寺嶋由芙、ソロ活動5周年を記念して渋谷ストリームホールで原点に立ち返る
寺嶋由芙 | 2018.11.01
“ゆっふぃー”こと寺嶋由芙のソロ活動5周年を記念したワンマンライブの会場は、9月にオープンしたばかりの渋谷ストリームホール。真新しい空間に集まったゆふぃすと(彼女のファンの呼称)たちは、開演を告げるSEが鳴り響いた瞬間、大きな歓声を上げた。そしてステージに登場した彼女が、最初に届けたのは「サクラノート」。ソロ活動の最初期から歌われていて、後に歌詞とタイトルを改めた「#ゆーふらいと」というデビューシングルへと進化したこの曲を聴きながら、ゆふぃすとたちは全力で手拍子。その後、「ぜんぜん」「contrast」「好きがはじまる」も披露されたのだが――序盤のこの4曲には、実はとても深い意味があった。「最初に歌った4曲ですけど、2013年10月22日に渋谷のduoで『アイドル・フィロソフィー』という対バンライブに呼んでいただいた時に、私が初めて歌ったオリジナルの4曲です。「ぜんぜん」もアレンジが違っていて、「contrast」もタイトルが違っていたり、いろいろ変わったんですけど、この4曲が私の原点でスタートです」。彼女が大切な曲たちへの強い想いを語ると、ゆふぃすとたちの間から温かい拍手が起こった。
「今日はワンマンだから、1曲でも多くみんなに聴いてほしくて。でも、時間の都合とかもあるから、メドレーを作ってきました」と、スタートしたメドレーは「ゆる恋」から「カンパニュラの憂鬱」に至るまで、合計13曲が連発される濃厚極まりない内容であった。イントロが鳴り響く毎にどよめき、大いに盛り上がるゆふぃすとたち。精力的に活動を重ねて、着実にファン層を広げていった軌跡をドラマチックに体感させてくれるメドレーであった。
「走馬灯のようだね。「さよならまでが恋愛です」は、ライブで初披露。たくさんの人にお世話になってここまで来ました。今日も強力な助っ人をお呼びしているので、お招きしたいと思います」――10月17日にリリースされた最新シングルのタイトル曲「君にトロピタイナ」のMVに出演しているトロピ隊の2人が登場。そしてスタートした「君にトロピタイナ」をトロピ隊と一緒に踊りながら歌ったゆっふぃーの表情が、実に楽しそう。作詞・作曲・プロデュースを手掛けたNONA REEVESの西寺郷太は、この曲を“トロピカルミネアポリスユーロ歌謡”と称しているが、80年代の洋楽ポップスを彷彿とさせるサウンドメイキングによって、ゆっふぃーがこれまでも追求してきた古き良き音楽が表現されているのを感じた。彼女にとって新境地とも言うべきこの曲は、今後のライブでも存在感を発揮するのではないだろうか。
「君より大人」と「猫になりたい」「終点、ワ・タ・シ」を経て突入した後半戦も、彼女の言葉を借りるなら“走馬灯”のようなメドレーが用意されていた。カバー曲、ゆるゆるとしたムードを醸し出す「ゆるキャラ舞踏会」、盆踊りテイストの「夏’nON-DO」なども盛り込まれていたこのメドレーは、彼女に様々な曲を提供してきた宮野弦士が手掛けたのだという。「繋げてみるとどれも本当にいい曲。自分で言うのもなんだけど(笑)。恵まれているなと思います」と、ゆっふぃーは歌い終わった後に感慨深げに言っていたが、あの場にいた全ゆふぃすとが同様のことを思ったのではないだろうか。
「5年前に最初のライブを渋谷のduoでした時は、そのままソロで続くとは正直なところ思っていなくて。でも、1人ぼっちで5年間を過ごし(笑)。いや、みんなをひとり占めしたまま5年間を過ごせて、とても幸せです。私は“安部なつみさんみたいになりたい”と思ってアイドルを目指したので、まだ到達できていないと思っています。でも、こうやってみんなが来てくれたり、楽しそうにしてくれている様子を見ると人様の役に立っていると思えます。私も週末にみんなに会えるから平日に頑張ろうと思えるんです。まだまだふつつか者ではありますが、5周年の節目は、まだまだ通過点。ここから先も、ゆっふぃーがちゃんと、もっとアイドルになれるように、アイドルし続けられるように、引き続きよろしくお願いします!」。抱えている想いをじっくりと語った後に届けられた「わたしになる」からは、一層自分らしく進んで行こうとしている彼女の姿が、ありありと伝わってきた。そして「わたしを旅行につれてって」「天使のテレパシー」「ふへへへへへへへ大作戦」「きみが散る」「みどりの黒髪」……キュートな魅力をふりまくナンバーをさらに連発。“古き良き時代から来ました。まじめなアイドル、まじめにアイドル。”という彼女のキャッチーフレーズを、まさしく体現したひと時となっていた。大合唱を誘った「好きがこぼれる」を歌い終えると、「引き続き頑張りますので、これからもよろしくお願いします」と言って、ステージを後にしたゆっふぃー。彼女の5年間の頑張りを心から讃える歓声と共に、本編は締めくくられた。
アンコールを求める声に応えてステージに、トロピ隊の2人と一緒に再登場した彼女を出迎えたのは、「ゆっふぃー 5周年おめでとう!」というメッセージとイラストが描かれている巨大なボードだった。この日のためにゆふぃすとたちが用意した演出に支えられながら、アンコールでまず届けられたのは、「知らない誰かに抱かれてもいい」。そして「彼氏ができたの」は、フロアに投入された大量の色とりどりの風船が舞い踊る中で披露された。トロピ隊と一緒に踊りながらこの2曲を歌った後、節目のライブでいろんな準備をしてくれるゆふぃすとたちに心から感謝したゆっふぃーは、ステージを後にしたが、鳴り止まない拍手に応えてダブルアンコールへ。現れた彼女が着ていたのは、序盤のMCでも触れていたソロでの初ライブ、2013年10月22日・渋谷duo MUSIC EXCHANGE『アイドル・フィロソフィー Vol.3』の時の衣装であった。
「5年前の衣装です。当時より痩せたので入りました。えらい!(笑)。いろんな人のおかげで1つ1つのステージがあって、いろんなことがちょっとずつ形になった5年間だったと思います。これからも着実に、より良くなっていけるように頑張ります。5年間もアイドルをできるとは思っていなかったので……やる気はめっちゃあったんですけど(笑)。まさか5年後にもみんなの前に立っていられるとは思っていなかったので、すごくありがたいです。私はまだ“やりきった!”と言うには早いと思っているので、末永くよろしくお願いします!」。そして「#ゆーふらいと」がスタート。この曲は、ゆふぃすとたちが掲げたスマートフォンのライトで彩られたのだが、ここでも粋な演出が用意されていた。桜吹雪が舞い散るアニメーションのイラストが少しずつピンクから青へと変化していき、最後にスマートフォンの液晶画面に浮かび上がったのは「#」――「サクラノート」がデビュー曲「#ゆーふらいと」へと進化した様が表現されていることを悟ったゆっふぃーは、瞳を潤ませていた。
「いっぱい重ねてきたハッシュタグをこれからも繋げていけるように、いつかみんなが振り返った時に“5周年の時は、みんなでハッシュタグ出したね”って言えるように、これからも末永くよろしくお願いします。今日来てくれた誰1人欠けることなく、来年も再来年もお祝いできるように頑張りたいと思いますので。日々の生活を頑張って、長生きしてください!」と挨拶をした後、彼女はステージから去りかかったのだが……大事な告知をするのを忘れていたらしい。「大事なお知らせがあった(笑)」。照れくさそうな表情を浮かべて戻ってきた彼女が発表したのは、「11/16 ポムポムプリン カフェ梅田店1日店長就任」「12/21に『YUFU FES(仮)』開催」「2019年春 ニューシングル リリース予定」――大好きなポムポムプリンから1日店長をお願いされた手紙に大喜びした彼女は、とても明るい笑顔を輝かせていた。ソロ活動6年目に突入しても、ゆっふぃーのかけがえのない魅力は、さらに深まり続けるのだろう。今後の彼女への期待も大いに膨らむライブであった。
【撮影:チェリーマン】
【取材・文:田中大】
リリース情報
君にトロピタイナ
2018年10月17日
Imperial Records
2.彼氏ができたの
3.君にトロピタイナ -Off Vocal-
4.彼氏ができたの -Off Vocal-
セットリスト
Yufu Terashima 5th Anniversary Live 〜以前よく見たあの人も 通い続けるこの人も〜 supported by japanぐる〜ヴ(BS朝日)
2018.10.21@渋谷ストリームホール
- 01.サクラノート
- 02.ぜんぜん
- 03.contrast
- 04.好きがはじまる
- 05.メドレー1(1.ゆる恋 2.だいすき 3.ジュリエットのパラドックス 4.恋人だったの 5.80デニールの恋 6.楓 7.HOTARU 8.さよならまでが恋愛です 9.ヘッドフォンガール 10.たぶん… 11.初恋のジルエット 12.コンプレックスにさよなら 13.カンパニュラの憂鬱)
- 06.君にトロピタイナ
- 07.君より大人
- 08.猫になりたい!
- 09.終点、ワ・タ・シ。
- 10.メドレー2(1.まだまだ 2.夏色のナンシー 3.ヒロインにりたい 4.結婚願望が止まらない 5.ライク・ア・ヴァージン 6.オブラート・オブ・ラブ 7.YOU MAY DREAM 8.背中のキッス 9.101回目のファーストキス 10.いやはや ふぃ~りんぐ 11.かまたんが来る 12.ガタちゃん 13.ゆるキャラ舞踏会 14.世界で一番かわいい君へ 15.お願いバッカス 16.ねらいうち 17.好きがはじける 18.夏’n ON-DO 19.ぼくらの日曜日)
- 11.わたしになる
- 12.わたしを旅行につれてって
- 13.天使のテレパシー
- 14.ふへへへへへへへ大作戦n
- 15.きみが散る
- 16.みどりの黒髪
- 17.好きがこぼれる
- 18.知らない誰かに抱かれてもいい
- 19.彼氏ができたの 【ENCORE】
- En-1.#ゆーふらいと
お知らせ
『YUFU FES(仮)』
12/21(金)新宿BLAZE
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。