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BUCK-TICK 19年連続となる日本武道館公演『TOUR No.0 -FINAL-』

BUCK-TICK | 2019.01.12

 2018年12月29日、BUCK-TICKが『TOUR No.0 -FINAL-』と題して東京・日本武道館のステージに立った。毎年この日にこのステージに立ち続けて19年。ツアーの一環のことも、そうでないこともあるが、今回は最新作『No.0』のリリースとともにスタートしたホール・ツアー『BUCK-TICK 2018 TOUR No.0』、それに続くライブハウス・ツアー『TOUR No.0 -Guernican Moon-』の集大成となったのが、この武道館公演だ。加えて、ライブハウス・ツアー終盤に体調を崩した櫻井敦司(Vo)が療養を経て復帰し、愛と生命をテーマにしたアルバム『No.0』で彼らが描いたものに更なる深みを与えるステージとなった。

 BUCK-TICKの曲『ノスタルジア - ヰタ メカニカリス -』をマッシュアップしたSEと共に歌詞が踊る映像がステージ前の紗幕に流れ、そこにメンバーのシルエットが浮かび上がる。歓声が起こる中、紗幕が振り落とされ始まったオープニング・ナンバーは『GUSTAVE』。いきなり火柱が立ち、中央に立つ櫻井を捉えた映像がステージ両脇の大きなヴィジョンに映し出されると一際大きな歓声が起こった。少し痩せたようだが、強い意志を感じさせる眼差しは、このステージに賭ける思いを伝えていた。だが余計な感情が入り込む前に、気まぐれな猫をモチーフにしたこの曲では櫻井もオーディエンスも一斉に「Cat,Cat」と歌いながら猫手を振り上げ踊り出す。それまでのツアーでは後半やアンコールで演奏されて来たダンサブルなナンバーだ。櫻井の声は力強く足取りは軽やかで不安を感じさせるものは微塵もない。見事な幕開けだった。

 早くもユータこと樋口豊(B)がセンターに躍り出て盛り上げた『Baby,I want you.』『美醜LOVE』と歌ったところで、「ご心配をおかけしました。今夜は一緒にダンスしましょう」と櫻井はコメント。赤いレースのロングブラウスの上に羽織った黒留袖から、ガーターベルトでストッキングを留めた足を包むロングブーツが覗き、軍帽に手を添えて歌う姿はルキノ・ヴィスコンティの映画のワンシーンのようだ。倒錯的ではあるが、命には性別も何も関係なく愛は誰にも同じように与えられるはず、と彼のいでたちは物語る。エレクトロニックな『光の帝国』にアリーナもスタンドも揺れ、愛のために命を落とした娘がモチーフの『Ophelia』ではロマンティックに、愛のために首を求めた『サロメ-famme fatare-』は挑み誘うような歌に翻弄された。

 今井寿(G,Vo)と櫻井の掛け合いとなる『IGNITER』はハードなサウンドで空気を一変させ、ステージ後方に飛び出す今井がラップ風に歌う歌詞が目に焼きつく。荘厳な『BABEL』は背景の廃墟の夜が深まり、闇が人の欲望をあぶり出す。重々しいビートに乗って櫻井は力強く、世界に君臨する王のように歌った。かと思うと『Moon さよならを教えて』は祈る人のようにベールで頭を覆い、ハイトーンで包容力豊かに歌ってみせる。このツアーで櫻井の表現力は一段と磨かれて来たことを実感させるパートだった。

 今井と星野英彦(G)がアコギを持った『Cuba Libre』はスパニッシュなビートに合わせ櫻井が歌いながらフラメンコ・ダンサーのように踊り、オーディエンスにマイクを差し出した。耽美かつポップな『Mr.Darkness & Mrs.Moonlight』は今井の蓮っ葉なコーラスが絶妙で、櫻井のステップも何やら可愛らしい。続く『BOY septem peccata mortalia』のイントロで、櫻井はこれまでも「あれもしたいこれもしたい」と台詞のように言っていたのだが、この日は「もっと、もっと欲しい。僕の好きなコンサート、歌を、誰だい?取り上げたやつは?」と、この数週間のことを思わせる言葉に、病床で歌えない辛さと戦っていたのだろうと思うと、この歌にも新たな色が加わった。

 ヤガミ・トールがアップテンポなカウントで畳み掛けた『薔薇色十字団 -Rosen Kreuzer-』はステージ後方に薔薇が咲き乱れ、本編最後を飾った『Memento mori』は、ヤガミの力強いドラムと今井とオーディエンスのハンドクラップが小気味好いリズムを作り出した。沖縄民謡のカチャーシーのように腕を回しながら櫻井は歌い、今井はバリ島のケチャ風にキレのいいコーラスを入れる。民謡の持つ生命力を吸収しながら「人生は愛と死」と歌う強さは、こうして復帰し生を実感している櫻井の心の叫びのようでもあった。歌い終え、オーディエンスに向かって拍手をしてステージ袖に向かった櫻井の表情を捉えたスクリーンには、やり遂げた安堵に満ちた顔が映し出されていた。

 1stアンコールは、アルバム『No.0』の1曲目『零式13型「愛」』から。重厚なサウンドと力強く響く歌が、生命の神秘や宇宙観をリアルに伝えてくる。続く『ゲルニカの夜』は歌に合わせた絵本のように、このツアーで使われて来たサンドアートが悲しい物語を描き出す。そしてドラマチックな『胎内回帰』。アルバム『No.0』でも最後を飾るこの曲は、残った力を全て使い果たさんとばかりに櫻井が足を踏ん張り体を二つに折りながら全身全霊を込めて歌い、このステージの全てを引き受けて昇華させる。ここでの3曲はアルバム『No.0』を象徴するものであり、アンコールだけれど、ここまでが一つのストーリーなのだった。

 2ndアンコールに、ホッとしたような様子で現れた櫻井たちからは、このツアーを成就できた喜びが溢れていた。今井と櫻井が掛け合いで歌う『TANGO Swanka』、力強い『狂気のデッドヒート』、そしてヤガミや今井のソロを交えメンバー紹介をした後で櫻井は、「病室でみんなの……」と語り出したところで声を詰まらせた。「たくさんのお見舞いメール、励ましのお手紙、本当にありがとうございました」と頭を下げ、延期となった4公演について「来年また会いましょう」と約束。そしてスタッフとメンバーに「何も言いませんが本当にありがとう」と涙声で言うと、「感謝の気持ちを込めて歌います」と始めた『鼓動』は、後方に5人の涙混じりの笑顔が映し出されていた。今井の肩に手を置いてステージを降りた櫻井を追うように今井が「キラキラ星」を弾くと、櫻井がステージに戻り『夢見る宇宙』が始まった。幸福な時間が戻ってくるような軽やかな曲に笑顔が浮かぶ。アウトロに今井が「キラキラ星」をもう一度弾くのに重ねて櫻井は再びメンバーを紹介し、「そして皆さん。たくさんの愛をどうもありがとう。良いお年を」と言ってステージを降りた。他のメンバーが続く中、今井はノイジーなギターを弾き続けていた。

 誰もいなくなったステージに浮かび上がったのは、2019年5月25日(土)・26日(日)に幕張メッセで開催するワンマンライブ『ロクス・ソルスの獣たち』の告知。デビュー32年を迎えてなおBUCK-TICKの快進撃は止まらない。

【撮影:田中聖太郎写真事務所】
【取材・文:今井智子】




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リリース情報

THE DAY IN QUESTION 2017

THE DAY IN QUESTION 2017

2018年12月26日

ビクターエンタテインメント

完全生産限定盤(3BD+PHOTOBOOK)
VIZL-1495 / ¥12,000+税
完全生産限定盤(3DVD+PHOTOBOOK)
VIZL-1496 / ¥11,000+税
通常盤(2BD)
VIXL-247〜248 / ¥7,000+税
通常盤(2DVD)
VIBL-922〜923 / ¥6,000+税


●DISC1(December 28th, 2017.)全22曲
●DISC2 (December 29th, 2017.)全22曲
●DISC3 全国各地を追いかけたツアードキュメント「THE DAY IN QUESTION 2017 Documentary」

[完全生産限定盤(Blu-ray/DVD共通)]
1)「THE DAY IN QUESTION 2017 Documentary」映像ディスク付属
2) LIVE PHOTOBOOK [全64P]封入
3) スペシャルパッケージ仕様

セットリスト

『TOUR No.0 -FINAL-』
2018.12.29@日本武道館

  1. 1.GUSTAVE
  2. 2.Baby, I want you.
  3. 3.美醜LOVE
  4. 4.光の帝国
  5. 5.Ophelia
  6. 6.サロメ − famme fatare −
  7. 7.IGNITER
  8. 8.月蝕
  9. 9.BABEL
  10. 10.Moon さよならを教えて
  11. 11.Cuba Libre
  12. 12.Mr.Darkness & Mrs.Moonlight
  13. 13.BOY septem peccata mortalia
  14. 14.薔薇色十字団 - Rosen Kreuzer -
  15. 15.Memento mori
  16. 【ENCORE】
  17. EN-1.零式13型「愛」
  18. EN-2.ゲルニカの夜
  19. EN-3.胎内回帰
  20. 【DOUBLE ENCORE】
  21. WEN-1.TANGO Swanka
  22. WEN-2.狂気のデッドヒート
  23. WEN-3.鼓動
  24. WEN-4.夢見る宇宙

お知らせ

■ライブ情報

ロクス・ソルスの獣たち
2019.5.25(土) / 5.26(日)
千葉:幕張メッセ 国際展示場9・10・11ホール

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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