平成と令和 オワリはじまりな最新全国ツアーが大成功のもと閉幕
かりゆし58 | 2019.06.25
かりゆし58の代表曲に「オワリはじまり」という曲がある。主にライブのラストにステージ/会場交えて大合唱される人気曲だ。その日を振り返り、一日の充実を改めて振り返らせるように歌われる同曲。文字通り、物事の終わりと、同時にシームレスで続いて行く新しい始まりを期待させてくれるのも特徴的な楽曲だ。慈しみの中、やり残しや後悔、「今日も一日頑張った!!」と胸を張って言えるか?が問われながらも、また日が昇れば最初から始めればいい。今度こそ頑張ればいい。と、昨日と今日は違う日ながらも、同じく続いていることを安堵や帰着を込めて語りかけられるように、その歌は響く。
うん、やはりこの曲は、平成から令和へと年号の変わる前夜、そして開けた際の自分の心境と一緒だ。平成の30年間、自分はどう生き?何を遺し?何を成してきたか?を振り返らせつつ、来るべき令和では、そのやり残しの宿題共々やり遂げ、何かを遺す。そんな輝かしい希望に胸躍らせていた、あの日の自分とカブる。
かりゆし58が今年3月から開始し全国28箇所で行ってきた、平成~令和をまたにかけた全国ツアーがここTSUTAYA O-EASTにて結びを見た。と同時に、新年号を迎え1ヵ月半が経つこの日のライブの終了後、ようやく彼らは平成を結び、令和を迎えることが出来た。
おなじみの登場SE「そろそろかりゆし」と共に真っ暗なステージにメンバーが現れる。新屋行裕(G.)の印象的なギターフレーズから、1曲目の「ナナ」が場内に広がっていく。レゲエの裏打ちの軽さが場内に呼び込まれ、サビでは一気に眺めの良い景色へと会場全体を誘う。歌われる♪誰よりも幸せにしてあげる♪のフレーズがフロアをグッと抱き寄せる。そして間もなくやってくる夏の空の下へと誘うかのように「夏草恋歌」に入るとライブが走り出していく。呼応と共に場内も並走。宮平直樹(G.)もステージ前方のステップ上で疾走感溢れるギターを鳴らす。
「ハイサーイ」と前川真悟(Vo.&B.)が満場に向け軽く挨拶。加速を上げていくようにノンストップで「流星タイムマシン」に入る。新屋も一部のコーラスとハーモニーを交え、後半では雄大さが寄与されていくのを感じた。
ここで前川が、「歴史的な新年会の会場へようこそ!!今日はツアーファイナル。このツアーの結末がどのようなものだったのかをあなたと確かめ合いたいと思います」と告げ、季節を一気に冬の東京の雑踏へと引き込むように「流星」が各々の生き方や人生を思い返させるように歌われる。また、「希望の歌」ではポップさと軽さ、そして大丈夫きっとうまくいくとの安心感が場内に浸透していき、もっと世界を楽しむべく歌われた「世界はきっと」、情景感溢れる新屋のギターフレーズから、こちらも夏の歌「会いたくて」に入ると、会いたさや人恋しさがゆっくりと場内へと染み込んでいく。
愛は情熱より強いか?が問われた「嗚呼、人生が二度あれば」が場内に、“果たして人は人生が二度あることを知ったら、ここまで一生懸命生きるだろうか?”を問題提起していく。
中盤のハイライトは「南風になれ」からの盛り上がり曲の連射だった。力強く波をかき分けて進んでいくように「南風になれ」が、遠く!力強く!高く飛べ!!と歌えば、グルービーなロックンロールナンバー「オリオンビーチ」では、会場に弾んだ雰囲気が呼び込まれ、合わせて一体感が育まれていった。ここでは新屋、宮平の2人のギタリストが互いにソロで場内を魅了。その姿や表情はとても楽しそうであった。更に会場を並走させるように「少年は旅の最中」に入ると、歌中の少年と共に場内も旅に出、その少年が抱く不安の向こうに辿り着き、手に入れたかけがえのないものへと各人が思いを馳せていく。さらにライブは加速。「南に舵を取れ」では、サポートドラムの柳原和也の生み出すカウパンクのビートが会場に向けて突進してきた。
「ライブって最高だな!!」とは、この一連のブロックを終えての新屋の一言。私もそれに同意した。
「今回のツアーは沖縄で準備し、沖縄から始めた。そして今日、あなたと一緒に完成させられた。おかげさまで一曲一曲をきちんと送り出し、今日の最終日を迎えられました。改めて令和もよろしくお願いします!!」と満場に、そしてここ以外でも今回のツアーに参加してくれた全てのお客さんに向けて前川が言葉を贈る。
ここからはミディアムな曲たちが会場を温かい気持ちにさせていく。まずは彼らの代表曲「アンマー」を通し場内に温もりと肉親への感謝の気持ちを贈れば、レゲエのリズムに乗せ、立ち止まったままの青春を眩しく振り返らせた「青春よ聴こえてるか」に於いては、会場も交えて作り出したアンセムが誇らしく気高くこだました。
この日は特別に新曲も披露された。「令和生まれの最新曲」(前川)との紹介の後、歌われた「赤夢波-KAMUNAMI-」(7/17~配信開始予定)は、走れ、進め、その波の上を、今を生きろとの強いメッセージも印象的な楽曲。雄々しいコーラスも特徴的であった。今はまだよちよち歩きの同曲が数年後にはどんなに逞しいレパートリーに名を連ねているのか?その辺りも楽しみになった。
ここからは会場を笑顔に変えるべく曲たちが次々と現れた。なんと以降は現在療養中でライブ不参加のオリジナルドラマー中村洋貴もステージに登場。彼のパーカッションが楽曲たちに躍動感を息吹せていく。まずはカリビアン性たっぷりのトロピカルな「そばの唄」が“僕のそばにいてくれないか、素晴らしい日々にしよう”と歌えば、メロディックパンクサウンドに乗った「愛と呼ぶ」が会場全体でのタオル大旋回させていく。また、「マンゴーウーマン」では、会場中に拳と呼応を溢れさせ、会場のクラップも交えた「サマーソング」が夏のあの暑い日へと想いを馳せさせてくれた。そして極めつけはラスティックなサウンドに乗った「カイ・ホー」。同曲が再び会場を大海原へと船を漕ぎ出させ、会場の遊び心が解放されていくのを目の当たりにした。
そして一拍置き、ここで最新作品楽曲「バンドワゴン」が現れた。時代を嘆き、時代を憂い、しかし決して迎合したり折り合いをつけることなく、キチンとそれも認めて共に生きていく。色々と主張される己の正義がマウントを取り合い、時にはそれが人を傷つける結果に至ることも多いこの時代。必要なのはこんな曲なんじゃないか?そんなことを考えながら聴いている自分がいた。認め合って分かり合って、お互い理解し、尊重し合った上で共存していく…。そんな大切さをこの曲は私に教えてくれた。そして本編ラストは、新屋もアコギに持ち替え、会場の大合唱と共に完成させた「オワリはじまり」が飾った。最後の曲を噛みしめ、かけがえのない時間の尊さと、その中で自分は懸命に生きているのか?なんだか、そんなことを尋ねられているような気持ちの中、私も満場と一緒にこの歌を大合唱していた。
アンコールも5人で贈られた。ここからの3曲は全てメンバー全員、そして会場も交えて一緒に歌われる曲ばかりであった。
まずは宮平がベースを担当し、前川がハンドマイクで、フロントの4人が横一列に並び一丸性を伴う中、まるで旗を翻すかのように歌われた「ホームゲーム」、信じてれば夢や思ったことが叶うことを今一度信じさせてくれた「ウクイウタ」。「何か心折れそうな時にはここに戻ってこいよ」と言われているように響いた、結びの一曲「魚(UO)」では、琉球民謡の節に乗り、楽しそうな歌が会場を幸せな気分に浸らせてくれた。
「次はこの5人で(ライブを)やるよ~。ハイサイロードこれにて結びにさせていただきます。これで俺たちの令和が明けました」と前川がこのツアーを締め、同時に彼ら的な令和の幕開けが告げられた。
年号が移り早1ヵ月半。当初抱いていたこの時代への期待も正直、徐々に薄れてきてはいる。「やはり前時代と変わらない…」そんな諦めが頭をもたげてき出した。ところがこの日のライブを機に、再び若干気持ちが持ち直した。その要因こそが、かりゆし58が各曲の根底に宿し、ことある毎に伝えている「今日よりももっと明日を良い日にしたい」。この令和という新しい時代も彼らの歌と一緒で、ここから数多の希望と共にその幕を開けていく。この時代、自分はどう生き?何を遺し?何を成していくのだろう?かりゆし58の数々の歌を聴きながら、また次の時代に立っている自分へと想いを馳せてみた。
【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:橋本塁[SOUND SHOOTER]】
リリース情報
バンドワゴン
2019年02月22日
LD&K
2.エンドロール
セットリスト
ハイサイロード2019~平成の結~
2019.6.14@TSUTAYA O-EAST
- 1.ナナ
- 2.夏草恋歌
- 3.流星タイムマシン
- 4.流星
- 5.希望の歌
- 6.世界はきっと
- 7.会いたくて
- 8.嗚呼、人生が二度あれば
- 9.南風になれ
- 10.オリオンビーチ
- 11.少年は旅の最中
- 12.南に舵を取れ
- 13.アンマー
- 14.青春よ聴こえてるか
- 15.赤夢波-KAMUNAMI-
- 16.そばの唄
- 17.愛と呼ぶ
- 18.マンゴーウーマン
- 19.サマーソング
- 20.カイ・ホー
- 21.バンドワゴン
- 22.オワリはじまり 【Encore】
- En-1.ホームゲーム
- En-2.ウクイウタ
- En-3.魚(UO)
お知らせ
CanColor cafe 7th Anniversary LIVE
07/08(月)CanColor cafe
今日ドキッ!SUMMER LIVE2019
07/13(土)札幌市北3条広場(アカプラ)
OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.10
07/26(金),27(土),28(日)
男鹿市船川港内特設ステージ
GM+
08/23(金)なんばHatch
LOCO OSAKA 2019
09/22(日)なんばHatch
長田大行進曲2019
09/27(金),28(土)
神戸Harbor Studio
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。