向井太一 『PURE TOUR 2018-2019』 全公演ソールドアウト
向井太一 | 2018.12.26
2ndアルバム『PURE』を引っ提げた『PURE TOUR 2018-2019』は、全公演のチケットがソールドアウト。初日の会場であるマイナビBLITZ赤坂も満杯となり、スタート前から早くも熱気が渦巻いているのを感じた。そして、ついに迎えた開演。バンドメンバーの George(Keyboard & Machine/MOP of HEAD)、Kensuke Takahashi (Guitar/LUCKY TAPES)、Keito Taguchi (BASS/LUCKY TAPES)、Satoshi (Drums/MOP of HEAD)が後方に控えている中、ステージの中央に立った向井太一のシルエットがライトを浴びて浮かび上がり、演奏がスタート。一気に会場の隅々にまで広がった歌声、サウンドが濃厚でグルーヴィー極まりない。この瞬間を待ちわびていた人々をうっとりとさせたオープニングであった。
このツアーは、来年の2月1日・大阪・BIG CAT公演まで続くので、セットリストの詳細、曲順、演出などがわかってしまいそうな描写は控えることにしておく。とはいえ、最新アルバム『PURE』の収録曲がたっぷり披露されていたことには、触れても差し支えないだろう。バンドサウンドに包まれながら歌う向井の姿が、とても気持ちよさそうだった「リセット」。ハンドマイクで歌いながら軽快にステップを踏み、ソウルフルな歌声を響かせた「Crazy」。ファンキーなビートが観客も思いっきり踊らせていた「Siren」……などなど、スタジオレコーディングされた音源作品としても素晴らしかった曲の数々は、生のパフォーマンスでも絶大な輝きを放っていた。「お越しいただきありがとうございます。前回はケラーニの来日公演のオープニングアクトで、今回は僕のライブでのこの会場。とても嬉しいです。たくさん曲をやるので、最後までお楽しみください!」――最初のインターバルで、満杯となっているフロアを見渡しながら心底嬉しそうに笑顔を輝かせた彼は、その後も多彩な曲たちを活き活きとした表情で届けてくれた。
マイナビBLITZ赤坂公演はゲストが事前に発表されていたので、その点に関してもこのレポートで触れて構わないだろう。「紹介します。本日のゲスト!」と向井が言って、ステージに招き入れたのは、あっこゴリラ。彼女が11月にリリースした『GREEN QUEEN』に収録されていて、Spotifyの新CMソングとなった「ゲリラ」がスタートすると、観客は熱い歓声を上げながら興奮を露わにしていた。続いて「空」がスタート。まずは向井が1人で歌い始めたこの曲であったが、後半にさしかかったところでSALUが合流。彼のラップが加わり、ますます力強いエネルギーを帯びたサウンドが、会場全体を心地よく震わせていた。「今日の主役、向井太一に大きな拍手を!」と言って颯爽とステージを後にしたSALU。彼は豊洲PITでのSKY-HIのライブに出演してからマイナビBLITZ赤坂に駆けつけてくれたらしい。綱渡りのようなスケジュールの中で実現したこのコラボレーションは、向井がミュージシャン仲間たちに深く愛されていることも自ずと示していて、とても心温まるものがあった。
「今回、『PURE』のツアーです。僕がずっと心の中で抱いていた気持ちとか、発信していきたいメッセージがこめられてます。ネガティブなことをただネガティブに受け入れるだけじゃなくて、それを自分の中で噛み砕いてパワーにしてポジティブな方向に行けたらいいなと思ってます」――最新アルバム『PURE』について向井が語った終盤でのMCは、とても印象的なものだった。この作品に彼が託した願い通り、あらゆる感情が美しいメロディ、ハーモニー、リズムと化して響き渡っていく様を、あの場にいた全ての人が感じていたのではないだろうか。彼は『PURE』について次のようにも語っていた。「今回、『PURE』というタイトルにしたのは、ファンのみなさんがきっかけになっていて。最初はお客さんを10人とか集めるのにも必死だったけど、こんなにもたくさんのみなさんの前で歌えるようになりました。そのことによって“誰かに届ける”っていう意識が、すごく強くなったんです。手紙とかメッセージでみなさんからの声をいただけるようになったことで、作った曲が誰かの助けになったり、誰かに手を差し伸べられているんだと思うようになって、 “何を発信して歌っていきたいのか?”ってことをすごく考えるようになりました。僕はみなさんの愛を受けることで自分のことが好きになれて、見える世界が変わったんです。たくさんの人のおかげで向井太一が成り立ってます。そんなあなたたちが孤独を感じたり、自分を好きになれなかったり……そんな時にそばにいられるような曲を作りました」――じっくりと言葉を選びながら観客に語りかけた後に披露された「PURE」は、とても温かく迫ってきた。
アンコールでは、一際リラックスした様子で歌っていた向井。誕生日を記念したスペシャルライブ『27』を3月7日・ビルボード東京、3月13日・ビルボード大阪にて開催、3月22日からは台湾、北京、深?、上海、韓国を巡る『ASIA TOUR 2019』――途中のMCで今後の予定を一気に発表して、「カンペ持ってくるのを忘れたけど、全部言えた(笑)」と言った彼を観客の明るい笑い声と拍手が祝福した。最新アルバム『PURE』に対して抱いている手応え、ツアー初日の観客から受けたエネルギーは、大きな自信を彼に与えたのではないだろうか。今回のツアー、ビルボード東京とビルボード大阪での公演、アジアツアーなどを経て、向井太一がさらに進化していくことを確信させられるライブであった。
【取材・文:田中 大】
【撮影:Tetsuya Yamakawa】
リリース情報
PURE
2018年11月28日
TOY’S FACTORY
02.Crazy (Co-Produced by BON3AI)
03.Break up (Co-Produced by ☆Taku Takahashi)
04.Haters (Co-Produced by mabanua)
05.Agony (Co-Produced by CELSIOR COUPE)
06.Answer feat. KREVA (Co-Produced by 蔦谷好位置)
07.リセット (Co-Produced by CELSIOR COUPE)
08.午後8時 (Co-Produced by grooveman Spot)
09.ポートマン (Co-Produced by Shingo.S)
10.Pure (Co-Produced by 高橋海)
11.Ego (Co-Produced by Chocoholic)
12.Gimme (Co-Produced by grooveman Spot)
Bonus Track. Siren (Co-Produced by tofubeats)
お知らせ
Date fm RADIO GIGA
12/29(土)仙台PIT
『27』@ビルボードライブ
2019/03/07(木)ビルボード東京
2019/03/13(水)ビルボード大阪
『ASIA TOUR 2019』
台湾公演:2019/03/22(金)THE WALL TAIPEI
台湾フェス:2019/03/24(日)メガポートフェス
北京公演:2019/03/29(金)疆進酒
深セン公演:2019/03/30(土)HOULIVE深セン
上海公演:2019/03/31(日)ModernSkyLAB上海
韓国公演:2019/04/06(土)HANATOUR V-Hall
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。