Rhythmic Toy World「SHOOTING TOUR」Zepp DiverCity東京ファイナルをレポート
Rhythmic Toy World | 2018.11.16
Rhythmic Toy Worldの全国ツアー「SHOOTING TOUR」のファイナル、東京・Zepp DiverCity公演。バンドにとって過去最高規模のライブでメンバーの4人は、独創的なロックサウンド、強いメッセージを込めた歌詞、遊び心に溢れたステージング、そして、オーディエンスとの強い絆を真っ直ぐに見せつけてくれた。
4月にリリースされたメジャー1stアルバム『SHOT』を引っ提げた全国ツアー「SHOOTING TOUR」。5月からスタートし、KNOCK OUT MONKEY、ヒトリエ、CIVILIAN、グッドモーニングアメリカ、シナリオアート、phatmans after school、GOOD ON THE REEL、アルコサイト、NUBO、MAGIC OF LiFE、bivouac、鴉といった魅力的なゲスト・バンドを迎えた対バンライブ、そして、8月からは全国各地でワンマンライブを行ってきた彼ら。この日(10月29日/東京・Zepp DiverCity)のライブで彼は、メジャーデビュー以降の最初の集大成と呼びたくなるような、エモーショナルかつポジティブなステージを繰り広げた。
開演前のBGMは「Error」(Granidelia)、「君が私をダメにする」(黒木渚)などエッジとポップを兼ね備えたアーティストたちの楽曲。こういうセレクトにもバンドの意志を感じるな……などと思っているうちにフロアの照明が落とされ、メンバーが次々と登場。
「ウォー!」という強烈な歓声のなか、オープニングナンバー「BOARD」が放たれる。勢い、パワー、グルーヴを共存させたバンドサウンド、エモーショナルなメロディライン、そして、「GO!!大気圏突破ですSHOT!!乗り込め僕らへ」というラインが響き渡り、観客の興奮はアッと言う間に上がっていく。“Rhythmic Toy Worldは夢を乗せてどこまでも飛んでいく宇宙船”というテーマで制作されたというこの曲は、現在の彼らのとことん前向きなモードと直結していると思う。
さらに須藤憲太郎(Ba)のスラップベースにリードされた「Team B」、「おまえらのでっかいでっかい声ちょうだい!」(内田直孝/V&G)という煽りに反応し、フロアから凄まじいシャウト&シンガロングが巻き起こった「ペーパー人間」を披露。
「ついに、ついにお台場まで来ちゃったよ! もっともっとみんなと遊びてえなと思うんだけど、おまえら準備できてる?」(内田)というMC、”俺らと一緒にASOBOYA!”のコール&レスポンスを挟み、メロディックなギターフレーズと強靭なリズム・セクションがひとつになった「いろはにほへと」、アルバムの収録曲「ラストオーダー」へ。カラフルなアッパーチューンの魅力を思い切り増幅させるメンバーのステージングはまさに最高潮だ。パワーとしなやかさを兼ね備えた磯村貴宏(Dr)のドラム、スラップを効果的に交えながら骨太のグルーヴを生み出す須藤のベース、ド派手なフレージングと正確なカッティングで楽曲に彩りを与える岸明平(G)のギター。このバンドのアンサンブルは、今回のツアーによって確実に向上した。的確なテクニックと表現力を共存させた彼らのサウンドは、現在のシーンのなかでもかなり際立っていると思う。
「予想以上にめっちゃ楽しい! あのデカいガンダム(お台場名物、等身大の機動戦士ガンダム)でも、ここにいるみんなには勝てないな。今日がファイナルなんだけど……終わらないっしょ。“まだまだ足らねえよ。50、60才までやれよ”という気持ちでこれからも応援よろしくお願いします!」(内田)というMCの後は、このバンドのハイブリッドな音楽性をダイレクトに体感できるシーンが続く。ギターポップ、ヘビィロック、メロコア、ファンク、ヒップホップといった幅広いファクターを自由に取り込み、想像を超えた楽曲展開をドラマティックな手触りのメロディ、真摯なメッセージ性を込めた歌詞によってオーディエンスを惹きつけていく。
特にシャープなダンスビートと“偽物なんかに負けてたまるか”というワードがぶつかり合う「ブッシャカ」は最高。“ブッシャカ!ブッシャカ!”という観客のコールを含め、このツアーのなかで新たなライブ・アンセムとして定着したようだ。さらに「とおりゃんせ」では内田が客席に飛び込み、フロアは熱狂の渦に巻き込まれる。身体を張ったパフォーマンスで観客とコミュニケーションを取ろうとする姿勢もまた、このバンドが支持され続けている理由だろう。
母親に対する愛情、感謝を率直に歌い上げた「リバナ」、内田の男くさいボーカルが心に残った「27時」でじんわりとした感動を生み出し、ライブはいよいよ後半へ。「描いた日々に」「輝きだす」などの前向きな意志を描いたアッパーチューンを次々と放ち、観客の心と身体を揺らしまくる。「みんな、手を上げてもらっていい? その手を自分の胸に当ててもらっていいかな。みんが触ってるそれ、俺の宝物です」(内田)という言葉に導かれた「ライブハウス」そして、“頑張れ生きる人 君は誰かを思える人 本当は強い人”という、4人の生き方とも強く重なるラインがしっかりと伝わってきた「僕の声」(TVアニメ「弱虫ペダル GLORY LINE」OPテーマ)で本編は終了した。
“ASOBOYAコール”に導かれ、再びステージに登場した4人。「ツアー、すげえ大変だったよ。みんなに何を届ければいいんだろう?って試行錯誤して、試して。でも、すごく楽しかった。
時間が許す限り、アンコールやります!」(内田)という言葉から、まずは彼らのライブのテーマソングとも言える「ASOBOYA」を演奏。さらに未発表の新曲「ヒトノカケラ」、代表曲のひとつである「さなぎ」などを披露し、汗だくのオーディエンスをさらに盛り上げる。メンバーがステージを去っても、コールは鳴り止まず。笑顔で登場したメンバーはダブルアンコールとして「あなたに出会えて」を放ち、ツアーファイナル公演を締めくくった。
ツアー終了後もまったくペースを落とすことなくライブを続けているRhythmic Toy World。12月から来年1月にかけて福岡、富山、茨城、大阪、愛知、福島、東京で「TeamぶっちぎりTOUR vol.1」を開催。さらに2019年3月1日(金)には東京・恵比寿LIQUID ROOMで「Rhythmic Toy World 結成10周年記念LIVE」も決定している。結成10周年のアニバーサリー・イヤーを目前にした彼らはここから、さらなる飛躍を目指して突き進むことになるはずだ。
【取材・文:森朋之】
【撮影:タマイシンゴ】
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リリース情報
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SHOT
2018年04月25日
ビクターエンタテインメント
2. 僕の声〔Album Ver.〕
3. ラストオーダー
4. さなぎ〔想像力の最前線Ver.〕
5. 会えるように
6. ペーパー人間
7. ブッシャカ
8. 青く赤く
9. ライブハウス
10. 27時
11. 革命の唄
12. ASOBOYA
13. リバナ
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セットリスト
SHOOTING TOUR
2018.10.29@Zepp DiverCity
- 1. BOARD
- 2. Team B
- 3. ペーパー人間
- 4. いろはにほへと
- 5. ラストオーダー
- 6. 十六夜クレーター
- 7. 終末のカンヴァセーション
- 8. s.m.p
- 9. JIGOKU
- 10. ブッシャカ
- 11. S.F
- 12. 波紋シンドローム
- 13. とおりゃんせ (×2)
- 14. リバナ
- 15. 27時
- 16. 描いた日々に
- 17. 輝きだす
- 18. いつか
- 19. ライブハウス
- 20. 僕の声 【ENCORE】
- EN-1. ASOBOYA
- EN-2. ヒトノカケラ《新曲》
- EN-3. さなぎ
- EN-4. フレフレ
- EN-5. 会えるように 【DOUBLE ENCORE】
- WEN-1. あなたに出会えて
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お知らせ
TeamぶっちぎりTOUR Vol.1
2018/11/24(土)富山 SOULPOWER
2018/12/07(金)水戸 LIGHT HOUSE
2018/12/16(日)大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
2018/12/17(月)名古屋APOLLO BASE
2018/12/21(金)郡山 CLUB #9
2019/01/05(土)代官山UNIT
Rhythmic Toy World 結成10周年記念LIVE
2019/03/01(金)恵比寿LIQUIDROOM
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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