WOMCADOLEが爆発させたエネルギーが恵比寿リキッドルームに満ちたツアーファイナル!
WOMCADOLE | 2018.07.18
樋口侑希(Vo&Gt)「俺も、あんたらに負けないくらい超楽しみにしてきたんで、おそらく……いや、おそらくじゃない。あんたら、俺達の最高新記録を見る羽目になりますが、最後までついてこれますかね!? 信じてっからな!? 爆声と爆音を頼むからな!? あとは俺たちに任せろ!!」
初のフルアルバム『今宵零時、その方角へ』を手に、彼らの地元である滋賀から全16本のリリースツアー『己の心に吠えろよツアー』を行なったWOMCADOLE。そのツアーファイナルとなった7月3日、恵比寿リキッドルームでのワンマンライブは、強烈なまでの熱が渦巻いた一夜だった。
時計の秒針がカチカチと動くSEが流れ始めると同時に、ゆっくりと場内が暗転。樋口侑希、古澤徳之(Gt&Cho)、黒野滉大(Ba)、安田吉希(Dr)の4人がステージに姿を現すと、開演を待ちわびていたオーディエンス達から大きな拍手と歓声が送られる。樋口が大きく息を吸い、歌い出したのはアルバムの冒頭を飾る「月」。ギターを奏でながら声を力強く響かせた後、4人は強烈なアンサンブルを轟かせ、一気に激走し始めた。「やろうぜリキッドルーム! お前らかかってこい!」と樋口が煽れば、黒野は激しく動き回りながら低く構えたベースを唸らせたり、古澤はギターを轟かせつつ、ブレイクにあわせて飛び跳ねたり、安田もスローンから立ち上がってドラムを打ち鳴らしたりと、4人全員が超攻撃的に音をぶつけていく。そして、ぐちゃぐちゃになっているフロアに向かって、「やる気あんのか!? こんなもんじゃねえだろ! もっと来いっつってんだよ!」と、樋口はそれでもなお激しく檄を飛ばしまくり、たった1曲で凄まじい熱狂が場内に立ち込めた。
リリースツアーということもあり、アルバム『今宵零時、その方角へ』の曲達がこの日はメイン。「独白」では静と動を巧みに切り替えたアレンジで魅了し、妖しい匂いが立ち込めるリフでまくし立てる「絶望を撃て」や、壮絶なフィードバックノイズからなだれ込んだ「頂戴」では、艶のあるサウンドでフロアを挑発。他にも、「野郎どもだけで飲むビールよりも、正直異性と飲むビールのほうが美味かったりします」という樋口の話から始まったロックバラードの「今夜君と」や、感傷的でセンシティブな雰囲気もある「雨上がり」など、様々な表情を持った新曲群でフロアを魅了していた。そんな中、ライブ中盤では、リキッドワンマン2日前に黒野が加入して2年がたったということもあり、「今日ぐらいは懐かしい曲を」と、現在は入手困難になっているデモシングルから「イルトエマ」や「オレンジと君とサヨナラと」を披露。オーディエンスを喜ばせていた。
曲をひたすらぶっ放し続けていく4人だったが、そのどれもがとにかく爆音に次ぐ爆音。ひらすら激しいステージだったのだが、どれだけ強烈な轟音が鳴り響く中でも樋口の歌声はこちらにまっすぐ届いてきて、オーディエンスの心をがっしり掴んで離さない。それは歌だけでなく、言葉も同じ。MCでは自分の思いをまっすぐにフロアにぶつけていく。決してソールドアウトがゴールというわけではないが、今日のワンマンがソールドアウトできなくて悔しかったこと。かつて音楽を止めてしまった自分がいて、それが死ぬほど悔しかったこと。だけど、そんな自分が作ったものは結局音楽であり、今日ここで自分達のロックンロールを鳴らすことができて、本当に嬉しいこと。
樋口「俺は今、最強のものを手にいれた感覚がすごいんです。あの日の俺みたいに、もしあんたが何かに困ってるなら、目の前の倒したいボスぐらい、俺らと一緒に倒しましょうよ。頼りにしろ、もっと俺たちを。不器用な人間が鳴らす、不器用な超かっこいいロックンロールを。足りねえんだ、俺。足りねえままやってんだよ! それでも俺は誰ひとり置いて行きたくねえんだよ! お前ら全員テッペンに連れていくんだよ! 行くぞてめえら! 誰ひとり手を離すんじゃねえぞ!」
樋口の絶叫からなだれ込んだのは「アオキハルヘ」。続く「アルク」「唄う」ではフロアから大合唱が巻き起こる。さらに「21g」へ繋げた後、樋口がひとりで歌い始めたのは「馬鹿なくせして」。怒りも、涙も、やり切れなさも、野心も、喜びも、希望も、あらゆる感情すべてをぐちゃぐちゃにかき混ぜて、まっすぐにぶつけてくるロックンロールに、とにかく胸を震わせられた。
アンコールでは、樋口がアコースティックギターを片手に、ステージに登場し、「MayDay」を弾き語りで披露。しかし、なかなか3人がステージに戻ってこず、樋口は予定になかった「オモチャの兵隊」を歌うことに。それでも出てこない3人。話題に困った樋口が、「昨日のワールドカップ観た?」とオーディエンスに話しかけると、舞台袖でメンバーが爆笑している声がフロアにまで響いてきた(なかなか出てこなかった理由としては「偉そうに歌ってるから、しばらく出ていかないでおこう」という話をしていたそうだ)。そこから4人でしばらくツアーの話をしていたのだが、「早くやらん?(笑)」という話が出ながらも、終わってしまうのが名残惜しいようで、打ち上げの話や、メンバーが酔っ払うとどうなるかといった会話を続ける。そんな光景からも、4人が楽しそうにバンドをしている様子が伝わってきた。そこから「まだまだ走れんだろうな!?」と、再びギアをあげて「ハシル」へ。そして、いよいよラストナンバー。ツアーに関わってくれたすべての人たちに「最大級の感謝を」と、樋口が話を続ける。
樋口「これからも、音楽っていうものはこっち側で鳴っているものにしたくねえ。俺とあんたの中で爆発させ続けようぜ。マジで終わりたくねえな。ラストしっかり歌って帰ります! ありがとうございました!」
そして「世界一のラブソングを!」と告げられ、彼らが最後に高鳴らしたのは「綺麗な空はある日突然に」。この日何度目かの大音量のシンガロングを巻き起こし、ツアーを締めくくったのだった。
この日のMCで、アルバムに『今宵零時、その方角へ』というタイトルをつけた理由について、樋口がオーディエンスに話す場面があった。「0時になったら、時計の針はテッペンを向く。たとえば何かに迷ったときに、その時計がコンパスになってくれるんじゃないか、あんたの正面を指してくれるんじゃないかなと思って、このタイトルにしました」。WOMCADOLEは、どうしようもなくやりきれない気持ちになったあなたの夜に寄り添い、そこから繋がる朝を、明日を、そして未来を照らす存在に、きっとなってくれるはずだ。そして、時計の針が0時を指すように、彼らはテッペンへ目掛けてここから一気に駆け上がっていく。
【取材・文:山口哲夫】
【撮影:ハライタチ】
リリース情報
今宵零時、その方角へ
2018年03月21日
UNCROWN RECORDS
2.リム
3.絶望を撃て
4.夜の向こうで
5.アオキハルへ
6.夜明け前に
7.MayDay
8.頂戴
9.今夜君と
10.雨上がり
11.独白
12.21g
13.馬鹿なくせして
セットリスト
「己の心に吠えろよツアー」
2018.7.3@恵比寿LIQUIDROOM
- 1.月
- 2.夜明け前に
- 3.リム
- 4.人間なんです
- 5.ドア
- 6. 絶望を撃て
- 7.ワンダー
- 8.独白
- 9.頂戴
- 10.69
- 11.イルトエマ
- 12.オレンジと君とサヨナラと
- 13.夜の向こうで
- 14.今夜君と
- 15.雨上がり
- 16.アオキハルヘ
- 17.アルク
- 18. 唄う
- 19. 21g
- 20. 馬鹿なくせして 【ENCORE】
- En-1. Mayday(弾き語り)
- En-2. オモチャの兵隊(弾き語り)
- En-3. ハシル
- En-4. 綺麗な空はある日突然に
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