音楽で遊び、ラップを楽しむ。chelmicoの魅力が溢れたワンマンライブ「真夏のPOW」
chelmico | 2018.09.27
ライブ終演後の楽屋を訪ねると、RachelとMamikoは「楽しかった?」と声を揃え、充実した表情を見せてくれた。2人が楽しかったのであれば、ライブは大成功と言っていい。chelmicoの魅力にして、最大のメッセージは、何よりも音楽で遊び、ラップを楽しむ、その姿勢そのものにあるのだから。
9月7日(金)に渋谷WWW Xで開催されたchelmicoのワンマンライブ「真夏のPOW」は、ラップに深い愛情とこだわりを持ちながらも、好奇心旺盛で、くだらないユーモアが大好きな2人の資質が全開になった、楽しく豊かな一夜となっていた。
DJの%C(パーシー)を従えたライブは、Rachelの「いえーい!chelmicoで?す!!」という挨拶と共に、メジャー1stアルバム『POWER』のリード曲である「Player」で始まると、観客はジャンプを連発し、タオルを回し、早くも大盛り上がりとなった。Mamikoの「いいね! いい感じ!」という声に触発され、彼女たちと同世代のおしゃれな女の子たちで埋め尽くされたフロアのテンションはさらに上がっていった。Rachelの「おはようございまーす」という声に、Mamikoが「はじまるよ?」とゆるく返した「Good Morning」ではサビのユニゾンにクラップが巻き起こり、“パイナッPOW”が飛び出たトロピカルなサマーソング「Summer Holiday」ではボサノヴァのリズムに転換したところでラララの大合唱となり、カモメの鳴き声が切なさを引き連れてくる「サマータイム」には簡単な振り付けもあった。
ラップやクラブミュージックに馴染みの薄い人でも一緒に楽しめるキャッチーなアクトから一点、「Timeless」ではRachelが速いパッセージのラップを披露し、確かなスキルを見せつけ、重めのビートでサイケデリックなサウンドデザインの「BANANA」では、照明も当たらない空間で怪しげなパフォーマンスを展開。さらにタブラ奏者のU-zhaanとコラボした「デート」では5拍子を見事に乗りこなし、%C(パーシー)への感謝を歌った「E.P.S.」ではMamikoが「キッズダンサーが出てきそうなリズムじゃない?」と観客を煽り、多彩な表現力で観客を魅了していった。
DJプレイ中にTシャツだけ着替えた2人は中盤ではラップではなく、歌声をフロアに響かせた。美しいハーモニーを聞かせた「UFO」、Mamikoが90’SのR&Bディーバ的なアプローチを見せた「ずるいね」、音数の少ないトラックで2人の歌に焦点を当てた「午後」と、しっとりと曲を聴き入らせる空間に変換。Rachelが「聴き入っちゃった? こういう一面もあんのよ」と語る横で、Mamikoはすぐに座り込んでしまう癖が出てしまうシーンも(笑)。「ちょっと! ここから元気しかないよ」というRachelの言葉通り、後半はラップでグルーブを上げていく「Get It」から、熱狂のパーティータイムに突入。中近東からインドへと迷い込んだような「ラビリンス’97」ではオーディエンス全員で手を上げながらジャンプした後、スペシャルゲストとして、思い出野郎Aチームのホーン隊が登場。ハッピーなウエディングソング「OK, Cheers!」では、観客それぞれが思い思いに踊りながら、最後はみんなで見えないグラスを手に「OK, Cheers!」と乾杯。マイケル・ジャクソン「Beat It」を思わせるシンベがフィーチャーされたラストナンバー「Highlight」では<私は犬派!>の声が上がる中、手を左右に揺らしながら楽しむフロアに歌詞にある<笑顔のハイタッチ>も巻き起こっていた。
「おいっす」「あざーす」「おわりー」「バイバイー」と軽いトーンでステージをおりた2人だが、アンコールの声に応えて先に登壇した%Cとホーン隊によるRIP SLYME「FUNKASTIC」のイントロが流れ出すと、困惑しながら急いでステージに戻った。Mamikoが「実はRachelには内緒で……」と話すと、Rachelは「メジャーデビューしてよかった!」と絶叫。もしや、RIP SLYMEがスペシャルゲストとして登場するのでは? というフロアの期待感もよそに、キリッとした表情で歌い出したMamikoが「三文芝居でしたー。RIP SLYMEはきませーん」とドッキリを仕掛けたことを明かし、歌いきった2人は、「やっちゃったね、カラオケ」「いつもこんな感じでやってるんですよ」とコメント。ま、来ないだろうなとは思っていたが、でも、レーベルメイトだし、もしかして? というかすかな思いもあったが、最終的には、chelmico結成のきっかけとなった2人のカラオケの一旦を観れた事に満足。
ここでRachelが2019年の東名阪ツアーの開催を発表。ツアータイトルが『パティ黄門ツアー』であることを伝えると、「黄門」という言葉の響きにざわめきも起きたが、それ以上に、東京公演がキャリア最大規模となる恵比寿LIQUIDROOMであることに歓喜の声が上がった。Mamikoが「やばい! 急にでかっ! お腹痛い」と悶絶したが、Rachelは「進んでいくしかないね」と呟くと、2人は顔を見合わせ「ガシガシ進んでいかなきゃダメだな」と意気込んだ。
最後に「これからもずっとchelmicoだよ。みんな、いのちをだいじにね」というメッセージを伝え、<愛したい><恋したい><でも愛されたい>のコール&レスポンスから、アルバム『POWER』のラストナンバーでもある「Love is Over」で締めくくった。次はLIQUIDROOM。キャパが大きくなっても、2人が目を合わせながら、変わらずに好き勝手に楽しくやってくれれば、それは観客にもきっと伝わる。
【取材・文:永堀アツオ】
【撮影:横山マサト】
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リリース情報
セットリスト
真夏のPOW
2018.09.07@渋谷WWWX
- 01.Player
- 02.Countdown
- 03.Good Morning
- 04.Summer Holiday
- 05.サマータイム
- 06.Timeless
- 07.Honey Bunny
- 08.BANANA
- 09.デート
- 10.E.P.S.
- 11.UFO
- 12.ずるいね
- 13.午後
- 14.Get It
- 15.ラビリンス’97
- 16.OK, Cheers!
- 17.Highlight 【ENCORE】
- EN 01.FUNKASTIC(RIP SLYME cover)
- EN 02.Love is Over
お知らせ
unBORDE LUCKY 7TH TOUR
10/19(金)仙台PIT
10/21(日)Zepp Sapporo
11/08(木)Zepp Tokyo
パティ黄門ツアー2019
1/19日(土)[大阪] 大阪JANUS
1/22日(火)[愛知] 名古屋・UPSET
1/24日(木)[東京] 恵比寿・リキッドルーム
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。