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Have a Nice Day! (ハバナイ)『ENTER THE VOID ~愛こそすべて~』ワンマン

Have a Nice Day! | 2019.04.02

 ステージを覆っていたスクリーンが上昇して露わになった空間に、既にスタンバイ済みだったHave a Nice Day!。ゆっくりとペットボトルの水を飲んでいる浅見北斗(Vo)、サポートメンバーの中村むつお(G)、遊佐春菜(Key)、チャンシマ(Dr)を観客の歓声が包んだ。そして、「わたしを離さないで」がスタート。シンセサイザーのドリーミーな音色、シャープなビートが、待ちわびていたファンを早くも激しく興奮させていた。フロアから湧き起こった大合唱、言葉にならない想いをステージへと届けるかのように勢いよくリフトアップされた人々、狂おしく揺れた無数の腕……本能を解放する強力なダンスミュージックであると同時にパンクロックのアグレッシブさも兼ね備えていて、シンガロングを誘うポップミュージックとしての門戸の広さも持っているハバナイの威力を、まざまざと実感したオープニングであった。

「ゾンビパーティー」「ロックンロールの恋人」「ハートに火をつけて」「blood on the moshpit」も披露された後に迎えた最初の小休止。「今日は来てくれて、誠にありがとうございます。今日は全然盛り上がらない。俺だけが頑張ってるね。言い訳はするな! お前ら、汗かいてるくせに寒々しいな」。毒気の利いたことを言う浅見に対して野次のような声で応える観客。ハバナイとファンの間にある独特な信頼関係が窺われるコミュニケーションは、MCタイムもスリリングなものにしていた。そして、「新宿ロフトは、ワンマンをやったことないんだよね。懐かしい曲を1曲やって、みなさんと楽しい時間を過ごしたいと思いますよ」という言葉と共に「秘密警察」がスタート……したのかと思いきや、浅見が機材操作を誤ってスタートせず……。そんな微笑ましいハプニングに対して上がる観客の声が、実に嬉しそう。「お前ら、優しいなあ。俺が間違って、そんなに盛り上がってくれるなんて」。照れくさそうだった浅見も予定していなかった出来事を心から楽しんでいた。

 咆哮と汗にまみれたモッシュピットを生み出しつつも、柔らかな光にもどんどん包まれていくかのようだったハバナイのライブは、終始、とても不思議な温かさに満ち溢れていた。「僕らの時代」「blue mirrorball」「Are you ready?」「フォーエバーヤング」「ミッドナイトタイムライン」……ステージ上を動き回り、何かに突き動かされるかのように身体を揺らしながら歌い続けた浅見。汗まみれであると同時に、時には瞳を潤ませているようにも見えた観客の大合唱――これらが一体となっている空間は、会場に集まったあらゆる人々の共犯関係から生み出されている尊い聖域となっているのを感じた。

 最新シングルのタイトル曲「愛こそすべて」のMVについて語っていたのだが、観客の合いの手によって中断した浅見のMC。「しゃべらせろよ! いいところだったろうが! 俺がしゃべってる時は黙っとけ! 話が長くなるぞ!」と彼がキレ始めると、フロアから起こった和やかな笑い声。そんな場面を経て、「ヘイトフルなこの世界へのアンサーソングということで」という言葉を添えて披露された「愛こそすべて」は、中盤で大いに存在感を放っていた。リリースされたばかりの曲だが、共に歌う観客の声が圧倒的に力強い。エンディングを迎えた時、自然と起こった大きな拍手が、清々しい響きを帯びていた。そして、沸騰する鍋のように観客がもみくちゃになりながら踊っていた「Fallin Down」。胸にグッと迫るメロディが響き渡る中、激しいクラウドサーフも起こっていた「ファウスト」。ミラーボールが回転しながらキラキラした光の粒子を放ち、観客の大合唱を感動的に彩っていた「LOVE SUPREME」……様々な曲が披露される毎に爽やかな熱気に満たされていった新宿ロフト。ワンマンライブならではの親密なムードが漂い続けていた。

「さて。今日は走りきった。ワンマンも終わりに近づきまして、俺に与えられてるのは、告知タイムですよ」と言って、物販で売っているグッズについて紹介した後、決定している今後のライブを発表した浅見。5月23日/東京・新宿ロフト/TENDOUJIとの2マンライブ『ハバナイ!pre NU VOID』。6月22日/大阪・味園ユニバース/ZOCとクリトリック・リスとの3マンライブ『NU VOIDスペシャル拡大版in大阪』――楽しくならないはずがない強力な布陣の集結を知って、観客は大喜びしていた。そして、「告知タイムが済みましたので、最後は2019年の最高のアンセムをみんなで歌って終わりたいと思います」と浅見が言い、本編は「マーベラス」が締め括った。途中で演奏がストップして無音になると、ひと際力強さを増した観客の大合唱。感極まっている人々の想いの詰まった歌声を全身で浴びながらステージに立っていた浅見、バンドメンバーたちの姿が、とても雄々しかった。

 アンコールを求める歓声に応えて、一瞬でステージに戻ってきた浅見。「よし! やるか。やる時はとっととやろう。なんだよ、お前らミュージシャンかよ! ミュージシャンを気取って、わざわざ戻りやがって!」。一旦楽屋へと戻ったバンドメンバーたちに彼が絡むと、観客の間から明るい笑い声が起こった。「ワンマンショーに来ていただき、誠にありがとうございました。たくさんの人に来ていただいて嬉しいです。まだまだ東京は死んでないぜ。ヘイトフル過ぎるこの世界に、我々こそがオープンマインドな精神でもってぶち上がる!」という言葉を添えてアンコールを飾ったのは、本編でも披露された「Are you ready?」と「フォーエバーヤング」。掛け声を上げながら飛び跳ねる観客とステージから届けられるサウンドが、愛情たっぷりにどつき合うかのようにひとつになる様が、何とも言えず美しい2曲だった。「また次のモッシュピットで会おうぜ! ありがとう!」と観客に呼び掛けてステージを後にした浅見、中村、遊佐、チャンシマ。4人を見送った激しい拍手と歓声は、Have a Nice Day!がファンにとってかけがえのない存在となっていることを自ずと示していた。

【取材・文:田中 大】
【撮影:Takanori Tsukiji】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル Have a Nice Day!

リリース情報

[配信]僕らの時代

[配信]僕らの時代

2018年10月20日

ASOBiZM

01.僕らの時代

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セットリスト

ENTER THE VOID ~愛こそすべて~
2019.3.20@新宿LOFT

  1. 1.わたしを離さないで
  2. 2.ゾンビパーティー
  3. 3.ロックンロールの恋人
  4. 4.ハートに火をつけて
  5. 5.blood on the moshpit?
  6. 6.秘密警察
  7. 7.僕らの時代
  8. 8.blue mirrorball
  9. 9.Are you ready?
  10. 10.フォーエバーヤング
  11. 11.ミッドナイトタイムライン
  12. 12.愛こそすべて
  13. 13.Fallin Down
  14. 14.ファウスト
  15. 15.LOVE SUPREME
  16. 16.マーベラス
  17. [ENCORE]
  18. EN-1.Are you ready?
  19. EN-2.フォーエバーヤング

お知らせ

■ライブ情報

歌舞伎町サーキットイベント
「CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL 2019」
04/20(土)歌舞伎町

YOUNG POP CLUB vol.4
04/25(木)梅田シャングリラ

ARABAKI ROCK FEST.
04/27(土)-28(日)
みちのく公園北地区エコキャンプみちのく

りんご音楽祭 11years Kick Off パーティー 名古屋編 supported by The Wizard
05/18(土)名古屋 新栄 CLUB MAGO/Live & Lounge Vio

Have a Nice Day! presents NU VOID
05/23(木)新宿LOFT
06/22(土)大阪・味園ユニバース

YATSUI FESTIVAL! 2019
06/15(土)-16(日)東京・渋谷エリア

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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