レビュー
Rhythmic Toy World | 2018.04.20
結成は2009年。都内のライブハウスを中心に現場至上主義的な活動を展開し、ライブバンドとしてのポテンシャルを上げてきた彼らは、2014年にフランスで開催された「JAPAN Expo 2014」に参加、2015年には「ROCK IN JAPAN」に初出演を果たすなど、幅広いフィールドで知名度を上げてきた。さらに2016年には楽曲「輝きだす」が森永製菓「DARS」のCMソングに抜擢され、楽曲「あの日見た青空はきっと今日に続いている」が映画「何者」の挿入歌に起用されるなど(メンバーも劇中に登場!)、さまざまなメディアにも進出した。そして2018年春。バンドキッズから一般的なJ-POPユーザーにまで支持を広げたRhythmic Toy Worldが満を持してメジャーシーンに進出する。その最初のアクションとなるのが、メジャーデビューアルバム「SHOT」のリリースだ。
内田直孝(V/G)、 岸 明平(G)、須藤憲太郎(Ba)磯村貴宏(Dr)の4人からなるRhythmic Toy Worldの最大の特徴は、ジャンルの壁を軽々と超えていく音楽性の広さだろう。楽曲を手がけているのは、バンドの中心である内田。アニソン系アーティスト、声優に楽曲提供も行っている彼の楽曲は、メロコア、エモ、ギターポップなどを自由に行き来しながら、ポップスの親しみやすさ、ロックのダイナミズムを同時に感じさせてくれる。ジャンルレスな楽曲を的確かつリアルに表現する岸、須藤、磯村のプレイヤビリティもまた、このバンドの大きな武器だろう。
そんな彼らの特性はもちろん、本作「SHOT」にも強く反映されている。TVアニメ「弱虫ペダルGLORY LINE」オープニングテーマとして注目された「僕の声[Album Ver.]」はスピード感溢れるビートと感情的なメロディが一つになったアッパーチューン、リードトラック「さなぎ-想像力の最前線ver.-」はエッジ―なギターリフを軸にした骨太のサウンドと“僕の創造の世界の意味をさ 歌っていく”という歌詞が共存するナンバー。その他、(タイトル通り)ライブハウスの臨場感を描いた「ライブハウス」、躍動感のあるビートに思わず身体が反応してしまう「ASOBOYA」、親に対する感謝を真っ直ぐに綴った「リバナ」など、じつにバラエティに富んだ楽曲が並んでいる。この間口の広さはそのままリスナ―の幅につながっているし、メジャーデビューをきっかけにして、豊かな奥行きを持った彼らの音楽世界はさらに進化することになるだろう。バンドシーンを中心にし、Rhythmic Toy Worldの音楽の波紋がどこまでも大きく広がっていくーーそんな光景がはっきりと浮かんでくる充実のアルバムである。
【文:森朋之】
リリース情報
SHOT
発売日: 2018年04月25日
価格: ¥ 2,800(本体)+税
レーベル: ビクターエンタテインメント
収録曲
1. BOARD
2. 僕の声〔Album Ver.〕
3. ラストオーダー
4. さなぎ〔想像力の最前線Ver.〕
5. 会えるように
6. ペーパー人間
7. ブッシャカ
8. 青く赤く
9. ライブハウス
10. 27時
11. 革命の唄
12. ASOBOYA
13. リバナ