フレデリック、今年から来年にかけて5シーズンにわたるツアーが遂に幕開け!
フレデリック | 2019.04.18
2ndフルアルバム『フレデリズム2』を引っさげて、今年から来年にかけて5シーズンにわたるツアーを展開するフレデリック。その初っ端を飾る『FREDERHYTHM TOUR 2019~夜にロックを聴いてしまったら編~』が新木場スタジオコーストで開催された。ツアーの初日とは思えない完成度と、『フレデリズム2』で彼らが得た手応えを存分に感じさせたワンマンライブの模様をレポートする。
アルバム同様1曲目に置かれた「LIGHT」から、そのパワフルな演奏とド派手な演出に度肝を抜かれる。レーザーライトがびゅんびゅん飛び、肉厚でセクシーなビートとグルーヴがフロアを席巻。広いスタジオコーストを埋め尽くしたオーディエンスとバンドのあいだに、いきなり巨大なユニティが生まれる。続けて「リリリピート」「TOGENKYO」「スキライズム」とフレデリックの代名詞ともいえる高速ビートと言葉のリフレインが冴えるナンバーを連打。3曲とも180くらいの同じBPMでシームレスにつないでいくDJ的な構成でどんどんテンションを高めていく。
フレデリックの音楽のおもしろさはいろいろあるが、このテンポ感もそのひとつ。もちろんこれぐらいの速いビートで踊らせるロック、というフォーマットはほかのバンドでも使われているものだが、フレデリックの場合それがどこまでも徹底されている。踊れる曲はBPM180で言葉もシンプルな同じ言葉を何度も何度も繰り返す、という方法論。全部同じやんけ、という意味ではない。むしろ、この日のセットリストのようにずっと同じ速さのビートを撃ち続けることで、そして同じ言葉を放ち続けることで、受け手は一種のトランス状態に巻き込まれていくのであって、これは、フレデリックによる一体感生成のための「発明」だと本気で思う。事実、この日もここまでのわずか4曲でフロアは完全にひとつになり、大きな高揚感に覆われることになった。
しかし、彼らの武器は速い曲だけではない。「スキライズム」のあと、ステージからフロアに至るまで、大量のスモークが発生。その中で鳴らされたのは「うわさのケムリの女の子」。2014年のメジャー1stミニアルバム『oddloop』に収録された曲だ。続けてミニアルバム『TOGENKYO』から「RAINY CHINA GIRL」。ミラーボールが光るなか、三原健司の繊細なヴォーカルと、タイトルどおりオリエンタルなシンセの音色がバンドの新たな側面を映し出す。その「RAINY CHINA GIRL」がゆっくりスローダウンして終わると、健司のアカペラからミステリアスな雰囲気をまとった「人魚のはなし」へ。これまたちょっと懐かしい曲である。さらに新作から「他所のピラニア」へと展開するのだが、このあたり、序盤とは打って変わってBPM120前後の比較的ゆったりした楽曲だけで構成されている。曲ごとにがらりと変わる雰囲気も合わせて、フレデリックの引き出しの多さと深さを物語るブロックだということもできるだろう。
その引き出しの多さ、音楽的な深さをもっとも如実に表わしていたのが、その後に待っていた「FAB!!~Frederic Acoustic Band~」のセクションだろう。健司、康司(Ba/Vo)、赤頭隆児(Gt)がスツールに座り、いつもとは違うフレデリックの姿を見せる2曲。この日演奏されたのは「シンセンス」と「かなしいうれしい」の2曲。いずれも『フレデリズム2』からの楽曲だが、アレンジを変えたというよりも、音数を減らして骨身がむき出しになることで楽曲の芯の強さが顕わになったような印象。「シンセンス」はアコースティックアレンジでも背骨の通ったダンスチューンとして機能していたし、「かなしいうれしい」は元のポップな雰囲気から一転、歌詞に込められたセンチメンタルな部分にぐぐっとフォーカスしてみせた。「『フレデリズム2』の曲をいっぱいアレンジして、俺たちの色にもっともっと染めて、こんなに想像を超えてくるんだと思ってもらえるようなワンマンツアー」。健司はこのツアーをそう形容した。それを象徴するもののひとつがこのFAB!!のコーナーだともいえる。健司の言葉が伝えるのは、楽曲そのもののブレない強さへの自信だ。
さて、FAB!!のコーナーを経て、ライブはいよいよ後半戦。「まだまだ遊ぼうぜ!」という健司の言葉から、康司と高橋武(Dr)がアイコンタクトを取りながら濃厚なファンクネスがほとばしらせた「まちがいさがしの国」を挟んで、再びギアチェンジ。ぐぐっとBPMを速くして「KITAKU BEATS」へ。オーディエンスのハンドクラップもばっちりキマり、スタジオコーストは再度巨大なダンスフロアへと変貌を遂げる。そのまま「オワラセナイト」、そして「踊れる」フレデリックの原点ともいえる「オドループ」を連続投下。さらにそこから「『フレデリズム2』を体感しませんか?」と「逃避行」へ。この曲もダンスナンバーであることは間違いないのだが、とにかく性急なリズムで聴き手を駆り立てる「オドループ」とは対照的に、ギターリフやハネるリズムでより複雑に踊らせる楽曲になっている(BPMもちょっと遅い)。『フレデリズム』から『フレデリズム2』へ。音楽的に大きく進歩したフレデリックの姿がこの2曲のコントラストに表れていたと思う。
その後、キレキレのギターが鳴り響いたロックチューン「エンドレスメーデー」、そしてこのコーストですら小さく感じるくらいのスケール感をもった「飄々とエモーション」で本編はフィニッシュ。「飄々と~」ではフロア全体から大きなコーラスが巻き起こり、最後に再びスタジオコーストすべてが一体に。圧倒的なフィナーレとなった。アンコールではこのライブタイトルのもとにもなっている「夜にロックを聴いてしまったら」と「ハローグッバイ」を披露し、大歓声のなかライブは終了。まだまだツアーは始まったばかり、しかもファイナルは横浜アリーナという巨大な会場でのワンマンということで、いったい『フレデリズム2』の楽曲たちがここからどんな進化を遂げるのか、期待が膨らむ一夜となった。
【撮影:ハタサトシ】
【取材・文:小川智宏】
リリース情報
フレデリズム2
2019年02月20日
A-Sketch
02.かなしいうれしい
03.エンドレスメーデー
04.対価
05.逃避行
06.スキライズム
07.他所のピラニア
08.TOGENKYO
09.YELLOW
10.CLIMAX NUMBER
11.夜にロックを聴いてしまったら
12.シンセンス
13.飄々とエモーション
お知らせ
【SEASON 2】
□FREDERHYTHM TOUR 2019〜リリリピート編〜
06/04(火)兵庫 神戸 太陽と虎
06/06(木)福岡 DRUM Be-1
06/13(木)宮城 仙台enn 2nd
06/14(金)新潟 CLUB RIVERST
06/21(金)香川 高松 DIME
06/22(土)広島 CAVE-BE
07/02(火)大阪 BIGCAT
07/03(水)愛知 名古屋 ElectricLadyLand
07/07(日)北海道 札幌 COLONY
07/09(火)東京 恵比寿LIQUIDROOM
【SEASON 3】
□FREDERHYTHM TOUR 2019
10/11(金)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
10/12(土)広島 BLUE LIVE
10/14(月/祝)高知 キャラバンサライ
10/18(金)宮城 仙台Rensa
10/20(日)新潟 LOTS
10/22(火/祝)石川 金沢 EIGHT HALL
【SEASON 4】
□FREDERHYTHM TOUR 2019
11/16(土)北海道 Zepp Sapporo
11/29(金)愛知 Zepp Nagoya
12/07(土)福岡 Zepp Fukuoka
12/14(土)大阪 Zepp Osaka Bayside
【FINAL】
□FREDERHYTHM ARENA 2020
2020/02/24(月/祝)神奈川 横浜アリーナ
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。