命線
- 06. No title
- 07. ミッドナイトストロウラ
- 08. VIORA
- 09. 染
- 10. mede:mede remix
- 11. Echo
- 12. 404 not found
- 13. 平面鏡
- 14. ROXY
- 15. 宵々古今
- 16. MONSTER
- 17. エンドレスライン
- 18. エンド 【ENCORE】
- 19. ニュータイプトーキョー
- 20. サイサキ
- 21. あ可よろし