KREVA “音楽の祭り” 『908 FESTIVAL 2018』 満員御礼!
KREVA | 2018.09.13
バンドのメンバーの近田潔人(G)、岡雄三(B)、白根佳尚(Dr)、柿崎洋一郎(Key)、熊井吾郎(DJ、MPC)の演奏がスタートすると、ステージ中央の床下からリフトアップされてKREVAが登場。サングラスを不敵に光らせながら「存在感」を歌い始めた。観客の歓声を浴びながらキレの良いラップを放つ姿が雄々しい。歌い終えて、再びリフトで床下へと彼が姿を消すと、「全速力 feat. 三浦大知」のイントロが鳴り響いて、観客はますます興奮。早速、あの2人のコラボレーションが繰り広げられるのか? 期待で胸を膨らませていると、彼らは思わぬ場所から登場した。アリーナ席の上手側から三浦大知、下手側からKREVAが現れるとは! 歌いながらアリーナ席内の通路をパレードした彼らは、やがてメインステージへ。続いて「蜃気楼 feat. 三浦大知」も披露されたが、2人が交わし合っている強いリスペクトの気持ちが、歌声からまざまざと伝わってくるオープニングであった。
たくさんのゲストが出演する『908 FESTIVAL』だが、各アーティストのライブにKREVAが度々合流して、コラボレーションを繰り広げるのが、毎回の大きな見どころとなっている。今年も素晴らしい場面の連続だった。「Glory Days」を披露した後、初めて武道館で歌える喜びを語った尾崎裕哉。彼のライブでは、KREVAからの提供曲「想像の向こう」で共演が実現。2人は、大学の先輩後輩同士なのだという。尾崎の隣に立ち、タンバリンを叩きながらコーラスをしたKREVAが、とても優しい笑顔を浮かべていたのが印象的だった。
JQ from Nulbarichは、「ain’t on the map yet」と「NEW ERA」を歌った後、「こんな素晴らしい機会をくれた神様をお呼びしていいですか?」と言って、KREVAをステージに招き入れた。この2人で届けられたのは、なんと!この日の為に制作された新曲「Stay The way feat. KREVA」。彼らが共作したこの曲は、温かい手拍子で会場全体が1つになる心地よさを噛み締めさせてくれた。
観客の大合唱を誘いつつ「くればいいのに」を歌ったKREVAは、途中で高畑充希をステージに招いた。この2人で届けられたのは、「くればいいのに feat. 高畑充希」。豪華な共演が突然実現して観客は大喜び。歌い終えた後、KREVAは、自身も大好きなのだというSTARDUST REVUEの曲「木蓮の涙」を高畑にリクエスト。瑞々しい歌声を響かせた彼女を観客の大きな拍手が包んだ。
「にじいろ」で大合唱を誘った後、「ハートアップ」で三浦大知と美しいハーモニーを響かせるという贅沢な展開で観客を沸かせた絢香。続いて届けられたのは、『908 FESTIVAL 2017』のために彼女が書き下ろしたKREVAとのコラボレーション曲「Glory」(昨年も披露。この日、配信リリースされた)。一緒に歌ったKREVAは、「ライブで聴いてめちゃくちゃ感動した曲がある」と言って「The beginning」をリクエスト。絢香の圧倒的な歌唱力が発揮されるこの美しいバラードは、耳を傾けていた人々の瞳を潤ませていた。
序盤から中盤にかけて、片時も目も耳も離せないライブの連続となったが、リラックスしたムードのコーナーも用意されていた。ステージの下手端でアコースティックギターを爪弾き、父である尾崎豊の「卒業」を歌った尾崎裕哉。そしてチャイムが鳴り響き、学校の教室のセットの中で繰り広げられたのは、「ライミング予備校」。生徒に扮した三浦、尾崎、絢香、教育実習生役の高畑の前で、KREVAはラップのライミング=押韻に関する授業を行った。牛乳瓶の底のような分厚いメガネをかけた優等生の三浦が高畑に一目ぼれしてしまった瞬間、「ラブストーリーは突然に」のイントロが鳴り響いて観客は大爆笑。三浦の最新アルバム『球体』の随所で発揮されていたライミングを褒めつつ進められた解説は、とてもわかりやすかった。ラップの面白さを改めて強く実感した観客がたくさんいたはずだ。そんなKREVA先生は、この日の授業でライミング予備校を去ることになったのだという。先生と生徒たちは、別れを惜しみながら「終わりたくないオーワラナイ」を大合唱。尾崎、絢香、高畑は花、三浦は小玉スイカ(理由は『球体』だから)をプレゼントして学園から去るKREVA先生を見送った。
もらった花と小玉スイカをステージ上に並べたKREVAは、とても斬新なパフォーマンスを繰り広げた。一口食べたバナナ、花、小玉スイカにクリップでコードを接続したので、「なんだろう?」と思っていたら、各々に触れるとシンセサイザーのサウンドが鳴り響いて、びっくり! バナナ、花、小玉スイカがMIDIコントローラーの一種に早変わりしたというわけだ。KREVAはその魔法のような楽器を駆使しながら「飛行船」(三浦のアルバム『球体』に収録されている)を歌った。毎年、このフェスで画期的なことをするKREVAだが、今年も意表を突く形でワクワクさせてくれた。
三浦大知のライブには、とにかく息を呑まされた。ダンサーたちと動きを完璧にシンクロさせながら歌い踊った姿は、堪らないほど美しくてスリリング。「Cry & Fight」「(RE)PLAY」「FEVER」を披露した後、彼は想いを語った。「「飛行船」をカバーしていただいてありがとうございます。KREVAさんにお会いする度に愛を感じます。今年もKREVAさんの曲をカバーしようと思います。今までは歌ものでしたけど、今年は今までで一番ラップをしてみたい。あえてそこに攻め込んでみたいです」。そして歌い始めた「あえてそこ(攻め込む)」は、途中で三浦と同じ衣装を着たKREVAも登場。2人でラップする姿は、とても刺激的であると同時に心温まるものも漂わせていた。この共演を経て、三浦は「EXCITE」と新曲「Be Myself」も披露。超一級のパフォーマンスを繰り広げた三浦に観客は惜しみない拍手を送った。
KREVAのライブは、観客の大合唱が響き渡った「アグレッシ部」からスタート。2人の声のコンビネーションが絶妙だった「ひとりじゃないのよ feat. 高畑充希」。バンドメンバーの1人1人を誇らしげに紹介した後、「好きになれるものが少ない俺だけど、最高のメンバーが集まって嬉しい。だから恥ずかしがらずに言ってみたい。俺の好きは狭いぜ」という言葉を添えて歌い始めた「俺の好きは狭い」……様々な曲が披露される毎に、観客はますます興奮を露わにした。そして、強力極まりないナンバーの数々を一気に連発する「908 fes Medley」を経て、本編を締めくくった「音色」では、このフェスに出演した全員が集合。尾崎、JQ、高畑、絢香、三浦、KREVAが並んで歌声を響かせ、最高の“音色”を生み出していた。
アンコールを飾ったのは「Na Na Na」。客席に向かって発射された銀テープを握り締め、掲げた腕を揺らしながら大合唱した観客の姿がまぶしかった。途中で尾崎、JQ、高畑、絢香、三浦、三浦のダンサーチームも加わり、一層爽やかに高鳴っていった歌声。エンディングを迎えた時、会場内の誰も彼もが清々しい笑顔を浮かべていた。出演者たちを見送った後、「次、会う時までみんな元気で。いや、健康で!」と観客に呼びかけたKREVA。最新作『存在感』の収録曲「健康」のサビを歌ってからステージから去った彼を、観客の力強い拍手と歓声が見送った。魅力的な出演者ばかりであると同時に、彼らが共に音を奏で合う喜びも目一杯にきらめかせるこのイベントは、毎回大きな感動を届けてくれる。今年も大成功であった。
【取材・文:田中 大】
【撮影:西槇太一&中河原理英】
リリース情報
存在感
2018年08月22日
ビクターエンタテインメント
2.存在感
3.俺の好きは狭い
4.健康
5.百人一瞬
お知らせ
KREVA CONCERT TOUR 2018
「(仮) LIVE & KAISETSU」
12/10(月) Zepp Namba
12/11(火) Zepp Nagoya
12/13(木) Zepp Sapporo
12/15(土) 仙台GIGS
12/20(木) Zepp Tokyo
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。